土崎神明社祭の曳山行事とは? わかりやすく解説

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土崎神明社祭の曳山行事

名称: 土崎神明社祭の曳山行事
ふりがな つちさきしんめいしゃさいのひきやまぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 土崎神明社奉賛会
指定年月日 1997.12.15(平成9.12.15)
都道府県(列記): 秋田県
市区町村(列記): 秋田市
代表都道府県 秋田県
備考 7月20・21
解説文: 土崎神明社土崎港中央三丁目湊城本丸跡祀られ土崎港各町の総鎮守として崇敬されている。土崎湊は、室町時代末期の『廻船式目かいせんしきもく】』に北国七湊一つ数えられたが、慶長七年一六〇二)、佐竹義宣の入封によって一時荒廃する至った。しかし、まもなく久保田城門戸をなす湊として甦り、湊八丁呼ばれる町並み形成した。湊八丁は、上酒田町・下酒田町新城しんしろ】町・永覚えいかく】町・加賀【かが】町・小鴨【おがも】町・【かやむら】町(肴町)・菻【がつき】町で、一七世紀後半に穀保【こくぼ】町・新町が加わり一〇となった土崎神明社氏子町内は、行政区画では三三町内、旧町内単位では四七町内となっており、各町内神社は六〇社を数える。
 土崎神明社祭りは「大お祭り」と呼ばれ明治以前旧暦六月二十日二十一日その後月遅れ七月二十日二十一日となって、現在は新暦七月二十日二十一日となっている。祭礼には旧町内単位曳山奉納され、その数は年によって違う。祭りは、昭和四十五年までは統前町【とうまえちよう】と呼ばれる当番町内中心に行われたその後全町内を九つの組に分けて回り番制とし、組単位当番引き受け当番町は大祭年番町呼ばれるようになったが、一般に町名前に統前を冠して呼ばれている。
 大祭七月一日巡回清祓いから始まる。神明社禰宜太鼓持ち神職付人が、年番町総代持ち供奉員・巫女曳山総括委員長宅などを訪れてお祓いを行うもので、各家では床の間祭壇設け天照皇大神掛け軸飾り御神酒・米一升・塩・灯明初穂料などを用意して待つ。この時二十一日神輿巡行の際に門前供える赤砂【あかすな】」の実子縄【みごなわ】と御幣をいただく。清祓いはこの日から十九日にかけて行われ神職二名ずつ二組に分かれて巡回する。この清祓い最後は、穀保町お旅所世話係小野家決まっている。清祓いを受ける家は二五〇軒ともいわれ、これを受けない大祭参加できない
 十四日大会設営の日で年番町に「大会所」が設置される大会所の前に竹矢来一対組み年番町」「大会所」の提灯掲げ、「土崎神明社大祭事務所」の看板をかける。十五日の午前二時丑の刻年番町役員らが衣服正し長さ四・八メートル、幅七〇センチメートルの白幟一対竹矢来中に立てる。大会所の中には天照皇大神掛け軸掲げ二本大幣束と六本の小幣束幣束八本と、各種供え物を飾る。十九日までの毎日神職大会所に出向いて祈祷をし、祭礼間中無事故好天祈り年番町役員毎朝神明社参拝する
 十六日は各町会所会所開きである。各町内会所大会所と同じく天照皇大神掛け軸掲げ大幣一本と小幣束二本あわせて三本幣束供え物を飾る。各町内曳山もこの日から組み立てられる
 十九日神輿巡行の際の休息所となる穀保町と相染町のお旅所清祓いをする。
 二十日宵宮で、各町内町内中心に曳山を曳き回し神明社参拝してお祓いを受ける。夜は神社年番町総代持ち参加して宵宮祭りが執行される二十一日本祭り奉幣神事例祭神事が行われる。例祭神事では湯立てが行われかつてはこの湯の沸き方や箒の色の変わり方で作占いをしたという。神事後、神幸祭が行われ神輿が町内を巡行し穀保町のお旅所向かい、各町内曳山お旅所前の路上決められ順番並んで迎える。この日、曳山巡行するのは穀保町のお旅所から相染町のお旅所へ向かう神輿供奉する送り曳山と、相染町のお旅所から神社向かって神輿還御出発した後に自町内に戻るための戻り曳山である。曳山毎年造り替えられ台車の上組み木綿の布で岩山を象り生木立て、その前面武者人形周囲ヤマツゲ配する毎年ではないが、曳山のほかに神明社境内年番町内などに置山作られる
 曳山台車の前三分の二に岩と人形飾り場面解説する外題掲げる。後ろ三分の一囃子方乗る組みの上には世相風刺した見返し人形文句飾り開口部の上部と左右に飾り灯籠をつけて、祭り心意気や自町内自慢する文句を書く。曳山は各山事文句や節の異なる「音頭揚げ」によって動き出す曳山かつては女人禁制であったが、現在では女性の参加多数みられるようになった
 曳山巡行随所停まって囃子演奏により曳き手若者女性子どもたち路上手踊り披露する
 この行事は、大規模な祭礼であるとともに多彩な儀礼伴い風流要素色濃く残したものとして重要である。

土崎神明社祭の曳山行事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 05:19 UTC 版)

土崎神明社祭の曳山行事(つちざきしんめいしゃさいのひきやまぎょうじ)は、秋田県秋田市土崎港地区に所在する土崎神明社例祭で、18世紀から続いている祭典行事[1] 。国の重要無形民俗文化財に指定されている[2]。毎年7月20日の宵宮(よいみや)と21日の本祭りの2日間に渡って行われる。土崎神明社例祭の俗な呼称としては、「みなと祭り[注 1]」、「土崎港曳山まつり[3]」などがある。なお、土崎地区以外の秋田市民であれば、単に「土崎の祭り」という呼び方をすることが多いほか、秋田市北部の高校生などは「ザキ祭り」などとも呼ぶ。


  1. ^ 曳山行事の直前に土崎経済同友会が土崎地区全世帯に毎年配布しているガイド冊子の名称は現在『港曳山祭りのしおり』であるが、2004年(第33号)までは『みなと祭りのしおり』であった。
  2. ^ ただ、梅雨明けの発表時期よりは早い。 それでも7月20日の秋田市は長雨の年でも晴天になる確率が高く、「祭りの日は晴れる」とも言われている。
  3. ^ 以前は「曳山車」と書いていたが、文化財の指定にあたり「車」の文字をはずすことになった[要出典]
  4. ^ 2008年現在52町内が奉賛会に加盟しており、そのうち曳山を所有する町内は35町内[要出典]
  5. ^ 会所となる場所は、多くの町内の場合、町内集会所であるが、一般の住宅や倉庫を会所とする町内もある。
  6. ^ 秋田市内全体の措置でないため、この日に休校した分の穴埋め日がいつ設けられているのかは不明。
  7. ^ 地元では音だけの花火を‘のろし’と呼ぶ。
  8. ^ 俗に、戻り曳山の反対語として「行き曳山(いきやま)」とも呼ぶ。
  9. ^ 曳山が渋滞しやすいため、前の号車が進むまでの時間つなぎで演芸を行うこともある。
  10. ^ 酒に酔っている曳子が多いことから、俗に「酔っ払いやま」とも言う(ただし、泥酔者には曳山を曳かせない)。
  11. ^ 太平洋戦争後に血なまぐさい場面が多いと禁止されていたが、少し軟らかく復活させたのだという[要出典]
  12. ^ 天然物の材料が入手困難になってきている。
  13. ^ 演芸は昭和期に入ってからの風習だが、「踊りを奉納する」と表現することが多い[要出典]
  14. ^ 1931年に、現在の新町(しんまち)(当時の下新町)が芸者衆に踊りを披露させたのが、一般の曳子の踊りの初めと言われる[要出典]
  15. ^ 町内によっては、浴衣ではなく半纏で揃えるところもある。また、演芸をする者が半纏で揃える町内、はたまた、戻り曳山のときだけ半纏を着用する町内もある。
  16. ^ サラリーマンの給料とは違う意味であることに注意。
  17. ^ 従来は9年周期であったが、町内が増え、3町内から5町内で統前を取り仕切るようになっているのに対し、相染町が12町内で仕切るので、相染町が5年ごとに統前を実施することと決め、統前のサイクルは10年に変更された[要出典](事実上の実施開始時期は、2010年に相染町が統前を務めたときから)。
  18. ^ 2006年から「統前町実行委員長」。『みなと祭りのしおり』・『港曳山祭りのしおり』第8号 - 34号によれば、過去には「年番町祭典委員長」(1979年 - 1982年)・「年番町祭典総括委員長」(1983年 - 1984年、1988年 - 1990年)・「年番町総代」(1985年)・「祭典総括委員長」(1986年)・「統前町祭典総括委員長」(1987年)・「年番町大祭典委員長」(1991年)・「大祭典委員長」(1992年、2001年、2003年 - 2005年)・「大祭典総括委員長」(1993年 - 2000年、2002年)。
  1. ^ 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、1頁
  2. ^ 「土崎神明社祭の曳山行事」文化庁公式HP
  3. ^ 土崎港曳山まつり実行委員会
  4. ^ 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、142-143頁
  5. ^ a b 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、84頁
  6. ^ 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、28頁
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、60-67頁
  8. ^ a b c d e f g 港ばやしの曲目(港ばやし保存会)
  9. ^ a b c 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、170-171頁
  10. ^ 曳山行事(土崎神明社)
  11. ^ 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、137-158頁
  12. ^ 細川レコード 2013年7月閲覧
  13. ^ a b c d 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、68頁
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、77-83頁
  15. ^ a b 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、37頁
  16. ^ a b c d 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、41-42頁
  17. ^ イザベラ・バード「日本奥地紀行」
  18. ^ 1991年、港和会顧問 大川正二作成の図表による(秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、96頁)
  19. ^ 秋田市 土崎支所 土崎港曳山祭り を参照。
  20. ^ 野城千穂 (2020年4月21日). “秋田)土崎の曳山まつり中止 戦後初”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASN4N7X9CN4NULUC01S.html 2020年4月21日閲覧。 
  21. ^ a b c 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、153-154頁
  22. ^ 秋田市教育委員会・「土崎港祭りの曳き山行事」調査記録委員会編集『土崎神明社港祭り曳き山行事』土崎神明社社務所、1993年、137-142頁
  23. ^ a b 土崎経済同友会『みなと祭りのしおり』・『港曳山祭りのしおり』第1号 - 40号(1972年 - 2011年)
  24. ^ 平成24年土崎港曳山まつり交通規制図(PDF)
  25. ^ a b 『港曳山祭りのしおり』土崎経済同友会、第40号(土崎地区全世帯配布)、2011年、表紙
  26. ^ 土崎神明社奉賛会『曳山 土崎神明社祭の曳山行事伝承活用テキスト』秋田市教育委員会、2002年、78頁
  27. ^ 銭谷名誉会長逝去(土崎神明社)
  28. ^ 秋田魁新報 2010年3月24日4面 喪主名での銭谷象二郎死亡広告に「長男 銭谷眞美」の記載あり。
  29. ^ 秋田魁新報 2010年3月25日3面 土崎神明社名での銭谷象二郎死亡広告に「当神社奉賛会名誉会長 銭谷象二郎殿」の記載あり。
  30. ^ 土崎経済同友会『みなと祭りのしおり』第21号(1992年)、第22号(1993年)
  31. ^ 秋田市住居表示旧新対照一覧 ツ
  32. ^ 秋田市住居表示新旧対照一覧 シ(将軍野)


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