貿易協定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 09:20 UTC 版)
GATT・WTOによる多国間交渉と並行して、2国間以上による自由貿易協定が行われている。GATTが認める特恵貿易協定には、関税同盟と自由貿易圏がある。自由貿易圏は加盟国内の関税をかけず、外部に関税を設定する。西ヨーロッパでは経済圏の拡大による利益と安全保障を求めて欧州共同体(EC)を設立し、貿易障壁を撤廃して自由貿易圏を拡大した。これが現在の欧州連合(EU)となった。その他では北米・中米の北米自由貿易協定(NAFTA)、南米のメルコスール、EUとACP諸国のロメ協定、アフリカのアフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)、南アジアの南アジア自由貿易圏(英語版)(SAFTA)、東南アジアのASEAN自由貿易地域(AFTA)、太平洋地域の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、大西洋地域の大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)などがある。協定の数は1990年代から急増しており、1948年から1994年にかけては143件、WTO発足後の1995年から2008年にかけては277件となっている。 経済学的には、貿易協定で両国が自由貿易を選べばどちらも得をするが、単独で保護貿易を選べばどちらも損をするというゲーム理論における囚人のジレンマにあてはまる。貿易協定にはマイナスの効果もありうる。関税同盟によって同盟外の貿易が実現される場合はプラスの効果だが、同盟外の貿易が同盟内に替わるだけならばマイナスとなる可能性がある。自由貿易圏を作った場合も、域内貿易だけが行われるなら参加国にとってマイナスの可能性がある。 「自由貿易協定#学者の見解」および「日本のTPP交渉及び諸議論#議論」も参照 政治的には、貿易協定は比較優位と重商主義の双方から支持される理由がある。比較優位の立場からは、貿易障壁を下げて産業の特化ができる。重商主義の立場からは、輸出と雇用を増やせる。この二つは相反しているが、貿易協定を指示する国はどちらも可能という矛盾した主張をする場合がある。TPPとTITPについては、交渉が秘匿されている点、大企業の利益を優先している点で批判されている。
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