実証主義と道徳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/23 01:05 UTC 版)
これまで道徳を説くさいに用いられてきた古い神学的な観念は、いまでは不信の目でみられている。神学的思考や形而上学的思考が説く道徳観は「利己主義」的な人間観を前提にしている面がある。たとえば、神学的思考では、人間は放っておけば利己的であると考えたうえで、それを克服するために厳格な信仰と道徳訓練を勧めるというスタイルがふつうである。これに対して、実証主義は人間社会を観察することによって、社会でひとびとはたがいに分業を通じて相互依存しているので、公共の福祉の追求が結局は個人の幸福につながることを合理的にあきらかにする。だから、今日の社会の道徳的再建のためにも、実証主義こそが適切である(11~15章)。コントのこの発想が晩年期の「人類教」の提唱につながっていく。
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