染付とは? わかりやすく解説

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染付

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/30 12:44 UTC 版)

青花蓮池水禽文大盤 中国・元時代(ホノルル美術館蔵)
伊万里 染付皿(芙蓉手)

染付(そめつけ、: blue and white)とは、白色胎土で成形した素地の上に酸化コバルト(II)を主とした絵の具で模様を絵付し、その上に透明をかけて高温焼成した陶磁器。おもに磁器で、模様は色に発色する[1]

中国語では「青花瓷(せいかし、拼音: qīng huā cī)」、または「釉裏青(ゆうりせい、拼音: yòu lǐ qīng)」という漢字表記で書いている。

概要

透明釉の下に発色層がある釉下彩技法の一種である。 同じ酸化コバルトの発色であるが、低温釉を使った唐三彩の藍彩などは染付ではない。この絵の具の材料は、日本では呉須(ごす)と呼んでいる。江戸時代には、茶碗薬とも呼んだ[2]

コバルトを含むこの材料は、中国でも輸入品が多く、元末から明初では西南アジアから輸入されたスマルト、蘇麻離青または蘇勃泥青とよばれる濃い藍のガラスを使用していた。その後も外国から輸入される材料を回青と呼んでいる。また、中国国内で産出する土青、石青などと呼ばれる呉須も使用されるようになった。近代以降はドイツ産などの人造コバルトも多く使用されている[3]

日本では、磁土を一度素焼きしてから、呉須で図柄を描き、その上から透明釉を掛けて再度焼成(本焼き)するのが一般的である。中国では、素焼きをしていない素地に呉須で図柄を描き、その上から透明釉を掛けて焼成する技法(生掛け)が原則である[4]。ただし、極端に薄い磁器は素焼きをするし、生掛けは初期伊万里でもみられる。

歴史と影響

中国・唐時代 インドネシア沈没船出土

時代後期の9世紀ころとされる、インドネシアでの沈没船英語版から発見された染付小皿がある。河南省の窯からも9世紀とされる同様な染付陶片が発見されている。時代から景徳鎮窯で盛行し、15世紀には、李氏朝鮮、ベトナムなどに広まった。日本では17世紀に伊万里焼が作り始めた。オランダのデルフト焼の多くは釉下彩であり、染付軟質陶器である[5]。また、デンマークのロイヤルコペンハーゲンの製品は染付磁器である。

脚注

  1. ^ この項目は、世界美術小辞典1972を主要典拠とする
  2. ^ 和漢三才図会 第61巻 雑石類
  3. ^ 内藤 匡 1986
  4. ^ 佐藤雅彦 1979
  5. ^ 前田正明 1980

参考文献

  • 佐賀県立九州陶磁文化館監修『古伊万里入門』、p.15、青幻舎、2007年。ISBN 978-4-86152-118-8
  • 「世界美術小辞典-31-東洋陶磁・ガラス-2-,日本編・染織-1-」。新潮社、『芸術新潮』1972年6月号。ISSN 0435-1657
  • 佐藤雅彦、平凡社カラー新書『中国やきもの案内』、平凡社、1979年。全国書誌番号:80003980
  • 内藤 匡『新訂 古陶磁の科学』、二玄社、1986年。
  • 前田正明『西洋陶磁物語』、講談社、1980年。全国書誌番号:81012487

外部リンク


染付

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 22:36 UTC 版)

有田焼」の記事における「染付」の解説

染付は、8時間から9時間、約900度の素焼窯での焼成行程の後、呉須で絵紋様を描くものである細筆での輪郭描きと、紋様塗り込める濃(だみ)の行程とに分かれダミは太いダミ筆を用いて細筆描いた輪郭内側部分に染付の濃淡付け職人技法である。染付の原料となる呉須江戸時代までは明(中国の王朝)から、また明治時代以降西洋からのコバルトを使う技術用いられている。

※この「染付」の解説は、「有田焼」の解説の一部です。
「染付」を含む「有田焼」の記事については、「有田焼」の概要を参照ください。

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