チューリップとは? わかりやすく解説

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tulip

別表記:チューリップ

「tulip」の意味・「tulip」とは

「tulip」とは、チューリップのことを指す英語の単語である。チューリップは、ユーラシア大陸中央部から西部にかけて自生しその後世界中広がった植物である。特に、オランダはチューリップの栽培が盛んで、多種多様な品種存在する。花の形状色彩美しさから、観賞用として庭や公園花壇などでよく見かける

「tulip」の発音・読み方

「tulip」の発音は、IPA表記では /ˈtuːlɪp/ となる。IPAカタカナ読みでは「トゥーリップ」、日本人発音するカタカナ英語では「チューリップ」と読む。この単語発音によって意味や品詞が変わるものではない。

「tulip」の定義を英語で解説

「tulip」は、英語で「A tulip is a plant with large, brightly colored, bell-shaped flowers on long stems.」と定義される。これは、「チューリップは長いの上大きく鮮やかな色の鐘形の花を持つ植物である」という意味になる。

「tulip」の類語

「tulip」の類語としては、「flower」(花)や「bloom」開花する)などがある。これらはチューリップと同じく植物や花に関連する英語の単語である。

「tulip」に関連する用語・表現

「tulip」に関連する用語表現としては、「tulip garden」(チューリップの庭)、「tulip festival」(チューリップ祭り)、「tulip bulb」(チューリップの球根)などがある。これらはチューリップに関連する事象アイテムを表す英語表現である。

「tulip」の例文

1. The tulip is a symbol of spring.(チューリップは春の象徴である)
2. I planted tulip bulbs in the garden.(庭にチューリップの球根植えた
3. The tulip festival attracts many tourists.(チューリップ祭り多く観光客引きつける
4. She received a bouquet of tulips.(彼女はチューリップの花束受け取った
5. The tulip's vibrant colors brighten up the room.(チューリップの鮮やかな色が部屋明るくする)
6. Tulips bloom in the spring.(チューリップは春に咲く)
7. The tulip garden was a riot of color.(チューリップの庭は色とりどりであった
8. He gave her a single red tulip.(彼は彼女に一輪の赤いチューリップをあげた)
9. Tulips are native to Central Asia.(チューリップは中央アジア原産である)
10. The tulip is a popular flower in the Netherlands.(チューリップはオランダ人気のある花である)

チューリップ【tulip】

読み方:ちゅーりっぷ

ユリ科多年草鱗茎(りんけい)は卵形で、1本の出て幅広いが数つく。4、5月ごろ大きい花を1個開く。花色黄・白赤・紫などいろいろ。アジア原産で、オランダなどで改良品種が多い。観賞用鬱金香(うっこんこう)。《 春》

骨つき手羽元肉を揚げ料理一つ。骨の根元側に寄せひとかたまりにした肉が1の花に似ることからの名。

[補説] 2日本語での用法

チューリップの画像

チューリップ

1個玉が入ると開き次の入賞容易になる小型役物パチンコ3大発明のひとつに挙げられている。次の入賞閉じるのが普通。

チューリップ

作者W.P.キンセラ

収載図書ジャパニーズ・ベースボール
出版社DHC
刊行年月2003.1


チューリップ

作者潮田久子

収載図書コンポジション45―花の浮き橋
出版社日本文学館
刊行年月2007.1


チューリップ

作者秋野葉瑠

収載図書FIND
出版社文芸社
刊行年月2007.7


チューリップ

作者パウル・ヴァン・ローン

収載図書ホラーバス 第2期 1 呪いバス旅行 1
出版社学習研究社
刊行年月2008.6


チューリップ

作者早野

収載図書私って誰?
出版社批評
刊行年月2008.9
シリーズ名ちょっとミステリー


チューリップ (鬱金香)

ユリのほかの用語一覧
チオノドクサ:  チオノドクサ・ルキリアエ
チゴユリ:  稚児百合
チシマゼキショウ:  岩菖蒲
チューリップ:  チューリップ  ツーリパ・ウィオラケア  ツーリパ・カウフマニアナ  ツーリパ・クリサンタ

チューリップ

名前 Tulip

チューリップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 13:31 UTC 版)

チューリップ属
チューリップ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: チューリップ属 Tulipa
学名
Tulipa L.[1]
タイプ種
Tulipa gesneriana L.
  • T. gesneriana
  • T. linifolia
  • T. praestans
  • T. saxatilis

チューリップ英語: tulip [ˈt(j)uːlɪp])とは、ユリ科チューリップ属の植物球根が出来、形態は有皮鱗茎。和名は鬱金香(うこんこう、うっこんこう)、中近東ではラーレトルコ語: laleペルシア語: لاله など)と呼ばれる。アナトリアイランからパミール高原ヒンドゥークシュ山脈カザフスタンステップ地帯やキルギスが原産。

本項では日本では一般に栽培されているTulipa gesneriana(植物学者コンラート・ゲスナーに因む)およびそれ以外の原種・園芸種(Tulipa 属全般)について触れる。

和名について

和名の鬱金香(ウッコンコウ)は、この花の香りがスパイスまたは食品を黄色く染めるのに使われるウコンのような、臭いことに由来する。チューリップの花の香りは概してあまり良くないが、最近は香りの良い品種も増えている。1970年頃までは、牧野植物図鑑に「ぼたんゆり」という和名が載っていた。

園芸

チューリップには後述のチューリップ相場に代表されるように多様な園芸品種が存在する。外観は、花弁の先端が丸いもの・尖ったもの・フリル状のものもある。咲き方は一重から八重で、一つの球根から複数の花がつくもの、すぼまった状態で開花するものや花弁が外側へ反り返り全開して開花するものなど。花色も青以外の赤・黄・オレンジ・白・緑・紫などの単色や複数の色のものなど、数百品種(一説には7千種とも)のチューリップが存在する。青バラと同様に多くの育種家によって青いチューリップの開発が進められているが、花弁全体が青い品種は発表されていない。チューリップの花を上から覗くと、花弁の根元に青い部分が存在する。その部分には青い色素が見られ、その青い部分を増やすことで青いチューリップを作る研究がされている。

大きな球根を採取する場合は開花から約2日後に花部を切断する。また、深く植えつけると分球が少なくなるがその分、肥大は良くなる(植えつけた年は変化がなく、その次の年に影響する)。繁殖は主に分球で、実生(タネ)からは開花までに5年以上かかる。

他のユリ科の植物と同様、両性花であり、雌雄異熟によって自家受粉を防いでいる。

実生は品種改良の際に行われる。人気のある花だけに花形・花色、草姿、葉の模様、ブルームの有無、香り、早晩性、耐暑性・耐湿性、多花性、繁殖力、切花では切花寿命や無花粉化、花茎の硬さなど改良されるべき性質が多く、特に日本の高温多湿に強い品種が望まれる。ただし、野生種をはじめ交配に使える素材も多いため、時間は掛かるが品種改良は比較的容易である。

開花前に裁縫に用いる等を用いてチューリップの花の根元部分を貫通させ傷つけるとエチレンが発生し、開花期間を長引かせることができ、開花後に同様のことを行うと開花期間が短縮することがチューリップのみで確認されている。

チューリップの園芸品種群
主に栽培されているのはゲスネリアナ種 (T. gesneriana) である。これはヨーロッパに持ち込まれた改良種に名づけられた学名で、野生のゲスネリアナ種は無いとされている(元になった原種についてもよく分かっていない)
早生種
一重早咲き系 (Single Early)
デュク・ファン・トールなど、いくつかの系統がある。現在は統一された。丈は低い傾向がある。有名品種は杏色のアプリコットビューティー、ピンクのクリスマスドリームなど。
八重早咲き系 (Double Early)
八重でも早く咲くもの。花弁は晩生よりやや少なく、丈は低い。草姿は華奢。ムリロという白い品種から突然変異で生まれた品種が多く、こうしたムリロの子供は120種を超える。有名品種はピンク色のピーチブロッサム(ムリロの子供)、黄色のモンテカルロがある。
中生種
トライアンフ系 (Triumph)
最も品種数が多い品種群。以前はダーウィン系(ダーウィンハイブリッドとは別)、メンデル系やコッテージ系などに分かれていたが統一された。有名品種は紫のネグリタ、赤と黄色のキースネリス、白のホワイトドリーム、赤いプロミネンスなどがある。特殊な花色の品種も最近はオランダから多く輸入され、茶色っぽい色の「カイロ」、白に紫の絞りの「ズレル」、黒紫に黄覆輪の「ガボタ」などがある。
ダーウィン・ハイブリッド系 (Darwin Hybrids)
戦後に生まれたばかりの新しい品種群。ダーウィンとフォステリアナの雑種である。ダーウィンより大型でフォステリアナの耐ウイルス性を受け継ぐ。花色がやや乏しい。有名品種は桃色のピンクインプレッション、赤のアペルドーンとオックスフォードなど。アペルドーンとオックスフォードはオランダの町の名が付けられたライバル品種で、黄色の「ゴールデン○○(それぞれの品種名)」、オレンジと黄色の絞りの「ブラッシング○○」、オレンジに黄覆輪の「○○エリート」など、そっくりの変異種も生まれている。
晩生種
一重遅咲き系 (Single Late)
品種数は少ないが有名な品種が多い。ただ品種の寄せ集めとよく言われるように、この系統でも早生より早く咲く「イルデフランス」のようにさまざまな品種が存在する。有名品種は淡いピンクのピンクダイヤモンド、黒っぽい紫のクイーンオブナイトなどがある。
八重遅咲き系 (Double Late)
背が高く、茎が早生より強い。花弁は早生より多くなりやすい。有名品種はピンク色のアンジェリケ、白のマウントタコマなどがある。最近、花色が上下で紫と白の二段に分かれ、花弁の重ねの多い「アイスクリーム」という品種が注目を集めている。
ユリ咲き系 (Lily-flowered)
古代のチューリップはこの形が主流だったようだ。花弁の先が細く尖っているのが特徴である。多くはアクミナータと言う原種から出たもので、新旧で茎の強さが違う。有名品種は黄色のウエストポイント、オレンジのバレリーナ、白に赤の絞りのマリリンなどがある。
フリンジ咲き系 (Fringed Group)
花弁の縁がフリンジ状になっている品種。普通の系統の品種からもフリンジ化することもあり、赤花のクリスタルビューティーはアペルドーンのフリンジ化品種であるのがよい例。フリンジの強い赤花のバルバドスは蕾の時からサボテンのようだが、フリンジの弱いクリーム色のロイヤルスフィンクスは少し見ただけではフリンジかどうか判らないほど品種間でフリンジの強さが違う。有名品種はピンクのファンシーフリル、黄色のハミルトンなどがある。
ビリディフローラ系 (Viridiflora)
昔は一重遅咲に分類されていたが品種数が増え、独立した。この品種群は花弁中央に緑のラインが入るのが特徴。丈が低いアーティストを変異親とするグループと丈の高いスプリンググリーンの系統が多い。有名品種は白地に緑のスプリンググリーン、桃地に緑のグリーンランドがある。
パーロット系 (Parrot)
かなり古くからある品種群である。花弁のふちに荒い切れ込みが入る。一説では花の分化不良が原因という。古い品種は茎が弱いものが多いが、新しいものでは茎は丈夫である。普通の系統からパーロットに変異した物が99%。有名な品種は黄色に赤い絞りのフレーミングパーロット、白地に赤の絞りのエステララインベルト、紫のブルーパーロットなどがある。
レンブラント系 (Rembrandt)
ダーウィン系に羽状の斑が入ったもの。レンブラントを代表する画家たちが描いた、病気でまだら模様となったブロークンチューリップに因む。チューリップモザイクウイルス英語版が斑入り模様の原因である品種は日本への輸入が禁止されているが、現在では品種改良の結果、健康でもレンブラント模様を持った品種が出来ている。似たものにビザール、バイブルーム(ビブロメン)、ローズといった品種群がかつて存在したが、現在はほとんど残っていない。
ブロークンチューリップ
ウイルス病に罹ったチューリップのことで、現在では品種として認められていない。チューリップ・バブルの原因になったチューリップである。白地に赤のラインが入るセンペル・アウグストゥスなどがあった。
その他 (Other Species)
現在ゲスネリアナ種以外の原種やそれらの改良種も日本では栽培されるようになっている。ゲスネリアナ種よりも小ぶりで、早咲きのものが多い。また、イスタンブールチューリップもこちらに含めておく。
早生種
カウフマニアナ系 (Kaufmaniana)
カウフマン氏の名に因む。
フォステリアナ系 (Fosteriana)
フォスター氏の名に因む。有名品種は白花のピューリッシマ、その子供で黄色と白のスイートハートがある。ウイルス病に強い。ダーウィンハイブリッド系の片親になる。
サクサティリス (saxatilis)
プラエスタンス (praestans)
一つの茎から複数の花をつける。
フミリス
プルケラ
中生種
グレイギー系 (Greigii)
グレイギー種の園芸品種群。グレイグ氏の名にちなむ。葉に紫の斑が入るものが多い。
リニフォリア (linifolia)
その他
アクミナータ
原種の一つだが野生種は見つかっていない。花弁が細長いのが特徴。この品種を花粉親にして交配することでユリ咲きの品種が得られることがある。
イスタンブールチューリップ
かつてイスタンブールなど、トルコで栽培されていたチューリップ。現在見られるチューリップよりも花弁が細長い。

原産地・生産地

原産地は中央アジアとされ、現在のカザフスタン、天山山脈近辺ジャンビル地域のベリッカラ渓谷と見られる[2]。この地域では原種が自生している。原種は我々が見るものより丈が低いものが多く、花弁も多少外に開き気味である。ソグド人の骨壺にチューリップを挿した冠を被る若者が刻まれている。やがて、突厥がモンゴル高原から中央アジアへ勢力を広げ、隷属民になったソグド人から様々な文化を学んだ。この中に、チューリップを含めた花をめでる習慣があった。突厥崩壊後にその構成部族だったオグズの一派がセルジューク朝を築き、11世紀に東ローマ帝国からアナトリアを奪うと、中央アジア・イランからアナトリアへトルコ民族が続々と移住し始める。オスマン帝国の母体であるカユ部族も、チューリップを携えて移住した部族の一つであった。トルコ国内の宮殿(トプカプ宮殿等)やモスクブルーモスク等)に貼られたタイルに描かれている。生産地ではオランダが非常に有名で、球根の生産量は世界の9割をしめ[3](2位は日本である)、各国へ輸出され、球根の輸出量もトップである[4]。トルコからオランダにチューリップが伝わったのは16世紀頃、干拓によって出来た適度に湿り気を保ちながら水はけのよい土壌や冬のために養分を貯めこみ春に成長する冬春の寒暖差が大きい気候が適した。日本のホームセンターや園芸品店で販売されている球根は、ほとんどがオランダからの輸入である。

日本では、富山県新潟県で大規模な栽培が行われている。両県を合わせた球根生産での国内シェアは98%(富山県53%、新潟県45%)である。

象徴

チューリップは国家や地方公共団体等を象徴する国花や県花として制定されており、花の栽培や球根の生産は元より観光の主力として注力していることが多い。

国花

  • イランアフガニスタン、オランダ、トルコ、ハンガリー
    トルコを原産とするチューリップは、外貨獲得のために主力輸出品として活用しており、オランダでは代表的な風景の一部として、風車とともに紹介される。古くより経済に影響を与えた、重要な花の品種である。

来歴

古くはオスマン帝国でもてはやされ[注釈 1]オーストリアの駐トルコ大使オージェ・ギスラン・ド・ブスベックによって1560年代初めてヨーロッパに伝わる。この伝来のときに誤ってチュルバン(tülbend, ターバン)と伝わったために現在のチューリップという名が生まれた[5]。その後、ブスベックの友人であるフランス人植物学者のカロルス・クルシウスが、オランダのライデン大学の教授に任じられ[6]、公営植物園であるライデン植物園の設立に携わる。クルシウスはチューリップの品種改良を行い、オランダのチューリップ産業の礎を築いたが、これをきっかけにチューリップの球根が投機の対象となり、オランダでチューリップ・バブルが発生した。最盛期には、チューリップの球根1個の価格が、平均的な労働者の年収の10倍にまで高騰したが、1637年にバブルは崩壊した[7]

16世紀末にはイギリスでも栽培が始まり、カーネーションオーリキュラ (Primula auricula) と共に早くから育種が進んだ。19世紀には多数の品種が生まれ、現在でもいくつかが栽培されている。

日本への伝来と栽培

日本には、江戸時代後期に伝来したが普及するに至らず、大正時代に入って、ようやく小合村(現:新潟市秋葉区)で本格的な球根栽培が始まった。このことから、新潟地域の栽培農家は新潟が「日本チューリップ発祥の地」と自負しており、道の駅花夢里にいつには記念碑が建てられている。1963年には新潟県の県花にも指定されている。しかし、新潟県は大正8年(1919年)なのに対し、富山県では大正7年(1918年)に東砺波郡庄下村(現:砺波市)の水野豊造により栽培されていたことから、少なくとも本格的な栽培は富山県が日本初となる(それ以前より栽培はされていたが、球根状態での保存が確立したのがこの時期である)。

その後、日本では、女子児童を中心に小学生の間でチューリップが人気の花となり、校庭の花壇に植えたり、鉢植えにされたりしたほか、弁当箱の絵柄や上履き入れの刺繍などにもチューリップが選ばれた[8]

日本のチューリップ

富山県砺波市砺波チューリップ公園(2017年4月)
国営明石海峡公園(2007年4月)
湧別町かみゆうべつチューリップ公園(2006年5月)

日本にはアマナヒロハノアマナという植物が分布しており、チューリップと姿が似ている。かつてはチューリップ属に含まれていたが、形態の違いから、現在はアマナ属に分類されている。「甘菜」の意であり、食用とされた。別名ムギクワイ。水田などの水分の多い場所を好む(チューリップと違い球根は乾燥に弱い)。

県花

市町村花

日本での名所

伝説・民話

イスラエル
聖書に登場する岸辺のユリ、シャロンのバラはチューリップだといわれている。
トルコ、ペルシア
ある村にファルハドという青年がいた、彼は村長の娘シーリーンと恋をしていた。村の井戸が枯れたときにファルハドは水を得るために穴を掘った。掘ることだけに必死になり、水を得ることができたが、その頃にはシーリーンは亡き人となっていた。恋人の死を悲しんだファルハドは崖から飛び降りて命を散らす。その砕けた体から出た血からやがて真っ赤な花が咲いた。それがチューリップである。

ローマ神話

ローマ神話では、秋の神ベルツーヌが、美少女チューリップに恋をし、何度も告白した。そして、無理やり手中に収めようとしたため、貞操の神が美少女チューリップを球根に変え、あやうく難を逃れたとの言い伝えがある。それ以来、全く正反対の季節である春に美しい花を咲かせるのだそう[12]
オランダ
ある美しい少女に3人の騎士が求婚をした。一人は黄金の王冠、もう一人は、最後の一人は財宝をもって愛を囁いた。しかし、三人の騎士から求婚されたものの、誰とも選べぬ少女は悩んだ末に、花の精霊に願い、自分を花の姿に変えてもらった。結納であった王冠は花に、剣は葉に、財宝は球根になった。そして、花の姿に変えられた少女の名から、その花はチューリップと名付けられた。

チューリップ相場

デリバティブ取引の一つである商品取引は、17世紀初頭にオランダで行われたチューリップ取引が起源であるといわれている。アブラムシの持ち込むウィルスに感染すると、翌年、その球根から珍しい柄の花が咲くことがあった。当初は、植物愛好家の間のものであった取引が、経済の隆盛期であったオランダの富裕層に珍しい品種の花が愛好されることによって、それらの球根取引に投機的な資金が流入して高値で売買された。これを、チューリップ・マニアまたはチューリップ・バブルと呼ぶことがある。1634年に始まり、ハーレム、アムステルダム等での常設現物市場や、相対取引での先渡取引等、一般庶民を巻き込み借金をして買うものも現れ、居酒屋等でも売買も行われ、盛んに取引されたが、1637年の球根価格の暴落により、チューリップ・マニアまたはチューリップ・バブルは終焉した。

食用と毒性

農業従事者などが茎などの切断面や汁に頻繁にさらされると、アレルギー物質のツリパリンA英語版によるチューリップフィンガー(Tulip fingers)という接触皮膚炎を起こす場合がある。また、食用品種以外を食べると、悪心、嘔吐、呼吸抑制、動悸などを引き起こし、5日程度続く脱力感以外の症状は数日程度で収まる[13][14]。ヒトや犬猫などにとっては毒であるが、ウサギ、シカ、リス、ハタネズミ、ネズミ、ホリネズミなどの動物にとっては球根や葉などは餌であり食害される[15]

球根の糖度が極めて高くでん粉に富むため、オランダでは食用としての栽培も盛んで、主に製菓材料として用いられる。日本でもシロップ漬にした球根を使った和菓子パイが富山県砺波市で販売されている[16]。その他、花をサラダ菓子の添え物として生食することもあり、特にオランダでは花を食用に用いる料理が盛んとなっている。花弁はレタスにも似たシャキシャキとした瑞々しい食感で仄かに甘味を帯びており、サラダの他に炒め物に向く。日本でも近年、生産量が増えており、主に通信販売などで一般にも入手可能である。

食用に適するものは専用の品種で、一般の園芸品種は灰汁が強く、また農薬などの問題もあり食用は避けるべきである。また、多くの品種で全草に心臓毒であるツリピンを含み毒性がある。また球根は傷付くとアレルギー性物質のツリパリンAを生成する。

化粧品の原料

いくつかの種類のチューリップ(ピンクダイヤモンドなど)は、抗炎症作用やコラーゲン産生増強作用が明らかにされ、化粧品の原料として応用されている。

色々なチューリップ

脚注

注釈

  1. ^ 当時のイスタンブール・チューリップは現存していないが、壁画などに当時の面影を見ることができる。

出典

  1. ^ Tulipa in Tropicos”. 2014年10月2日閲覧。
  2. ^ カザフスタン – チューリップの故郷 – ウズベキスタンと中央アジアへのツアー”. Shahina Travel Ltd.. 2025年5月16日閲覧。
  3. ^ なぜチューリップといえば“オランダ”? – KIKICOCO”. 日本経済新聞社. 2025年5月16日閲覧。
  4. ^ オランダが世界一や世界初のものとは | オランダゆかりの物事典”. わたらせテレビ株式会社. 2025年5月16日閲覧。
  5. ^ Ogier Ghiselin de Busbecq in Encyclopaedia Romana”. 2016年6月4日閲覧。
  6. ^ 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、141頁。 
  7. ^ コロナ禍でオランダのチューリップ農家に何が起きたか”. ナショナル ジオグラフィック日本版 (2021年5月29日). 2025年5月17日閲覧。
  8. ^ 中村 2007, p. 155.
  9. ^ 『70回 祝福の航跡 となみチューリップフェア開幕 ブルーインパルス来た!』北日本新聞 2021年4月23日1面
  10. ^ 【たんとう花公園】たんとうチューリップまつり2024”. 一般社団法人但東シルクロード観光協会. 2025年1月7日閲覧。
  11. ^ 100万本のチューリップ祭”. ハウステンボス. 2025年1月7日閲覧。
  12. ^ ただいま仕込み時「チューリップ」。こんなよもやま話ご存知ですか?”. tenki.jp. 日本気象協会/ALiNKインターネット (2018年11月6日). 2025年1月7日閲覧。
  13. ^ チューリップ”. www.pharm.kumamoto-u.ac.jp. 熊本大学薬学部薬用植物園 薬草データベース. 2025年1月7日閲覧。
  14. ^ Tulip Bulb Toxicity” (英語). Poison Control. National Capital Poison Center. 2025年1月7日閲覧。
  15. ^ How to Manage Potential Problems Growing Tulips” (英語). Yard and Garden. 2024年10月8日閲覧。
  16. ^ “球根丸ごと菓子 人気 チューリップ産地 富山県砺波市”. 日本農業新聞. (2019年12月25日). オリジナルの2019年12月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191225113038/https://www.agrinews.co.jp/p49579.html 2024年8月31日閲覧。 

参考文献

関連項目

外部リンク


チューリップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 14:38 UTC 版)

スカイ・クロラシリーズ」の記事における「チューリップ」の解説

スカイ・クロラ イノセン・テイセス登場液冷単発エンジン牽引式戦闘機

※この「チューリップ」の解説は、「スカイ・クロラシリーズ」の解説の一部です。
「チューリップ」を含む「スカイ・クロラシリーズ」の記事については、「スカイ・クロラシリーズ」の概要を参照ください。

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チューリップ

出典:『Wiktionary』 (2021/07/16 12:01 UTC 版)

名詞

チューリップ

  1. ユリ科植物の一。チューリップ属の花の通称

関連語

翻訳


「チューリップ」の例文・使い方・用例・文例

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