誤信念課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/18 14:35 UTC 版)
哲学者ダニエル・デネットは子供が「心の理論」を持つと言えるためには、他者がその知識に基づいて真であったり、偽であったりする志向や信念をもつことを理解する能力、すなわち誤信念を理解することが必要であると示唆した。これに基づきハインツ・ヴィマーとジョゼフ・パーナーは心の理論の有無を調べるための課題を提案した。これを誤信念課題(False-belief task)という。この課題を解くためには、前述したように他人が自分とは違う誤った信念(誤信念)を持つことを理解できなければならない。主な課題としては、以下の3つがある。 マクシ課題 マクシは、母親が買い物袋をあける手伝いをしている。 彼らはチョコレートを<緑の棚>に入れる。 マクシが遊びに行った後、母親はチョコレートを取り出して、今度は<青の棚>に戻す。 母親が卵を買うために出て行ったあと、マクシが遊び場から戻ってくる。 上記の場面を被験者に示し、「マクシはチョコレートがどこにあると思っているか?」と質問する。正解は「緑の棚」だが、心の理論の発達が遅れている場合は「青の棚」と答える。 サリーとアン課題 サリーとアンが、部屋で一緒に遊んでいる。 サリーはボールを、かごの中に入れて部屋を出て行く。 サリーがいない間に、アンがボールを別の箱の中に移す。 サリーが部屋に戻ってくる。 上記の場面を被験者に示し、「サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すか?」と被験者に質問する。正解は「かごの中」だが、心の理論の発達が遅れている場合は、「箱」と答える。 スマーティ課題 前もって被験者から見えない所で、お菓子の箱の中に鉛筆を入れておく。 お菓子の箱を被験者に見せ、何が入っているか質問する。 お菓子の箱を開けてみると、中には鉛筆が入っている。 お菓子の箱を閉じる。 被験者に「この箱をAさん(この場にいない人)に見せたら、何が入っていると言うと思うか?」と質問する。 正解は「お菓子」だが、心の理論の発達が遅れている場合は、「鉛筆」と答える。 多くの場合、4 - 5歳程度になると、誤信念課題に正解できるようになるが、心の理論の発達が遅れていると、他者が自分とは違う見解を持っていることを想像するのが難しいために、自分が知っている事実をそのまま答えてしまう。
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