ビュラン
【英】:BURIN
銅版や木口木版を彫るために用いる彫刻刀。全長約12cmの鋼鉄製の棒で、刃先は斜め45度に切断され、菱形か正方形の断面を持っている。他端から全長の3分の1の部分で折れ曲がっており、その先に木製の握りがついている。使用法は、指で先端の方向を定めながら、握りを手のひらで押し、版面に水平に近く彫り進める。刃先はV字型に版面に食い込み、明快で硬質な線が刻まれる。抵抗の大きいビュランを自在に操り、髪の毛の数分の1の線からあらゆる太さの線までを彫刻するには相当の熟練を必要とする。ビュランは、銅版画の中でも直刻法によるエングレーヴィング版画、そして木口木版画の中心工具であって、鋭い刻線によって繊細で精密な表現を可能にする。ところで、木口木版画も含めて線刻彫版画をエングレーヴィングと総称するが、またこの彫刻刀の名をとってビュランと呼ぶこともある。
ビュラン
ビュラン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/27 05:16 UTC 版)

ビュラン(英:Burin)は、版画で使用される鋼の切削工具である。
名称はフランス語のburin(常温のノミ)に由来し、古代英語のGraver(彫刻師)と同義語である。
形状
ビュランは、キノコのような形をした丸いハンドル(フランスでは実際にシャンピニョンと呼ばれる)と、そこから斜めに伸びた強化鋼のシャフトで構成されており、先には非常に鋭利なカッティング・チップがついている。
最も普及しているものは正方形または菱形のフェイスが付いたタイプだが、他にも多くの種類がある。ティント・タイプは、歯のついた正方形のフェイスを持ち、細かく間隔の狭い線を引くことができる。ステップル・タイプは細かいドットを打つことができ、長方形のフェイスを持つフラット・タイプは広い範囲を切削するのに使われる。
使用法

ビュランは主に凹版彫刻に使用されるが、レリーフ木版の作成にも使用する。
通常、版画家はサイズと形状が異なるいくつかのツールを使う。版画家は手のひらでハンドルを支え、人差し指と中指をシャフトに添えて、版木に対して約30度の角度で作業を行なう。
16世紀のフランドルの版画家ヘンドリック・ホルツィウスは、自分の手の形が偶然この工具の使用に適していることに気づき、巧みな使用法を考案した。
その他
脚注
- ^ Alexia Rostow. “Porcuprints-Printmaking”. 2011年8月6日閲覧。
外部リンク
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