心の理論
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心の理論(こころのりろん、英: Theory of Mind, ToM)は、ヒトや類人猿などが、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する心の機能のことである[1]。
- ^ Premack, D. G., Woodruff, G. (1978). Does the chimpanzee have a theory of mind?. Behavioral and Brain Sciences 1 (4): 515–526.
- ^ Wimmer, H. & Perner, J. (1983). Beliefs about beliefs: Representation and constraining function of wrong beliefs in young children’s understanding of deception. Cognition, 13: 103-128.
- ^ a b Baron-Cohen S, Leslie AM, Frith U (1985). Does the autistic child have a 'theory of mind'?", Cognition, 21(1), 37–46.
- ^ Gopnik A, Aslington JW (1988). Children's understanding of representational change and its relation to the understanding of false belief and the appearance-reality distinction. Child Development, 59(1), 26–37.
- ^ 藤井直敬「つながる脳」NTT出版、2009年、p. 181
心の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 08:57 UTC 版)
心の理論とは、「自己と他者の識別、自分や他者の心の動きを推測する能力」のことであり、自閉症者はこの「心の理論」において障害があるため、相互の人間関係に疎い、会話やその場の雰囲気を理解できない、冗談を冗談と受け止めず真に受けてしまう、言外の意味を捉えられないなど、対人関係に問題を生じやすい。 これは知的障害がない高機能自閉症においてもあてはまり、やはり対人関係に問題を生じるケースがある。 また、他人のすることを自分の立場に置き換えられずにそのまま真似するため、手のひらを自分側に向けてバイバイする。言語においても同様に相手の言葉を自分に置き換えて返答することが苦手で自分のことを「あなた」などの二人称で、相手のことを「わたし」などの一人称で呼んだりすることや、自分に対して「〜してあげようか」と聞かれると「〜してあげたい」等と返答したり、オウム返しなどの現象が見られる。 心の理論の能力を調べる検査として、「サリーとアン課題」などがある。
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心の理論
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サイモン・バロン=コーエン(1999年)は、40000年以上前からの以下の物の使用の証拠に基づいて、心の理論は言語使用に先立たなければいけないと主張している:意図を持って行われるコミュニケーション、失敗したコミュニケーションの修繕、教育、意図的な説得、意図的なごまかし、計画や目的の共有、話題や焦点の意図的な共有、騙り。さらに、こういった能力を示す霊長類もいるが皆がそうではないとバロン=コーエンは主張している。コールとトマセロのチンパンジーに関する研究の中にはこのことを支持するものがあって、チンプはそれぞれ他のチンプにも意識、知識、意図があることを認識しているようだが、間違った信念については理解できていないようであるという。多くの霊長類が心の理論を幾分か認識しているような傾向を示すが、ヒトが持っているのと完全に同じ心の理論を持つ者はいない。最終的に、言語使用のために心の理論が必要だという点に関してはある程度合意がなされている。そのため、ヒトにおいて心の理論が完全に発達したことが完全な言語の使用にとって必要な先駆者だったといえる。
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心の理論
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心の哲学において、ミラーニューロンは、私たちの持つ'心の理論'の能力に関係するシミュレーション説の研究者の注目を集めるものとなっている。'心の理論'とは他者の体験や行動からその人の心理的な状態 (例えば、考えや欲求)を推測する能力のことである。例えばあなたが、'クッキー'とラベルされた缶に手を伸ばそうとしている人を見た時、あなたはその人がクッキーを食べたいと考え、(たとえ、本当はクッキーがその缶の中に入っていないことをあなたが知っていたとしても)その人はクッキーがその缶に入っていると考えている、と推測するだろう。 このような私たちの持つ心の理論の能力に関してはいくつもの異なるモデルが存在する。その内最もミラーニューロンと関連が深いのはシミュレーション説である。シミュレーション説によれば、私たちが無意識に観察している他者の心理状態をシミュレートすることで、心の理論は可能となる。ミラーニューロンは、私たちが他者をより深く理解するために行うシミュレーションに必要となる機構だと解釈され、ミラーニューロンの発見は、 (発見の10年前から提唱されていた) シミュレーション説の有効性を証明するものであると考えられている。
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