実証主義論争以降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 02:29 UTC 版)
ガダマーは、シュライアマハー、ディルタイのロマン主義的・歴史主義的な解釈学を批判した上で、ハイデッガーの現象学的解釈学の成果を取り込み、主著『真理と方法』(1960年)において、理解は過去が現在に媒介される出来事、過去から伝わったテクストの意味への参与であり、テクストの内容を現在に生かす「適用」は、理解においていつもすでに起きていると考えなければならないとして、ドイツの哲学的伝統に則りながら、それまでの解釈学に代わる新しい解釈学をうち立てた。 ハーバーマスは、『社会科学の論理』(1967年)において、ガダマーの主著『真理と方法』における「理解されうる存在は言語である」とのテーゼを労働と支配という社会の実在連関を捉え切れていない言語の観念論であり、言語は制度化された暴力を正当化する道具にもなりえると批判すると、同年、ガダマーは、『修辞学・解釈学・イデオロギー批判』において、社会的現実的強制もまた言語的に分節化されなければならないと反論し、論争に至った。その後、ハーバーマスは、『解釈学の普遍性要求』(1970年)において、「深層解釈学」、「普遍的語用論」という視点を基に、ガダマーの主張する伝統による言語によって見出されるされる真理とは体系的に歪められたコミュニケーションかもしれず、保守的なイデオロギーとして機能すると再度批判し、ガダマーも再反論した。
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