かいしゃく‐がく【解釈学】
解釈学
解釈学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 05:32 UTC 版)
「フリードリヒ・シュライアマハー」の記事における「解釈学」の解説
解釈とは、異質な言説の「理解」であるが、文献学における解釈の対象はギリシア・ローマの古典に限られ、アルトによれば、古代ギリシア・ローマ時代の作家の思想を、後の時代に生きている者が理解できるのは、二つの時代をつなぐ共通の「精神」があるからあり、文献学的教養を積むことによって二つの時代の異質な言説の差異は解消されるとされていた。 彼はこのような限定的な技術的態度を批判し、解釈学の対象は古典作品に限らず、ひろく日常的な会話までを含むものとした上で、語る者と受け取る者の基本的な関係は精神ではなく、「言語」であり、その基本条件をなす規則を相互の完全な連関を含む形で抽出するのが解釈学の一般理論であるとした。そして、言語は、ある時代のある語り手の言説の「文法的側面」のみならず、その語り手の個性さえも踏まえた心理過程を経て言説が表現されるという「心理的側面」の二つの側面を有するから、解釈もその二つの側面に即してなされるべきであるとした上で、直接に理解されるべき対象に向かってその個性を捉える「予見法」と理解されるべき対象を含む大きな普遍を設定し、そのなかで同じ普遍に属する他の対象と比較して理解されるべき対象の個性を探ろうとする「比較法」を用いて、その二つの方法の連続した循環の中から文体と作家の個性のそれぞれに二つの方向から肉薄することによって、豊かな発展的理解の可能性を見出そうとしたのである。 彼の伝記『シュライアマハーの生涯』はヴィルヘルム・ディルタイの研究者としての処女作でもある。ディルタイは、シュライアマハーの一般的解釈学を単なる言語的所産を超えて、その背後にある歴史・文化、人間の生の表現を対象とする精神科学の基礎理論に昇華させた。 その後、シュライアマハーとディルタイの解釈学は、「ロマン主義的解釈学」であるとしてハンス・ゲオルク・ガダマーによって批判されたが、解釈学の伝統は、マルティン・ハイデッガーの存在論的解釈学などを通じて現在も哲学の一潮流として影響を与え続けている。
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