実証史学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 13:50 UTC 版)
実証史学は、実証性を重視し、客観的、価値中立的、科学的な歴史研究を唱えた。李丙燾(朝鮮語版)など、日本の歴史学界で専門教育を受けた歴史学者が中心となった。独立後、大韓民国の歴史学界では、マルクス主義歴史学が禁止されたため実証史学が主流となったが、民族史観の立場からは、実証史学は植民史観の亜流だと批判を受けることもある。 安秉直、李栄薫らは、経済史を中心にした実証的な研究に基き、植民地時代に朝鮮の近代化が進められたとする植民地近代化論(식민지 근대화론)を主張している。彼らは、それまで民族史観が唱えていた資本主義萌芽論、内在的発展論、植民地収奪論などは、実証的な裏づけがないと批判している。逆に民族史観側からは、植民地近代化論は植民地支配を正当化するものだとする非難を受けている。 並木真人、松本武祝、尹海東、林志弦らは、植民地時代の近代性の様々な様相に関する植民地近代性論(または植民地近代論ともいう)を研究している。植民地近代化論が経済史を主にしているのに対し、植民地近代性論は社会史を主にしている。植民地時代に朝鮮でも都市文化が生まれ、「支配-抵抗」という民族史観の二分法的図式では捉えきれない、様々な動きがあったとする。
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