しょうねん‐ほう〔セウネンハフ〕【少年法】
少年法(しょうねんほう)
非行少年に対して、性格の矯正と環境の調整に関する保護処分を行い、少年の刑事事件について特別な措置をすることを目的としている。アメリカの少年法を参考にして、全面改正された現行少年法が1948年に施行された。
少年法では、14歳以上20歳未満で罪を犯した者を犯罪少年、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者を触法少年、一定の言動から将来罪を犯すおそれのある者を虞犯少年と分類している。そして、これら非行少年を家庭裁判所における審判の対象とする。
少年の犯罪を捜査した警察や検察は、すべての事件を家庭裁判所に送致する。家庭裁判所調査官による調査などを経て非公開の審判が開かれると、保護観察、児童自立支援施設などへの送致、少年院送致の保護処分を決定する。また、16歳以上の者で刑事処分が相当であると判断された場合には、検察官に送致(逆送と言う)され、刑事裁判所に起訴されることになる。
犯行時の年齢が18歳未満の者には、処断刑が死刑なら無期懲役に、また無期懲役なら10年以上15年以下の有期懲役に緩和される。
また、少年の住所・氏名や写真など本人を特定できる記事の掲載を禁止することも、刑罰より更生をより重視する少年法の特徴だと言える。
1993年の山形マット死事件や1997年の神戸児童連続殺傷事件などがきっかけで、少年法改正論議が高まった。刑罰対象年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げるなど厳罰化を柱とする少年法改正が2000年臨時国会で成立した。改正少年法は2001年4月に施行される。
(2000.05.05更新)
少年法
少年法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 16:11 UTC 版)
少年法(しょうねんほう、昭和23年7月15日法律第168号)は、少年保護手続に関する法律で、刑事訴訟法に対する特別法である。
注釈
- ^ 調査の結果、本人が二十歳以上であると判明した時に取られる処分。
- ^ 最高裁判所第二小法廷判決 平成15年3月14日 民集第57巻3号229頁、平成12(受)1335、『損害賠償請求事件』「2 犯行時少年であった者の犯行態様、経歴等を記載した記事を実名類似の仮名を用いて週刊誌に掲載したことにつき名誉またはプライバシーの侵害による損害賠償責任を肯定した原審の判断に被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無を審理判断しなかった違法があるとされた事例」、“2 犯行時少年であった者の犯行態様、経歴等を記載した記事を実名類似の仮名を用いて週刊誌に掲載したことにつき、その記事が少年法第61条に違反するとした上、同条により保護される少年の権利ないし法的利益より明らかに社会的利益の擁護が優先する特段の事情がないとして、直ちに、名誉またはプライバシーの侵害による損害賠償責任を肯定した原審の判断には、被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無を個別具体的に審理判断しなかった違法がある。”。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52287
- ^ ただし、同条第二項において刑法第七十三条(皇室関連)・第七十五条(皇族関連)および第二百条(尊属殺人)の罪によるものは除外された。
- ^ 例えば、手口の情報を元にした防犯方法の議論や、少年の抽象化された生育歴を元にした教育・指導方法の議論などが考えられる。
出典
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少年法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 04:20 UTC 版)
2006年8月28日に発生した山口女子高専生殺害事件で、容疑者とされ行方不明だった19歳の男子学生の実名と写真を一部の週刊誌が掲載したことについて、9月8日に「少年法の関係で事実関係について調査し対応を検討している。いずれ報告があると思うので、そのうえで対応を決めたい」と述べた。また、行方不明の男子学生が自殺体で発見されたあとの実名報道には「表現の自由ということはあるが、少年法の趣旨や少年の家族のことも考えると、プライバシーとの関係で問題がないのかどうかと問われると、ないとも言えない感じがする。難しい問題なので事実関係をよく調べて対応を決めたい」と述べた。本人は衆議院法務委員長を務めていた当時、厳罰化による少年犯罪の抑止を盛り込んだ少年法の改正を手掛けている[要出典]。
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少年法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 17:31 UTC 版)
「神戸連続児童殺傷事件」の記事における「少年法」の解説
犯人が少年法に守られていることに関して、「許せない」「納得できない」といった意見が7割を占めた。その一方で、「仕方ない」といった意見も多く、「そうなっているなら仕方ない」「仮に少年法が改正されても、酒鬼薔薇には適用されない。ここまで放置してきてしまったのだから、もう遅い」「おかしいとは思うけど、法治国家とはこういうものでは?」「酒鬼薔薇だけ特例にしたら、秩序がなくなる」などの意見があった。30歳以上の中には「14歳では責任能力がない。成年と同じ処罰を与えるのは無理」と、「守られて当然」という意見もあった。しかし、10代はほぼ全員「許せない」「納得できない」という意見だった。
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