私生児
「私生児」とは、結婚していない(法律上の婚姻関係にない)男女の間に生まれた子を意味する表現である。私子、私生子、婚外子、非嫡出子(嫡出でない子)、落胤(落し胤)ともいう。「私生児」は通俗的な表現である。民法では「非嫡出子」もしくは「嫡出でない子」という。
旧民法では「私生子」または「庶子」と呼ばれた。「私生子」は父にあたる人物が認知した子を、「庶子」は父親が認知しなかった子を指す言葉であった。
婚姻関係にない男女の間に生まれた子という意味では、私生児は古今東西に普遍的にありえる存在である。
古来、結婚が尊ばれる伝統的な価値観のもとでは、私生児は差別や偏見の対象になりやすい傾向があった。現代では事実婚をネガティブに捉えない風潮もあり、私生児に対する差別的な価値観はそう強くない。もっとも、まったく問題ないというわけでもない。
現代日本では、私生児に該当する子供は、母親の氏を名乗り、母親の戸籍に入り、母親が親権を持つことになる。父親が認知しない場合、法律上の関係性がなく、相続などの対象にならない。なお、父親が認知した場合は、協議等によって父親を親権者としたり、法改正により相続対象としたりできる。
いわゆる「ひとりっ子政策」が導入されていた時代の中国では、第二子の出産が禁止されていたが、実際には第二子を生んでしまった夫婦もいる。生まれてしまった第二子は国に届け出ることができず、戸籍を持たないまま育つことになった。要するに正式な婚姻関係にある夫婦の間に生まれた私生児のようなものである。中国のこうした子は「黒孩子(ブラックチルドレン)」と呼ばれている。
しせい‐じ【私生児】
しせいじ【私生児】
私生児
私生児
嫡出
私生児
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:21 UTC 版)
「連合国軍占領下の日本」の記事における「私生児」の解説
アメリカ軍兵士による強姦などにより「GIベビー」と呼ばれる占領軍兵士と日本人女性との混血児が大量に生まれる。混血児の多くは父親が誰か分からず、むろん母親からも歓迎されず、母親の親族や地域社会からも排斥されたため、線路脇などに遺棄されたり、嬰児の遺体を電車の網棚に遺棄するなどされていた。1948年(昭和23年)には混血児に対する民間の救済施設「エリザベス・サンダースホーム」が設立された。しかし同様の施設を日本政府やアメリカ軍が作ることはなかった。同1948年(昭和23年)に優生保護法が施行され、戦前は禁止されていた人工妊娠中絶が法的に認められた。1953年(昭和28年)に厚生省が行った調査によると、国内で4972人のGIベビーが確認されている。
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