黒絵式とは? わかりやすく解説

黒絵式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/17 00:51 UTC 版)

ヘラクレスゲーリュオーンが描かれた黒絵式アンフォラ。紀元前540年(バイエルン州立古代美術博物館蔵)
黒絵式アンフォラ。紀元前6世紀(ルーヴル美術館蔵)

黒絵式(くろえしき、: black-figure)は、紀元前7世紀からあらわれた古代ギリシア陶器の壺絵の技法の一つである。黒像式(こくぞうしき)とも呼ばれる。

黒絵式の時代は、特に紀元前7世紀から5世紀の間とされるのが一般的だが、紀元前2世紀頃と遅い説もなされている。技法のスタイルは、黒絵式より先に起きた東方化様式と続いて起こる赤絵式の時代と区別された。素焼きの明るい地の上に黒色を主とする装飾画が描かれるのでこの名称がある。焼成前に人物像などを黒色の平塗りで形をとり、細部は針で引っ掻いて白や赤線で描かれるので、きびきびとした描線を特色とした。紀元前7世紀のコリントス[1]で発明され、アッティカアテナイ)に伝わった。重要な生産拠点としてラコニアスパルタ[2]ボイオーティア[3]エウボイア島エレトリア[4]、東部ギリシア[5]エトルリアなどに広まっていった。

脚注・出典

  1. ^ M. T. Campbell A Well of the Black-figured Period at Corinth, Hesperia, vii (1938), pp. 557–611.
  2. ^ C. M. Stibbe Lakonische Vasenmaler des sechsten Jahrhunderts v.chr., 2 vols, 1972. M. Pipili Laconian Iconography of the Sixth Century BC, 1987
  3. ^ K. Kilinski II Boiotian Black Figure Vase Painting of the Archaic Period, 1990
  4. ^ J. Boardman Pottery from Eretria, Annu. Brit. Sch. Athens, xlvii, 1952, pp. 1–48
  5. ^ R. M. Cook and P. Dupont East Greek Pottery, 1998

関連項目


黒絵式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 05:28 UTC 版)

古代ギリシアの陶芸」の記事における「黒絵式」の解説

黒絵式(くろえしき black-figure)の時代紀元前620年から紀元前480年ごろで、アルカイク期中期から後期にほぼ相当し黒像式こくぞうしき)とも呼ばれる人物像などシルエット描き線刻詳細な描写をするという技法で、紀元前7世紀コリントス発明された。そしてコリントスからアッティカアテナイ)、ラコニアスパルタ)、ボイオーティアエウボイア島エレトリア)、ギリシャ東方島々などに広まっていった。 コリントス産の黒絵式陶器については Humfry Payneや Darrell Amyxの研究詳しく動物人物並行して主題として描かれている。動物主題とした絵は花器や壷に多く初期コリントス陶器見られるコリントス絵付師らは次第人物の描写上達していき、帯状動物の絵が小さくなり、人物描写した場面大きくなっていった。しかし、紀元前6世紀中ごろまでにコリントス絵付師の腕はひどく低下し一部絵付師はアテナイ陶器真似て地の色をスリップ液状粘土)で赤く染めるまでになった。 黒絵式が様式として完成したのはアテナイである。絵付師が署名し始めたのもアテナイでのことで、ソフィロス署名したものが現存する中では最古である(紀元前580年ごろ)。これは墓の装飾など記念碑的な作品作るようになったために絵付師が芸術家として注目されるようになってきたことを示している。例えばクレイティアスの「フランソワの壷」はエトルリア人の墓から見つかった。黒絵式の傑作とされるものは、エクセキアス作品や「アマシス画家(Amasis Painter)」の作品で、彼らの構図物語性同時代絵付師とは一線を画している。 紀元前520年ごろに赤絵式生み出されその先駆けとしてアンドキデス画家英語版)、オルトス英語版)、プシアクス(英語版)といった絵付師がバイリンガル陶器英語版)(一面が黒絵式で反対側が赤絵式陶器)という形でこれを導入していった。その後赤絵式主流となったが、黒絵式のアンフォラ紀元前4世紀ごろまで生産され続けた

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「黒絵式」を含む「古代ギリシアの陶芸」の記事については、「古代ギリシアの陶芸」の概要を参照ください。

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