おどり〔をどり〕【踊り/躍り】
読み方:おどり
1 (踊り)音楽などに合わせて踊ること。また、その動作。舞踏。舞踊。ダンス。
2 (踊り)
㋐日本の芸能で、舞(まい)と区別して、跳躍運動を主体としたもの。多くは集団性・熱狂性・庶民性をもつ。
㋑特に、盆踊り。《季 秋》「四五人に月落ちかかる—かな/蕪村」
3 「踊り歌」の略。
4 「踊り字」の略。
7 動悸(どうき)がすること。
8 江戸時代、高利貸し業者が返済期日を月末とせずに25日限りとし、これに遅れた場合は以後の4、5日でさらに1か月分の利子を取ったこと。踊り歩(ぶ)。
[下接語] 足踊り・雨乞い踊り・阿波(あわ)踊り・伊勢(いせ)踊り・大踊り・掛け踊り・傘踊り・歌舞伎踊り・看看(かんかん)踊り・組踊り・小歌踊り・小躍り・簓(ささら)踊り・素踊り・雀(すずめ)踊り・すててこ踊り・総踊り・太鼓踊り・大漁踊り・辻(つじ)踊り・手踊り・灯籠(とうろう)踊り・練り踊り・念仏踊り・馬鹿(ばか)踊り・裸踊り・豊年踊り・盆踊り・奴(やっこ)踊り
踊り
踊り「躍り・跳り・をどり」(おどり)
①運動としては、「舞い」は平面旋回運動であり、「踊り」は上下運動・跳躍運動を基本とする。「舞い」は手、「踊り」は足の動きを重視する。
②「舞い」は個人の芸能。神懸かりの巫女が舞うといった姿が原型にある。一方「踊り」は集団の芸能であり、多数の参加者が同じ芸態を揃えて踊るものであるという点が違う。
③踊りは、その激しい上下運動(「だだ」とよばれる)で悪霊をはらったり、未成仏霊の鎮魂
を行うといった呪術性を持つ。
④このような「踊り」が芸能として独立・成熟するのは中世後期。
当時の風流踊りの中で「薩摩踊り」などの名称が現れるが、これは「踊り」が独立の芸能として認識され始めたことを示し、こうした芸能の流行・伝搬といった現象も見られるようになる。江戸時代には、踊りは民謡とともに全国を移動し、各地の盆踊りに取り入れられて定着していった。
踊り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/06 06:13 UTC 版)
踊り(おどり)は、広義の日本舞踊のうちリズムに合わせた跳躍運動を主としたもの[1]。
本来、舞とは異なる性格のもので、舞が旋回を要素とするのに対し、踊りは跳躍を要素とするものをいう[2]。また、舞は個人的・芸術的な要素を古くから強くもっていたのに対し、踊りは群舞または乱舞といった集団的形態をとりむしろ生活的な要素を強くもつものだった[2]。明治以前は舞[注釈 1]とは厳然と区別されていたが、ダンスの和訳として舞踊という言葉ができ区別が意識されなくなった。
解説
人間の喜怒哀楽を表すのに適した音楽的な動きであり、舞が専門的技能を有する少数で演じられるのに対し、素人が群れをなす場合が多く、場も特殊な舞台などは必要としないという特徴がある。
踊りは民衆の中から生まれたものでありその起源を求めるのは難しい。ただ、歴史的に大きな動きとして現れるのは、南北朝の内乱後、室町時代に入って念仏踊りや分霊踊りが登場してからのことである[2]。応仁の乱の後、京都では風流踊が爆発的に流行し、幕府は禁圧したものの、町では踊りの競演が行なわれ諸地域連合の踊りへと発展した[3]。庶民は年中行事などになると大きな集団で街頭へ出て、風流踊、踊念仏、盆踊りなどに加わった[4]。
安土桃山時代に素人芸である踊りを興行化した出雲阿国らの歌舞伎踊りがあり江戸時代に大流行したが、これは語源の「カブク」が示すようにみだらな芸であり、舞が禄の対象であったのに対し取り締まりの対象であった。しかし明治維新後、舞が禄を失って絶えてしまったのに比し、現在歌舞伎舞踊は重要無形文化財になっている。
「舞(まい)」と「踊り(おどり)」は、今日では同義語のように用いられることが多いが、その場合、地域的には関東では「踊り」、関西では「舞」の使用例が卓越する[5]。元来、旋回運動をもととする舞と跳躍運動をもととする踊りは厳然と区別されていたのであり、そのことをはじめに指摘したのは折口信夫であった[6]。ところが東西における舞踊に関する地域的使用例に濃淡が生じていることは、江戸においては歌舞伎の舞台において踊りの有力な本源があるのに対し、京や大坂などの上方では能楽の舞台が舞踊の基準となる権威として機能していたという差異に由来する[注釈 2][7]。
中世後期において「舞」と言えば幸若舞(曲舞)を指すという時代があったのと同様、近世以降にあって「踊り」といえば歌舞伎舞踊を指す一時期があった[8]。踊りの起源は中世の念仏踊りあるいはそれ以前にさかのぼるが、池田弥三郎によれば、踊りの系統の芸能において芸術の領域にまで高められたのは歌舞伎以前にはないのであって、現在郷土芸能として存在するものの調査や文献資料の調査からも、種目の名称としての「踊り」は「舞」にくらべて時代が新しいと評される[8]。ただし、種目としての名称は新しいとしても宗教的ないし信仰的な動作や伝承としての起源は古かったのであり、「踊り」の名を独占するような有力なものが現れなかったの意である[8]。これは、芸能としての踊りが舞にくらべて、長い間、中央的でなかったことにも起因している[8]。
脚注
注釈
参照
関連項目
参考図書
- 池田弥三郎『芸能』岩崎美術社<民俗・民芸双書>、1968年4月。
踊り
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「桂春団治 (3代目)」の記事における「踊り」の解説
山村流(一時藤間流)舞の名手でもあり、福団治時代は舞台でしばしば粋な寄席踊りを披露していた。同じ山村流の演者であった3代目笑福亭福松に、京都の富貴等の楽屋で舞台が終わった後に直接稽古をつけてもらっている。春団治襲名を準備していたころに、6代目松鶴から『襲名するならそろそろ噺に力を入れなはれ』と言われ、襲名後は高座ではほとんどやらなくなった。しかし、この舞踊の素養が春団治の落語に活きているのは、自他共に認めるところであった(小佐田定雄『噺の肴 らくご副読本』、桂米朝『藝・これ一生』他)。
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「踊り」の例文・使い方・用例・文例
- その祭りは音楽や踊りで非常に華やいでいた
- 踊りがとても上手ですね
- 彼女の踊りはすばらしい
- 彼女はかわいい子供たちの踊りにうっとりした
- 彼女の踊り方はとても優雅で女性らしい
- その少女の踊りには天与の才能が感じられた
- ゴーゴーの踊り手
- 踊り上がって喜ぶ
- 私たちは夜通し踊り続けた
- もしかしたら彼女はその踊りを1週間でマスターすることができるかもしれない
- 彼らは輪になって踊り始めた
- ちょうど彼がスポーツを愛しているように,彼女は踊りを愛している
- 私は茶道はもちろんのこと,書道,踊りそれにお花を習った
- 踊り子たちはぐるぐる踊り回った
- その踊り子はくるりと回転した
- 彼らが自慢の踊りを披露します
- 一緒にラストダンスを踊ります
- 盆踊りは日本の伝統的な踊りです。
- クラーベの音に合わせて体が自然に踊り始めた。
- コティヨンはフランス宮廷で最初に発展した踊りの形式である。
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