禁錮
別表記:禁固
英語:imprisonment
「禁錮」とは、刑法上の刑罰のうち一定の期間にわたり刑事施設に拘置させることで懲役のように作業義務を科さずに受刑者の自由を奪い受刑者を罰する刑罰のことを意味する表現。
禁錮とは、禁固刑に関する規定
禁錮は刑法第13条において規定されている。(禁錮)
第十三条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する。
―― 刑法 e-Gov
禁錮刑とは、禁錮と禁固刑の違い
禁固刑は「禁錮に処する刑罰」くらいの意味であり、ほぼ「禁錮」と同義。「禁錮」と「禁固刑」は互いに置き換え可能な語彙である。公文書でも両方の言い方の使用例が見つかる。
あえて区別をつけるとすれば、そもそも「禁錮」は「ある場所に閉じ込めて外に出さないこと」を意味する語であり、必ずしも、刑法上の刑罰だけを指すとは限らない。その点「禁固刑」といえば「刑罰として科される禁錮」であることが明示できる。
「禁錮」と「懲役」の違い
禁錮と懲役の違いは、刑務作業が義務付けられているかどうか、である。懲役刑の受刑者は刑務作業を行わなくてはならない。禁固刑の受刑者は刑務作業を行わなくてよい。禁錮刑の受刑者も申し出れば刑務作業を行うことはできる。実際、過半数の禁錮受刑者が刑務作業を進んで行っているという。
禁錮と懲役は、どちらも、最短でも1ヶ月~最大20年、あるいは無期、という長期間にわたって刑が科される。
なお、禁錮と同じく「刑事施設に留め置かれる刑罰」であって、その期間が1日~29日間と比較的短期の刑を、「拘留」という。拘留は禁錮より軽い。罰金刑よりも軽い。
「懲役」「禁錮」「拘留」は、いずれも「受刑者の自由を剥奪する刑罰」であり、「自由刑」に区分される。
禁錮と懲役の違いはなくなるかもしれない
2022年3月、政府は「懲役」と「禁錮」を共に廃止し、あらたに「拘禁刑」 を創設してこれに一本化する改正案を閣議決定した。同年6月には参議院本会議で可決された。これによって禁錮や懲役の刑はなくなる。拘禁刑も自由刑であることには変わりはない。「禁固」と「死刑」「罰金」との違い
死刑や罰金刑と禁固刑は、まず刑罰の軽重が異なる。また、刑罰の様態も異なる。刑罰の軽重は、重い順に「死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留>科料」と並ぶ。この6種は独立して科すことのできる「主刑」である。この他に「没収」もある。没収は、主刑に付加する形で科せられる「付加刑」である。
刑罰は様態に応じて「自由刑」「生命刑」「財産刑」の3種類に区分できる。
「禁錮」「懲役」「拘留」は、受刑者の自由を奪って刑罰とするものであり、「自由刑」に区分される。
「死刑」は受刑者の生命を奪って罰とするものであり、「生命刑」に該当する。
「罰金」と「科料」(ならびに「没収」)は、受刑者の財産を剥奪して罰とする刑であり、「財産刑」にあたる。
刑罰の様態には「身体刑」や「名誉刑」といった区分もあるが、これらに該当する刑罰は現行の刑法にはない。
禁錮7年の罪
いわゆる「内乱幇助罪」は、刑法第79条で「7年以下の禁錮」に処される旨が規定されている。このような、法令において罰則が具体的に規定されている刑を「法定刑」という。ちなみに内乱の首謀者は「死刑または無期禁錮」、外患誘致罪は「死刑」である。
法定刑で禁錮が定められている罪は「内乱」および「私戦予備及び陰謀」の罪のみである。私戦予備及び陰謀罪は「5年以下の禁錮」、ただし自首した場合は刑が免除される。
禁錮生活は辛い・きつい、と感じる人は少なからずいる
禁錮刑の受刑者は、基本的にはじっと座って過ごす。懲役刑の受刑者が作業している間、何をすることも許されず、ただ座っていることが求められる。人によっては、この「何もすることがない」状況が苦痛でしょうがなく、体を動かせる懲役の方がずっとマシと思えたりもする。そのため刑務作業を申し出て懲役刑と同じく作業に従事する者が出てくる。「自宅で禁錮」はあり得るか
刑罰としての禁錮は「刑事施設に拘置する刑」と定められている以上、自宅で受刑するということはあり得ない。海外では受刑者に発信機を装着させ常時監視可能にした上で「自宅監禁」する試みが行われたことがある。
そもそも「禁錮」という語彙は「ある場所に閉じ込めて外に出さないこと」を意味する語であり、必ずしも刑法上の刑罰だけを指す語彙ではないため、刑罰に関する文脈でなければ「自宅で禁錮」「自宅に禁錮」といった表現をあえて使うことも可能ではある。
きん‐こ【禁錮/禁固】
死刑、懲役、禁固(しけい、ちょうえき、きんこ)
死刑 (刑法第11条)
死刑は、監獄内において、絞首して執行される。死刑が言渡された者は、その執行に至るまで監獄に拘置される。
懲役刑 (刑法第12条)
懲役刑には、無期懲役刑と有期懲役刑がある。有期懲役刑の期間は規定では1ヶ月以上15年以下だ。ただしこの期間は20年にまで伸ばすことができる。懲役刑では、監獄に拘置されて所定の作業を行う。
禁錮刑 (刑法第13条)
禁錮には、無期禁固刑と有期禁固刑がある。有期禁錮刑の期間は、規定では1ヶ月以上15年以下だ。ただし懲役刑と同じく、刑期を最長20年まで伸ばすことができる。禁錮刑では、その期間、監獄に拘置される。
仮出獄(刑法第28条)
懲役または禁錮に処せられた者に「改悛の状」があるときは、刑期の3分の1を経過した後、行政官庁の処分にもとづき、仮出獄が許される。同様に、無期刑の場合は10年を経過した後、行政官庁の処分にもとづき、仮出獄が許される。
(2000.09.14更新)
禁錮
禁固
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 05:43 UTC 版)
「錮」を「固」で代用表記したもの。改正刑法草案(1974年(昭和49年))で使用されたが、実際に成立した法令での使用例はない。マスメディアや一般社会では広く用いられてきた。
※この「禁固」の解説は、「禁錮」の解説の一部です。
「禁固」を含む「禁錮」の記事については、「禁錮」の概要を参照ください。
「禁固」の例文・使い方・用例・文例
- この手の犯罪は通例禁固10年から20年の刑を伴う
- その罪に対する処罰は10年の禁固刑である
- 裁判所は欠席者に禁固3ヶ月を言い渡した。
- 彼は2年の禁固刑を宣告された。
- 彼は禁固の身だ。
- 判事は彼に禁固1年を宣告した。
- 縛られて, 禁固されて.
- 重禁固の囚人.
- 死刑を終身禁固刑に減ずる.
- あなたが証言を拒めば 1 か月の禁固に処せられることになる.
- 終身禁固.
- 男は(その犯罪で) 3 年の禁固刑を宣告された.
- 情状を酌量して 5 年の禁固刑が言いわたされた.
- 違反者は三年以下の禁固刑によって罰せられる.
- 検事は禁固三年を求刑した
- 禁固という刑罰
- 3月3日,水戸地方裁判所はジェー・シー・オー(JCO)の社員6人に執行猶(ゆう)予(よ)付きの禁固刑を言い渡した。
- 原子力事故の関係者が執行猶予付きの禁固刑を言い渡されたのは初めてだ。
- 他人にベールの着用を強制した者は3万ユーロの罰金と1年の禁固刑が科される。
品詞の分類
- >> 「禁固」を含む用語の索引
- 禁固のページへのリンク