大善寺玉垂宮の鬼夜とは? わかりやすく解説

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大善寺玉垂宮の鬼夜

名称: 大善寺玉垂宮の鬼夜
ふりがな だいぜんじたまたれぐうのおによ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 大善寺玉垂宮鬼夜保存会
指定年月日 1994.12.13(平成6.12.13)
都道府県(列記): 福岡県
市区町村(列記): 久留米市大善寺
代表都道府県 福岡県
備考 1月7日
解説文: 久留米市大善寺玉垂宮伝承されている鬼夜行事は、十二月三十一日のオニビトリ(鬼火採り)から始まる。この火は神殿奥にて一月七日まで守られる
 鬼夜大松明は、かつては前日一月六日作っていたが、現在は人手都合などもあって四日作っている。この松明大字宮本六つの字がそれぞれムラヨリといい全戸参加して作って奉納するもので、一番松明から六番松明六本となっている。直径二〇センチほどの孟宗竹三本束ねて入れその周囲笹竹寄せて回し、さらにそのうえを直径三~四センチほどの真竹包み込んで化粧竹とする。火をつける頭には枯れた入れて切り口揃えこの上に頭の方から七本・五本・三本縄を掛けて結び、同様に根元側から同じく七五三縄を掛けて男結びにする。大松明の胴を縛る縄二本回し一年日数を表す三六五か所、閏年場合には三六六か所を縛る。大松明末端はかずらの縛り尻縄【しりなわ】を付ける。
 祭り当日七日は、昼の鬼面尊【きめんそん】神事から始まる。神社から迎え受けた赤司家と川原家の人たちによって鬼面尊の面が本殿から阿弥陀堂奉遷される。この神事のなかで種蒔き神事行われる。これは神前供えた玄米用いて行われるが、この玄米神官によって正月十四日ドンドの日に粥に炊かれ四月十一日の御田祭おんだまつり】の当日に粥の表面発生したカビ具合によって五穀豊凶風災害の予測などが占われる。これをカビ占いという。
 夕方鬼面尊神は再び本殿に遷される。日暮れとともにタイマツマワシの氏子たちが褌姿で次々と集まり一同揃った大松明の組ごとに神前流れ川【あられがわ】で水垢離【みずこり】をとる。これをシオイガキといい、小松明を持ち気勢上げながら駆け足二度本殿間を往復する。なお、これに先立って宮の関係者によるシオイガキが行われ、この折りに汐井が汲まれカビ占いの粥を炊くとして保存される
 内外明かりをすべて消したなかで松明揃えを行う。一番鐘の合図一番組から大松明に向かう。六組が揃ったところで二番鐘が打たれ、赤司家の者によって本殿保存されていた鬼火運ばれ大松明着火する。なお、この大松明の火に当たると無病息災になると信じられている。
 この大松明明かりの下で鉾面神事が行われる。この神事は赤司家の二名務め行事で、阿弥陀堂の前で行い介添役の若者鬼の面被った二人からその持つ鉾を奪い取る「ほことった」、被った面を奪い取る「めんとった」、この二名が腰に帯びた刀を抜く「そらぬいだ」という三つ儀式からなる
 鉾面神事が終わると大松明回しが始まる。大松明本殿阿弥陀堂鐘楼取り巻くようにに右回りに一番松明一回、その他は二回まわる。
 タイマツマワシが始まるに先立って鬼役は人に知られぬように阿弥陀堂に籠もる。麻製の被り物着けシャグマという子供たち阿弥陀堂板壁叩いて鬼の出現促すなか、鬼は麻で作った頭から被って堂を出て、タイマツマワシの闇を縫って阿弥陀堂周囲を七回半右回り周回する。この鬼の周回数える役を数取りといい川原氏が務める。川原氏は小槌持ち鬼が来るたびにこれで鬼の頭を軽く打つ。この小槌叩いて貰うと無病息災得られるといい、参拝者叩いてもらいに来る。
 回り終えた一番松明境内から総門潜って川の堤防にシオイガキに向かう。
 大松明のシオイガキとともに鬼のシオイガキが行われる。大松明明かり避け建物の陰を縫いながら川へと向かい終了後本殿一気駆け込む。ここで、鐘楼の鐘七・五・三打たれる。これをヤクガネといいすべての行事終了したことを示すもので、勝田氏が務めることとなっている。
 大善寺玉垂宮の鬼夜は、その規模においても特筆される火祭りである。この行事小正月火祭り追儺儀式結び付いたもので、周辺同種の行事存在から天台修験影響推測される行事種蒔き神事などの農耕や、鬼役人目にふれずに行動すること、大松明のシオイガキなどに特色ある形態残していること。大松明奉納やタイマツマワシを玉垂宮氏子務め、鉾面神事鬼役数取り役・ヤクガネ打ちなどの主要な役が特定の世襲家筋務められるなど、地域社寺が一体となって執行していることなど、多様な要素内容とを具備しており、この地方年頭火祭り行事代表するのである



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