しゅう‐かい〔シウクワイ〕【周回】
周回
『古事記』上巻 イザナキ・イザナミの2神はオノゴロ島に降り立ち、天の御柱を見立てた〔*実際に柱を立てたとも、島にある木を柱と見なしたとも、両様に解釈できる〕。イザナキは天の御柱を左からまわり、イザナミは右からまわって、出会った所でイザナミが先に「あなにやし、ゑをとこを」と言葉をかけ、結婚した(*→〔子捨て〕3)。しかし、良くない子が生まれたため、もう一度、御柱をまわり直し、今度はイザナキが先に「あなにやし、ゑをとめを」と言葉をかけて、国産みをした。
『なぜ神々は人間をつくったのか』(シッパー)第8章「禁断のパートナー」 大洪水の後、兄妹2人だけが生き残った。兄は「妹と寝たい」と思ったが、妹は木のまわりをグルグル走って逃げた。兄は追いつけないので、向きを変えて逆方向に進んだ。当然、妹は兄とぶつかり、2人は夫婦になった(中国南西部)。
『なぜ神々は人間をつくったのか』(シッパー)第7章「両性具有」 始まりの時、男でも女でもない人間が1人、美しい庭園に住んでいた。庭園の中央に1本のヤシの木が立っており、「その周りを1周してはならない」と神は禁じた。ある日、人間は禁を破り、木の周りを歩き始める。1周して出発点に戻った時、人間は真っ二つに割れ、片方は男に、もう片方は女になった。それ以来、男と女は、失った半身を恋い焦がれるようになった(コンゴ民主共和国、ルバ族)。
『ちびくろサンボ』(バナーマン) ちびくろサンボから服や靴をもらった4頭の虎が(*→〔虎〕6)、「俺様こそが、ジャングルでいちばん立派な虎だ」と言い合って争い、互いのしっぽにかみついて、ヤシの木の周りをグルグル駆けまわる。あまりに速く走るので、虎たちの足は見えなくなる。それでも虎たちは走り続け、とうとう溶けてバターになってしまった〔*ちびくろサンボのお父さんが壺にバターを入れて家に帰り、お母さんがそのバターでホットケーキをたくさん焼く。サンボはホットケーキを169枚も食べた〕。
繋驢桔(けろけつ)の故事(森田正馬『神経質の本態と療法』第1部第2編の2) 強迫観念患者は、その症状から逃れようと努力すればするほど、ますます症状にとらわれて苦悩する。これは、禅でいう「繋驢桔」と同じことだ。桔(くい)に繋がれた驢馬が、そこから逃れようと、桔の周囲をグルグルまわるならば、ついには自分から桔に巻きついて動けなくなる。そのままにしていれば、驢馬は桔にからみつくことなく、そのあたりを遊んでいることができるのである。
*影から逃れようと走り続け、死んでしまう→〔影〕2eの『荘子』「漁父篇」第31。
『平家物語』巻5「富士川」 多くの水鳥が飛び立つ音を聞いた平家の人々は(*→〔逃走〕6)、「源氏の夜襲だ」と誤解し、陣を捨てて逃げ去った。あまりにあわて騒いで、杭につないだ馬に乗って駆ける者もおり、杭のまわりをいつまでもグルグルと巡っていた。
★5.町のまわりを回る。
『ヨシュア記』第6章 エリコの町は、イスラエルの人々の攻撃に備えて、城門を堅く閉ざした。ヨシュアは主(しゅ)の教えに従い、祭司たちに神の箱を担がせて、兵士たちとともにエリコの町のまわりを1日に1度まわった。彼らは6日間これを繰り返し、7日目には夜明けとともに起きて、町を7度まわった(7度まわったのは、この日だけだった)。7度目に祭司が角笛を吹き鳴らすと、ヨシュアは「鬨(とき)の声をあげよ」と、民に命じた→〔声〕1d。
★6.塔のまわりを百周する。
『旧雑譬喩経』巻下-48 毎日、仏塔のまわりを百遍巡る王がいた。ある日、王が塔を巡っている最中に、隣国が攻め寄せて来た。臣下たちは王の所へ駆けつけ、「塔を巡るのを今すぐやめて、敵を打ち払って下さい」と請うた。王は「敵が攻めるにまかせよ。これをやめるわけにはいかない」と答え、平然と塔を巡り続けた。すると、周回が終わらないうちに、敵は散り散りになって退却してしまった。揺るぎない心を持てば、それを打ち砕くものは何もない。
『第三半球物語』(稲垣足穂)「北極星に油をさした話」 夜中に、キキキキと星空のきしる音がするので、屋根へ登り、竿の先の筆に油をつけて、北極星の軸に塗りつけた。きしる音が止まって一安心したが、「空が速く回りすぎて暦が狂ったら、大へんだな」とも思った。屋根から下りようとした時、頭の上いっぱいにきらめく星が「サンキュー!」と云った。「僕」はコロコロとすべってストンと庭へ落ち、目をまわしてしまった。
『星座の伝説』(草下英明)8「日本の星の伝説」 長者の息子7人と貧乏人の息子1人が、一緒に寺子屋に通っていた。長者の息子たちは、何をやっても貧乏人の息子にかなわないので腹を立て、貧乏人の息子を追いかける。寺子屋の先生が、間に入って止める。貧乏人の息子も、長者の息子7人も、先生も、皆天に昇って星になった。ネノホシ(北極星)が貧乏人の息子、シチセイ(北斗七星)が長者の息子7人、両者の間にあるヤラエ(矢来)星(=小熊座のβ・γの2星をさす)が先生だ(香川県佐柳島)。
周回
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 05:45 UTC 版)
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関連項目
周回
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 14:40 UTC 版)
「ステージ (コンピュータゲーム)」の記事における「周回」の解説
エンディング終了後に2周目として最初のステージに戻り、クリアしたときの得点のまま再びゲームを続行するシステムを周回制という。上述のエンディングを重視するゲームで周回を持つものは、一旦ゲームが終了した後で再びゲームを行う際に周回数を選択できるようになるものもある。 2周目以降はステージ構成がほぼ同じであっても、敵キャラクターの強化、ステージ内容の一部変更や追加がなされる作品が多い。このような場合は特に「裏面」と呼ばれる。そうした2周目以降の変化要素の出現は作品によって扱いが様々で、必ず表現されるものと1周目の成績に対応して表現されるものがある。 このように周回を持つゲームは様々な手段で難易度を上げる措置が取られており、プレイヤーはさらにやりがいのあるゲームを体験することができる。難易度はプログラム上の単純な計算式によって上限無しに上昇するものと、一定周回までで上昇が止まるもの、一定周回まで厳密にゲームバランスが調整されているものの3種に分ける事ができる。 また、周回制度を意図して作られたゲームソフトウェアもいくつかあり、『魔界村』シリーズではより難易度の上がった二週目をクリアしなければエンディングが見られなかったり、『クロノ・トリガー』では「強くてニューゲーム」という概念を取り入れる事で、一周目の序盤では絶対に倒せないようなラストボスをゲーム開始直後など、正常なストーリー展開から逸脱した状態で倒すことでエンディングが変化するなどの要素が組み込まれるなど、隠し要素を開放するための一つとして機能することもある。 同時に、周回制度はやりこみ要素としての面も兼ね備えており、特にロールプレイングゲームで周回の要素が取り入れられる場合、一度すべてのステージやシナリオをクリアすると、現在難易度よりもより難度の高い2周目、3周目、4周目などが追加されるパターンも多い。例えば、この制度を取り入れている作品では『ディアブロ』シリーズや『ファンタシースターオンライン』シリーズなど、ネットワークに対応した作品に多く見られる。また、そうした作品の大半は一度クリアしたステージやフロアに再挑戦する事が可能なように設計されている事が大半で、特定のステージにしか出現しないモンスターや宝箱から奪えるレアアイテムを求めて同じステージを何度も周回するというプレイ方法も珍しく無い。
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周回
「周回」の例文・使い方・用例・文例
- 月周回衛星
- 速いスタートのために車を準備する自動車レースの最初の周回
- 人工の装置で、地球あるいは月の周りの軌道を周回する
- 信号が信号を受信し、それを増幅して地球に送り返す周回軌道衛星に伝達されるテレビジョン方式
- ロケットによる飛行プログラムで、1961年から1963年にかけて米国によって行われ、人類を地球の周回軌道に乗せることを目的とした
- 恒星の周りを周回するいかなる天体(彗星または衛星以外で)
- 周回するスポーツ競技で,競技場中央側の走路
- 第一宇宙速度という,物体が地球のまわりを円軌道を描いて周回する速度
- (他の物の周囲を)周回し続ける
- (他の物の周囲を)周回し始める
- 地球の周回飛行の世界記録
- カプセルとその乗客は宇宙に打ち上げられ,地球を周回して,帰還する。
- 衛星はロケットから分離すると,地上から600~800キロの所でおよそ3年間,地球を周回する。
- 9月14日の午前,月周回衛星「かぐや」が,鹿児島県にある種(たね)子(が)島(しま)宇宙センターから,H2Aロケット13号機で打ち上げられた。
- 月周回衛星「かぐや」が「地球の出」と「地球の入り」の動画を返送してきた。
- ハッブル望遠鏡は地表から560キロ上空を周回しており,1990年から宇宙のすばらしい映像を私たちに送り続けている。
- 同機は今年12月に金星の周回軌道に乗る予定だ。
- 1961年4月12日,旧ソ連のユーリ・ガガーリン宇宙飛行士は宇宙船「ボストーク1号」で地球を周回し,人類初の宇宙飛行を行った。
- 同機は地上700キロを周回する。
- ジョン・グレンさんによる米国人初の地球周回飛行から50年
品詞の分類
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