海上運送法とは? わかりやすく解説

かいじょううんそう‐ほう〔カイジヤウウンソウハフ〕【海上運送法】

読み方:かいじょううんそうほう

海上運送事業運営適正化合理化することにより、輸送の安全を確保し海上運送利用者利益保護することなどを目的として、船舶運航事業船舶貸渡業日本船舶および船員確保海上運送事業使用する船舶規格船級などに関する行政的指導について定めた法律昭和24年1949制定


海上運送法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/28 10:36 UTC 版)

海上運送法

日本の法令
法令番号 昭和24年法律第187号
提出区分 閣法
種類 行政手続法
効力 現行法
成立 1949年5月26日
公布 1949年6月1日
施行 1949年8月25日
所管 運輸省→)
国土交通省
[海運総局→船舶局海上交通局海事局
主な内容 海上運送などについて
関連法令 船荷証券条約
商法
国際海上物品運送法
港湾運送事業法
道路運送車両法
道路交通法
など
条文リンク 海上運送法- e-Gov法令検索
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海上運送法(かいじょううんそうほう、昭和24年6月1日法律第187号)は、海上運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、海上運送の利用者の利益を保護するとともに、海上運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することに関する日本法律である。

主に旅客自動車運送であるフェリーなどの事業、また海運仲立業および海運代理店業についての法律となっている。

主務官庁

手続きの実務は地方運輸局および内閣府(旧・沖縄開発庁沖縄総合事務局運輸部が行う。
商法海商法)を所掌する法務省民事局商事課など他省庁と連携して執行にあたる。

構成

  • 第1章 総則(第1条・第2条)
  • 第2章 船舶運航事業(第3条―第32条の2)
  • 第2章の2 安全統括管理者資格者証及び運航管理者資格者証
    • 第1節 安全統括管理者資格者証及び運航管理者資格者証の交付等(第32条の3―第32条の11)
    • 第2節 指定試験機関(第32条の12―第32条の15)
    • 第3節 登録安全統括管理者講習機関等(第32条の16―第32条の40)
    • 第4節 雑則(第32条の41)
  • 第3章 船舶貸渡業、海運仲立業及び海運代理店業(第33条)
  • 第4章 日本船舶及び船員の確保(第34条―第37条の6)
  • 第5章 準日本船舶の認定等(第38条―第38条の5)
  • 第5章の2 外航船舶の確保等(第39条―第39条の9)
  • 第6章 先進船舶の導入等の促進(第39条の10―第39条の18)
  • 第7章 特定船舶の導入の促進(第39条の19―第39条の37)
  • 第8章 海上運送事業に使用する船舶の規格及び船級(第40条・第41条)
  • 第9章 雑則(第42条―第45条の6)
  • 第10章 罰則(第46条―第57条)
  • 附則

定義

この法律で海上運送事業とは、船舶運航事業、船舶貸渡業、海運仲立業及び海運代理店業をいい、それぞれ以下のように定義されている(第2条)[3]

  • 船舶運航事業 - 海上において船舶により人又は物の運送をする事業で港湾運送事業以外のもの (第2条2)
  • 船舶貸渡業 - 船舶の貸渡又は運航の委託をする事業 (第2条7)
  • 海運仲立業 - 海上における船舶による物品の運送又は船舶の貸渡し、売買若しくは運航の委託の媒介をする事業 (第2条8)
  • 海運代理店業 - 船舶運航事業又は船舶貸渡業を営む者のために通常その事業に属する取引の代理をする事業 (第2条9)

また、船舶運航事業には定期航路事業不定期航路事業に分けられる (第2条3,6)。

なお利用運送事業については、1989年に貨物利用運送事業法に移管された[3]

海上運送事業と内航海運業の関係

船舶運航事業や船舶貸渡業のうち、本邦内2地点間の物品の運送を担う事業については、一般に内航海運業法に定める内航海運業に該当する。但し、海上運送法上の旅客定期航路事業及び旅客不定期航路事業は、内航海運業に該当しない。

歴史

1939年 海運組合法

第1条 本法に於て海運業とは左に挙ぐる事業を謂ふ。
 一 船舶により人または物を運送する事業
 二 船舶の貸渡(期間傭船を含む)を為す事業
 三 船舶に依る人若は物の運送に関する仲介業又は船舶の貸渡(期間傭船を含む)若は媒介に関する仲介業

第4条 海運組合は左の事業を行ふことを得
 一 組合員の事業のためにする共同施設
 二 組合員間に於ける事業の統制
 三 組合員間に於ける事業に関する紛争の解決の斡旋
 四 組合員の事業に関する證明鑑定
 五 組合員の事業に関する指導、研究及調査
 六 前各号に挙ぐるものの他組合員の目的を達するに必要なる事業

海運組合法

1939年4月 - 海運組合法が制定[3]。対象業は以下であった。

  • 汽船海運業[3]
  • 船舶貸渡業[3]
  • 海運仲立業[3][4][5]
    • 甲種海運仲立業(甲仲) - 不定期船貨物の海上輸送・船舶の貸渡し・売買・運航委託などを行う
    • 乙種海運仲立業(乙仲)- 船会社と荷主の間で、船積み貨物の仲介・取り次ぎを行うブローカー

1949年 海上運送法

1949年、海上運送法に改定[3]

知床遊覧船事故を受けての海上輸送法改正

2022年4月23日に発生した北海道斜里郡斜里町知床半島沖の海上で、有限会社知床遊覧船が引き起こした海難事故知床遊覧船沈没事故)では、事故後の特別監査で19項目にわたり同法違反の事実が確認されるなど、極めて杜撰な運行体制が問題視され、国土交通省は「このまま事業を継続させることは、再び重大な事故を起こす蓋然性が高い」として、海上輸送法に基づく事業許可取消を同年6月16日付で行った。海上輸送法における事業許可取消の行政処分は初の事案となった[6]。この事故を受けて、翌2023年4月28日に海上輸送法の改正案が参議院で可決されて成立した。主な改正内容としては小型旅客船の事業許可を原則5年の更新制とし、安全確保命令に違反した事業者の罰金を最高1億円に引き上げるなどの厳罰化を行い、悪質な運行業者の排除と法令違反の抑止を目的とするものとされた[7]

この改正から約3年後の2026年3月16日、沖縄県名護市辺野古沖の海上で、在日米軍基地の辺野古移転に反対する「海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会」が所有する抗議船2隻が転覆事故を引き起こし、研修旅行(修学旅行)の平和学習で抗議船に乗船していた同志社国際高校の生徒1名と船長が死亡した海難事故(辺野古沖抗議船転覆事故)では、協議会側が「ボランティア」としながらも、研修旅行を計画した同志社国際高校側が「使用料」と称した実質的な報酬を協議会側に支払うなど、協議会側が「一般不定期航路事業」登録を行わずに、他人を乗船させる形での運航が常態化していたとみられる。このことから、第11管区海上保安本部は同協議会などに対して、海上輸送法違反容疑で捜査することとなった[8][9]

脚注

  1. 安全統括管理者及び運航管理者の資格者証制度の創設について:連絡先 - 国土交通省Webサイト。
  2. 旅客不定期航路事業の許可更新制について:連絡先 - 国土交通省Webサイト。
  3. 1 2 3 4 5 6 7 鈴木暁「海貨業の現状と課題--総合物流業へ向けて」『海事交通研究』第57巻、2008年、67-79頁、NAID 40016372451
  4. 柴田悦子「ターミナル機能と港湾」第38巻第3-4号、1993年、 NAID 120006811825
  5. レファレンス協同データベース 97035』(レポート)国立国会図書館、1997年7月14日
  6. 知床遊覧船、法令違反19項目…事業許可取り消し方針の国交相「再び重大な事故を起こす蓋然性」 - 読売新聞 2026年5月24日
  7. 悪質旅客船排除へ更新制 知床事故受け、安全対策強化 - 産経ニュース 2023年4月28日
  8. “「無登録運航」浮かぶ矛盾 辺野古船転覆、船の使用料1万5千円 学校側と食い違い - 産経ニュース” (日本語). 産経ニュース. オリジナルの2026年3月19日時点におけるアーカイブ。 2026年3月24日閲覧。
  9. 辺野古転覆、海上運送法違反容疑でも捜査 11管、亡くなった2人の司法解剖も実施 - 産経ニュース 2026年3月18日

参考文献

関連項目


「海上運送法」の例文・使い方・用例・文例

  • 海上運送法という法律
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