東洋哲学とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 哲学 > 哲学 > 東洋哲学の意味・解説 

東洋哲学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/19 21:11 UTC 版)

東洋哲学(とうようてつがく、英語:eastern philosophy)とは、ヨーロッパから見た東洋すなわちアジアで生まれた哲学を一緒くたに纏めた用語。中国哲学インド哲学イスラム哲学など、日本哲学も含まれる。これは本来中華文明インド文明日本文明などと同列の個別文明に過ぎない欧州文明を特別視するという点でヨーロッパ中心主義的な言葉である。

そのような事情もあり、津田左右吉のように「東洋哲学」という括りを避けた学者もいる[1][2]。一方で、井上哲次郎[3]岡倉天心井筒俊彦のように「東洋哲学」を積極的に論じた学者もいる。中村元は著書『東洋人の思惟方法』で、インド・中国・日本・朝鮮・チベットそれぞれの傾向と差異を論じた。

中国哲学

中国の思想の源流はシャーマニズムである。春秋戦国時代に、覇を争った諸侯のための政治哲学として、儒家道家に代表される諸子百家が、それぞれ自説の優位性を諸侯に説いた。代以降、武帝の時代に国教的地位を獲得し、儒家思想から洗練されていった儒教と、道家の老荘思想を取り入れてはいるが、実際はの方士徐福のような不老長生を説く神仙思想から発展した道教が発達した。

また、後漢代に仏教が伝来し、六朝代に盛行した。この時期より、中国哲学は、三教を中心とした宗教哲学として展開する。体系的な仏教哲学の影響をうけ、代に、儒教は朱熹らによって体系的な哲学として再構成された。また道教もそれまでの民間宗教から官僚的ヒエラルキーと五行論に基づく理論性を発展させた。仏教自体も、道教的な非論理的傾向を吸収してインド仏教とは異質な中国仏教としての禅宗浄土教を生み出した。またそれは、最初は対立していた儒仏道の三教が、次第に融合していく過程でもある。

代には朱熹らの性即理に対して、心即理を説く王陽明陽明学が隆盛した。が、王陽明の主張を見ると、そこには禅宗の影響が非常に色濃いことは明白である。これら中国哲学の特徴は、世俗性・実践性が強いことである。

インド哲学

厳しい自然風土と錯綜した複雑な社会構造のもとで、古代インドでは生活の基本となる思想や学問が求められた。そこで生まれたのがヴェーダ(Veda)、ウパニシャッド(Upanisad)の哲学である。『リグ・ヴェーダ』(Rg-Veda)は上天(deva)への讃歌集であり、そこでは、自然現象や抽象概念などが神格化されている。それらの諸神は、三界に配されており、祭祀の際には諸神の中の一神を勧請してきて現世的な利益をもとめることが行なわれていた。ヴェーダ経典にはブラーフマナ(Brahmana)という注釈書が作られ、さらに、ヴェーダ経典を集大成したウパニシャッドやアーラヌヤカによってより深化することとなった。そこでは、宇宙の根元をブラフマン(brahman)と呼び、それに対して人間に内在する原理をアートマン(atman)と名づけ、その二者が一体化した状態を求めることとなった。同時に、人間の行為の善悪の果報の原因を、前生の(karman)に求める輪廻の思想も発達した

日本哲学

日本哲学は伝統的には中華系に属する。日本では大陸渡来の仏教儒教と、日本古来の神道などの宗教思想が混在してきた。これは中華世界の周辺(朝鮮、ベトナム)の哲学に共通した特徴である。

奈良時代には律令制下で陰陽道が発達を遂げた。その後、平安時代天台宗真言宗、鎌倉時代の浄土宗日蓮宗臨済宗曹洞宗など、仏教の各宗派で独自に教義を追究した。

室町時代には、仏教思想を日本独自に発展させた茶の湯能楽など、個別の芸能を究める動きが起こった。

江戸時代になると、国学儒学など、体系的な哲学思想が発達した。

明治時代に、西周によって「哲学」という語が作られ、西洋哲学を輸入したり、近代以前の日本哲学と融合させて独自の思想を構築する哲学者が誕生していった。

その他

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ 土田健次郎 (2011年). “津田左右吉の学問と姿勢—没後五十年津田左右吉展に際して—”. yab.yomiuri.co.jp. 読売新聞早稲田大学. 2021年7月3日閲覧。
  2. ^ 津田左右吉『東洋文化、東洋思想、東洋史』:新字新仮名 - 青空文庫
  3. ^ 今西, 順吉「井上哲次郎の開拓者的意義」『印度學佛教學研究』第49巻第2号、2001年、526–532頁、doi:10.4259/ibk.49.526ISSN 1884-0051 

東洋哲学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:53 UTC 版)

哲学」の記事における「東洋哲学」の解説

「東洋哲学」も参照 上述のようにフィロソフィア・フィロソフィ(古希:φιλοσοφία)という語そのもの西洋生まれ時代下ってから東洋伝わったのであるが、タイトルに東洋哲学と冠した書籍書名に「中国哲学」が含まれる書籍書名に「インド哲学」が含まれる書籍書名に「日本哲学もしくは日本哲学」を含む書籍東洋哲学者学派個々の名称に哲学とつけて「~哲学」と称する例 が存在するまた、東洋哲学研究所日本哲学フォーラム といった団体存在するほか、いくつも大学で東洋哲学を研究する過程設置されている。以上のように、東洋思想哲学呼称する例はしばしみられる

※この「東洋哲学」の解説は、「哲学」の解説の一部です。
「東洋哲学」を含む「哲学」の記事については、「哲学」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「東洋哲学」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「東洋哲学」の例文・使い方・用例・文例

  • 東洋哲学
  • 東洋哲学という学問
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



東洋哲学と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「東洋哲学」の関連用語

東洋哲学のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



東洋哲学のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの東洋哲学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの哲学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS