言語獲得のモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 04:55 UTC 版)
言語の獲得は人の発達のごく初期に行われる重要な出来事である。他の能力の発達、特に概念獲得とどちらが先か、どのように作用し合うのかには議論がある。 エリザベス・スペルクとスーザン・ケアリーやサイモン・バロン=コーエンは数の概念、初歩的な物理の概念(物体の永続性や連続性)や心の理論などの発達が言語獲得より先に始まり、言語獲得の基盤となっていると考えている。一方マイケル・トマセロやエリザベス・ベイツのような他の研究者は概念獲得や心の理論の発達、社会的認知能力の発達と言語獲得は相互作用によって起きると考えている。 言語学者らでは、チョムスキーらの生成文法(句構造文法)を研究した一派は言語獲得についての仮説として、生得的に「普遍文法」という文法を人は持っているのだという仮説を立てた。一方で、そのような言語に特化した生得的なものは無いとする主張もある。認知言語学の研究者はそういった立場であり、言語能力は他の能力と密接に関連しており、専門化された「普遍文法」仮説がいうような遺伝的基盤は無いと考えている。いずれにしろ言語学の立場からは、言語という現象を通して心の理論などを研究しているのであるから、彼らがそういったようにして脳の現象などについて持っている理論はいずれにしろ「脳生理学的なものというよりは仮説」である(ブローカ野やウェルニッケ野など、神経学などの側から「反対側から掘ったトンネル」のようにして仮説ではなくなることもある)。 またコネクショニズムは、主に認知科学などの側から、言語獲得などといった脳の働きを、ニューラルネットワークモデルで研究しようという立場である。
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