祭り当日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 04:50 UTC 版)
午後6時になると当番(男性限定)は再び山頂に集まる。「千人塚」への供養を終わらせた後、午後7時頃から親万燈に火を焚く。十分燃えたところで太い松の木を覆い、用意していたゆすり木や柴草を被せる。するといったん火勢が衰える。これを「フセル、フセ」と呼ぶ。再度火勢が盛り返すと、10人ほどでよいしょ、よいしょと言いながらゆすり木をゆすって火の粉を舞わせる。これを「ユスリ」または「火炎の舞」という。この間に「鍵万燈」を焚く係を決める。まず、当番がそれぞれ持ち寄った松明の中から、より優れた松明を12組(36本)選ぶ。鍵方6組と桿方6組に分け、残った松明は予行練習ように使われる。次に、当番の中から鍵方と桿方、それぞれ熟練者を6人選ぶ。さらにその6人から、オキテ、5番手、4番手、3番手、2番手、大将を決める。オキテは最も熟練した人、大将はまとめ役である。12名以外の人たちも二組に編成し、警備や点火の手助けをする。 「ダラ」と呼ばれる予行練習を行った後、午後9時ごろに「鍵万燈」を点火させる。係の12名は親万燈の前で円陣を組み、親万燈の火を持っている松明へ移す。ここから鍵方と桿方に分かれてすずみに火を着ける。松明を高く掲げ、火先を離さないように6人で調子を合わせながら移動する。そしてオキテ、5番手、4番手の順に松明をすずみに投げ入れる。このときお互いの位置を確認するため、大将は「コタエタ、コタエタ」、オキテや5番手以下の者は「エイトウ、エイトウ」と大声で調子をとり合う。オキテは自分の持つ松明から5番手、4番手の順に、ツボラ一つ一つへ投げ入れる。 最後の鍵部分のすずみは、大将とオキテの2人のみで焚く。このとき、松明を地面に引きずるようにして滑り降りるため、遠望者は松明の火を見失う。この見えなくなった火が再び見えることを火先が「飛ぶ」という。これを巧妙に行えないと「飛ばなかった」と非難される。昔は火の燃え具合やかぎの形でその年の稲の豊凶を占っていた。現在ではさほど意識されていない。「鍵万燈」が燃え始めると、仕掛けていた花火を打ち上げて、無事に点火したことを遠望者に知らせる。すずみは30分ほどで自然消化されるため、特別な後片付けはしない。
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