ドイツ行政法での議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 14:05 UTC 版)
ドイツ行政法では行政組織法は行政法の主要な要素とみなされてきたが、オットー・マイヤーは『ドイツ行政法』で行政官庁法の法的性質は「公権力の行使をなす地位への指定及びそれらの地位の間の権力の分配」にあるとして組織法を行政法学ではなく国法学で扱われるべきと主張した。一方でマイヤーは官吏法(公務員法)に関しては行政法学の対象としていた。組織法を行政法学から排除する潮流は、ドイツの行政法学で踏襲され、ヴァルター・イェリネック(Walter Jellinek)もマイヤーが官吏法のみを留保して組織法を行政法学から排除したことを評価した。 しかし、マイヤーの体系には異論も出されるようになり、E.カウフマンは一定の行政課題に対して一般行政の行政庁と特別行政の行政庁のどちらが権限を有するのかや、一般行政庁と特別行政庁の関係などは行政法の法的問題であるにもかかわらずそれを扱う余地がないと批判した。 また、O.マイヤーやW.イェリネックは「行政庁」とは別の「機関」の概念を排していたが、F.フライナーは「行政庁」と「機関」を別々に論じたほか、E.Rフーバーは「機関」を前提に「行政庁」を論ずるなど学説上混乱がみられた。 ドイツの行政法学ではE.ラッシュが組織規範には課題規範、授権規範及び制限規範だけでなく公民に対する排他性規範や法執行規範も含まれるとするなど複合的性格を認めるようになっている。
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