地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 04:22 UTC 版)
地震の原因と種類
プレートテクトニクスの観点から地震を分類することができ、大きく分けて2通りの分け方がある。1つは断層で起こるもの(構造地震)とそうでないものに分けるやり方で、もう1つは複数のプレートの間で起こるもの(プレート間地震あるいはプレート境界地震, Interplate earthquake)とプレート内部で起こるもの(プレート内地震, Intraplate earthquake)に分けるやり方である。後者はよく使われており、さらに細かい分類もされている[36][37]。
以下に分類と主な日本語呼称を挙げる。
- 複数のプレートの間で起こるもの(プレート間地震、プレート境界地震)[36]
- プレート内部で起こるもの(プレート内地震)
上の分類とは別に、火山体周辺で起こるもの(火山性地震)を特別に分ける場合がある。マグマや火山ガスの移動が地震を起こすほか、周囲よりも地殻が破砕されて弱いために応力が集中して地震が起こるなど、いくつかのメカニズムが知られている[36]。
また、人工的な発破の振動などにより発生する人工地震も存在する。これに対して、自然に発生する地震を自然地震と呼ぶことがある。なお、ダムなど人工的な要因により引き起こされる自然地震もあり、誘発地震と呼ぶ場合がある(#その他参照)。
防災上の観点では、これらとは別に直下型地震(内陸地震)という分類を用いることがある。居住地域の直下で起こる浅発地震を指し、地域によってはプレート内地震だけではなくプレート間地震も起こる。南関東直下地震などの、都市で発生する直下型地震はリスクが大きいことから重要視されている[36][40]。
また、地震動が小さい割に大きな津波が起こる地震を津波地震といい、顕著な例として1896年の明治三陸地震がある[注 11]。[42]。
地震に関連するものとして、振動を起こさないスリップあるいは滑りと呼ばれる現象がある。全く振動を伴わないものもあれば、付随して弱い低周波の振動を伴う低周波地震や、低周波微動などがあることが知られている。
プレート間地震
2つのプレートが接する場所では、異なる運動をしているプレート同士の境界にひずみが蓄積し、地震が起こる。このようなタイプの地震をプレート間地震、プレート境界地震あるいはプレート境界型地震と呼ぶ[36]。
プレート同士の境界は、収束型(海溝と衝突型境界に細分される)、発散型、すれ違い型(トランスフォーム断層)の3種類に分けられる。発散型やすれ違い型は、地震が起こる範囲がプレート境界の周辺だけに限られ、震源の深さもあまり深くない。一方、収束型のうち海溝はしばしば規模の大きな地震を発生させ、衝突型は地震が起こる範囲が広く震源が深いことも多い。
- 海溝型地震
- 英名はMegathrust earthquakeがこの海溝型地震に近いニュアンスで使われている。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる海溝やトラフなどの沈み込み帯では、両者の境界が歪みを受けて地震が起こる[36]。これを海溝型地震と呼ぶが、「海溝型地震」は海溝付近のプレート内部の地震を含める場合があるため、狭義に「海溝沿いのプレート間地震」と呼ぶ場合もある。ばねのように弾性力を蓄えた大陸プレートが跳ね返るというように解説されることがあるが、プレートが引き剥がされるわけではなく、他の地震と同様に2つの地殻面がずれる形で跳ね返る。1923年の大正関東地震や想定される南関東直下地震のように、海溝から離れた深いところにまで震源域は広がっている。
- 陸側のプレートが海側のプレートに衝上する低角逆断層型となるのが典型的[36]。上から見ると、海溝の最深部をつないだ線である海溝軸よりも大陸プレート寄りの部分が震源域となる。1つの細長い海溝の中では、いくつかの領域に分かれて別々に大地震が発生する。地震の規模はM7 - 8と大きくなることがままあり、稀に複数の領域が同時に動いて後述のようにM9を超える超巨大地震となるケースもある。1つの領域では、およそ数十から数百年ほどの周期で大地震が繰り返し発生する。規模が大きい海溝型地震が海洋の下で発生した場合、津波が発生することがある。震源域が広く規模が大きいため、被害が広範囲にわたることがある。
- 発生しやすい場所は、チリ、ペルー、メキシコ、アメリカのアラスカ、アリューシャン列島や千島列島、日本、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、トンガ、ニュージーランドなどの沖合いや海岸付近である。いずれも沿岸に海溝があり、大きな海溝型地震が発生する。
- 2004年にジャワ海溝で発生したスマトラ島沖地震も海溝型地震である。また日本近海では、十勝地方の沖合で繰り返し発生している十勝沖地震(2003年9月の地震はMw8.3、最大震度6弱)や同じく根室半島沖で繰り返し発生している根室半島沖地震など千島海溝における地震、2011年3月に三陸沖の日本海溝で発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0、最大震度7)に加え、同海溝付近で繰り返し発生している三陸沖地震、近い将来にその発生が指摘され以前より地震観測網による監視体制が敷かれる駿河トラフにおける東海地震や南海トラフにおける東南海・南海地震、それらの地震(震源域)が連動することで超巨大地震となる可能性も想定されている南海トラフ巨大地震などが海溝型地震の例として挙げられる。さらに関東大震災の原因となった前述の関東地震(M7.9)も相模トラフのプレート境界がずれ動いたことによって発生した地震(「相模トラフ巨大地震」も参照)であり、海溝型地震に含まれる。
- 前述のスマトラ島沖地震や東北地方太平洋沖地震、過去に幾度も発生した南海トラフの巨大地震では、複数震源領域で短時間のうちに断層(プレート境界面)の破壊が起きる連動型地震となったため、広範囲における大規模な地震に発展している。また、大きな海溝型地震の後にはその震源域から離れた場所で内陸地殻内地震や海洋プレート内地震、または他の海溝型地震を誘発することがある(誘発地震)。
- さらに、プレート境界のうち海溝寄りの浅い領域ではしばしば津波地震が発生する。東北地方太平洋沖地震では深い領域と浅い領域が連動して破壊されたため、強い揺れと大きな津波が同時発生したとされている[43]。
- 海溝型地震に伴うプレート境界面のずれが表面にまで達した海底断層が生じ、主断層の他に平行して複数の分岐断層がみられることがある。東北地方太平洋沖地震では海底活断層やプレート境界面に沈み込んでいる海山が地震の発生に関係した可能性が指摘されているが[44][45][46]、研究途上である。
- 衝突型境界で起こる地震
- 衝突型境界では、プレート同士が激しく衝突し合い、境界部分では強い圧縮の力が働いて地震が発生する。強い力によってプレートが砕け、その破片同士がずれたり、付加体がずれたりして地震が起こる。
- 大陸プレート同士が押し合い衝突しているヒマラヤ山脈・パミール高原・チベット高原や日本海東縁部などが主な発生地である。
- 日本国内で震度を観測した地震では、1999年9月の台湾集集地震 (Mw7.6、最大震度2) 、日本海東縁変動帯域を震源とする地震で、1983年5月の日本海中部地震(M7.7、最大震度5)、1993年7月の北海道南西沖地震(M7.8、最大震度6)など。
- 発散型境界で起こる地震
- 発散型境界でも地震が起こる。大洋を縦断する中央海嶺の中軸谷の下で発生するものは海嶺型地震と呼ばれる。震源の深さは概ね12 kmより浅く、地震の規模はM6を超えることがほとんどない。発震機構を見ると張力軸が水平かつ海溝に直角で、正断層型のものが典型的[36]。
- 東太平洋海嶺、オーストラリア南極海嶺、中央インド洋海嶺、南西インド洋海嶺、大西洋中央海嶺など各地の海嶺で地震が発生する。アイスランドやアフリカの大地溝帯では、陸上にある海嶺(地溝)の影響で正断層型の地震が発生する。
- すれ違い型境界(トランスフォーム断層)で起こる地震
- トランスフォーム断層では、プレートのすれ違いによって地震が起こる。多くは海嶺周辺の海底で起こるが、陸地で起こるものもある[36]。
- 主な発生地には、アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層、ニュージーランドのアルパイン断層[36]、トルコの北アナトリア断層などがある。
- 発生例としては、1906年4月のサンフランシスコ地震 (M7.8) などが挙げられる。
内陸地殻内地震
海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百 km離れた部分まで含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及ぶ。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、プレートの表層部ではあちこちでひび割れができる。このひび割れが断層である。
周囲から押されている断層では、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(逆断層)。また、大陸プレートの一部分では、火山活動によってマグマがプレート内を上昇し、プレートを押し広げているような部分がある。また、周囲から引っ張られている断層でも、引っ張られた力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(正断層)。また、押される断層・引っ張られる断層であっても、場所によっては断層が水平にずれ、岩盤が上下に動かないこともある(横ずれ断層)。
このようなタイプの地震を内陸地殻内地震あるいは大陸プレート内地震と呼ぶ。伊豆半島や伊豆諸島、ニュージーランドなどは海洋プレートの上に位置しているが、これらの場所で起こるプレート内地震もこのタイプの地震として扱われる。このタイプの地震では地表に断層が出現しやすいため、断層型地震、活断層型地震などとも呼ぶが、プレート間・大陸プレート内・海洋プレート内地震は全て断層運動によって発生することに注意する必要がある。内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震とも呼ぶが、関東地震のように陸地の直下を震源とする海溝型地震もあるため、それと区別する意味で「陸域の浅い場所を震源とする地震」のような言い方もされる。
地震の規模は活断層の大きさによるが、多くの断層はM6 - 7、大きいものではM8に達する。海溝型地震と同じように、長い断層はいくつかの領域に分かれ、別々に活動する。同一の活断層での大きな地震の発生は、数百年から数十万年に1回の頻度とされている。都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがあるが、大きな揺れに見舞われる範囲は海溝型地震と比べると狭い領域に限られる。初期微動を検知するという原理上、緊急地震速報が間に合わないこともある。
1976年7月の唐山地震(M7.8、死者24万人・20世紀最大)、1995年1月の兵庫県南部地震(M7.3、最大震度7、死者約6,000人)や2000年10月の鳥取県西部地震(M7.3、最大震度6強)、2004年10月の新潟県中越地震(M6.8、最大震度7)や2007年3月の能登半島地震(M6.9、最大震度6強)、新しいものでは2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震(M7.2、最大震度6強)や2010年1月のハイチ地震(Mw7.0、死者32万人)などが該当する。2012年11月に福島県沖で相次いで発生したM5クラスの地震もこれに該当する。[47]
アメリカ西海岸、ニュージーランド、日本、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、アフガニスタン、イラン、トルコ、ギリシャ、イタリア、スイスなどに活断層が密集しており、大きな断層型地震が頻発する。
このタイプの地震はしばしば甚大な被害をもたらすため、将来の地震発生予測を目的に、1980年以後日本全土の活断層が調査され、危険な断層を順次評価している。兵庫県南部地震の前に公表された活断層の地図には他の大断層類と同時に「危ない断層」として有馬・高槻・六甲断層帯が危険と表示されていた。この調査は以後も継続して続けられている。
一方、ヨーロッパ中部・北部、アメリカ中部、オーストラリアなどには、過去の造山運動に伴ってできた断層があるが、その中には現在も動いている活断層がある。このような断層は、時々動いて最大でM4 - 5程度の地震を起こし、稀に被害が出ることもある。また、そのような地域でもニューマドリッド断層帯のように活断層が存在し、頻繁に活動している場合がある。
海洋プレート内地震
沈み込みの運動をしている海洋プレートでも地震が発生する。このようなタイプの地震を海洋プレート内地震あるいはプレート内地震と呼ぶ。単にプレート内地震と呼ぶときはほとんどの場合このタイプを指し、大陸プレート内地震は含まれない。プレート間地震と合わせて海溝型地震と呼ぶこともある[48]。海洋プレートにおける地震は大きく以下の2種類に分けられる。「沈み込んだ海洋プレート」では震源が深くなる傾向にあり、「これから沈み込む海洋プレート」では浅くなることが多い。
- 沈み込んだ海洋プレート内(スラブ内)で起こる地震
- 海溝を経て大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートは、マントルの中を沈み込んでいる途中で割れたり、地下深部でスタグナントスラブとなって大きく反り返って割れたりして、地震を発生させることがある。海洋プレートが沈み込んだ部分であるスラブ(板=プレート)の中で発生するので、スラブ内地震と呼ばれる。また、震源が深いことから深発地震とも呼ばれる。
- 一般に震源が深く、したがって震源と震央の距離は長い場合が多いにもかかわらず、規模が大きなものは被害としては侮れない。また深い分、広範囲で最大震度に近い揺れに見舞われることにもなる。地震波の伝わりやすさは、プレートの位置関係やマントルの深さなどでそれぞれ異なるため、震源から離れた場所で揺れが大きくなる異常震域が発生しやすいのも特徴である。
- 20世紀末以降の例では、1987年12月の千葉県東方沖地震(M6.7、深さ50 km、最大震度5)、1992年2月の浦賀水道の地震(M5.7、深さ92 km、最大震度5)、1993年1月の釧路沖地震(M7.5、深さ101 km、最大震度6)や2003年5月の宮城県沖の地震(M7.1、深さ72 km、最大震度6弱)のような被害事例が見られる。
- この他、2011年に発生した東北太平洋沖地震の余震でもこのタイプの地震が発生している他、2001年3月の芸予地震、2015年5月30日小笠原諸島西方沖の深さ682kmで起きたM8.1の地震[49]もこのタイプである。
- これから沈み込む海洋プレート内(アウターライズ)で起こる地震
- 海洋プレートが陸地側に潜り込んだ歪みを解消するため陸地側プレートが反発した時に、プレート境界型地震が起こる。歪みはこれから沈み込む海洋プレート側(海溝よりも更に沖側)にもたまっており、海底が隆起している場合がある(アウターライズ・海溝上縁隆起帯)。この歪みはプレート境界型地震の発生によって解消されるとは限らず、プレート境界型地震の前後などに、解消されなかった歪みによってずれや割れが生じ、地震を発生させることがある。アウターライズ(海溝上縁隆起帯)で発生するため、主にアウターライズ地震と呼称される(なお、こちらもスラブ内地震とする場合がある)。
- 一般に反り返った先のもっとも高い(浅い)場所が張力を受けて破壊される正断層型の地震が多い。これとは逆に震源が深い場合は圧力が働き逆断層型となる。遠方の海域で発生するため、陸地において地震の揺れそのものによる被害は少ないことがほとんどであるが、M8を超える地震がしばしば発生し、押し波から始まる津波[50]により海溝型地震に匹敵する津波災害を引き起こすことがある。このため、津波地震と同様に地震発生直後の避難が遅れて被害が拡大する恐れがある。また、大きなプレート境界型地震の後に発生する場合もあることから警戒を要するものである。
- 1933年の昭和三陸地震(M8.1、1896年・M8.2の明治三陸地震の37年後)、2007年千島列島沖地震(M8.2、M7.9の2006年千島列島沖地震の2か月後)、2012年のスマトラ島沖地震(M8.6、M9.1の2004年のスマトラ島沖地震の8年後)などの例がある[51]。この他、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震の余震でもこのタイプの地震が発生している。
火山性地震
海溝の周辺の火山弧、ホットスポット、海嶺、ホットプリュームの噴出地域では、マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生する。これらの地震を火山性地震という。火山性地震は断層の動きだけでは説明できない部分があるので、上記の3分類とは分けて考えることが多い。地震動も上記の地震とは異なる場合がある。
火山性地震は地震動の性質から2つのタイプに分けられる。P波とS波が明瞭で、一般的な断層破壊による地震と大差がないA型地震、および紡錘型の波形を持つB型地震である。B型地震はさらに周期の違いによってBL型地震とBH型地震に分けられる。広義では火山性微動も地震に含む。また、火道の圧縮やマグマの爆発・爆縮によって、一般的な断層破壊では見られない特殊な発震機構(メカニズム)を持つ地震も起こりうる。
その他
人為的・外部的要因による誘発地震
主に人為的な原因や人工物の影響で引き起こされる地震。なお、人為的によらない外部的な要因としては、様々な自然現象などが地震の引き金になっている可能性も指摘されている(詳細は後節の「#地震発生のきっかけ」を参照)。
- 大質量の移動による誘発
- 超高層建築物・ダムの建設、地面の掘削・造成、石炭・石油や天然ガスなどの採掘が地下構造を変え、地震を誘発することがある。また、ダムの貯水でも地下の岩盤における間隙水圧・応力が変化して地震を誘発することがある[52]。
- 例えば1940年には、アメリカのフーバーダム付近でM5の地震が発生した。また、インド・マハラシュトラ州西部のコイナダム付近では、1962年の貯水開始後から地鳴りと小さな地震が発生し、1967年12月10日にはM6.3の地震が起こり180人が死亡、およそ2,000人が負傷した。同時期にはダムは最高水位に達しており、貯まった水の水圧によって誘発されたものだとされている[53]。
- 電流による誘発
- 地中に電流を流すことで地震が誘発されると言う実験結果がある。ソビエト連邦がキルギスの天山山脈で、2.8 kAの電流を百回以上地下に流し込む実験を行ったところ、約2日後から地震が増え、数日のうちに収まるという現象が起こった[54]。
- 流体注入による誘発
- 水分やガスといった流体が地中に注入されることで地震が誘発されることがある。なお、自然界でも同様の現象が発生している(後述)。
- ロッキー山脈のアメリカ軍の兵器工場で、1962年3月から深さ3670メートルの地下に廃水を廃棄し始めたところ、1882年以来80年間も地震が全くなかった場所に地震が発生し始めた(デンバー地震)。注入量や圧力に比例するように地震の数が増減した[55]。また、2007年12月にスイスのバーゼルで地熱発電に利用する蒸気を発生させるために地下5,000メートルの花崗岩層に熱水を注入したところ、最大M3.4の地震が2度発生した。この地域では以前から有感地震が発生していた[56]。同様に、鉱山内のガス流体による地震の誘発作用も示唆されている[57]。また、シェールガス採掘のために地中に注入された水が引き金となったことが報告されている[58]。
地震以外の発震現象
地震とは異なり、断層のずれを伴わずに地表に揺れを引き起こす発震現象。
- 氷震
- 氷河の運動によって、自然地震に似た発震現象(氷震)が発生している[59]。
- 人工震源
- 詳細は「人工地震」を参照
- 主に軍事的な目的による爆弾の爆発、土木工事や地質調査(地震探査)による爆薬の発破などがある。これらは地震波を発生させるが、「P波に比べてS波が小さい」、「表面波が卓越する」、「すべての観測点でP波が押し波で始まる」などの特徴があり、自然地震との判別は可能である。核爆発によるものは代表的な人工震源のひとつであり、地震波を放出する性質を利用して精密地震計による核実験の監視が行われている[60]。
- 天体の落着
- 恐竜絶滅の要因と目され、現在地球で三番目の規模の小惑星衝突跡として知られる、チクシュルーブ・クレーターを生み出したチクシュルーブ衝突体の落着により起こった地震の規模は、マグニチュード11以上と推定されている。
注釈
- ^ 表面波もレイリー波とラブ波に分けられる。
- ^ 初期微動継続時間という。
- ^ 鉄道、新幹線・エレベーターの緊急停止(P波管制運転)などで使用されているシステム。
- ^ 地震波の速度は地殻の密度(深さ)により異なるため、実際には観測に基づき地震波速度を予めまとめた「走時表」を用いて算出する。
- ^ 地震計は東西方向、南北方向、上下方向の3種類の地震動の大きさをはかるので、大体の方向(16方位程度)がわかる。
- ^ 例えば、Mが1大きくなると、それが表現するエネルギー量は約32倍となる。気象庁震度階級は同一振幅・周波数が数秒間継続した理想波形の場合6galで計測値2.50、60galで4.50であるが、実際の地震波は複雑なので対応関係は表現できない。
- ^ 英語圏では普通リヒター・スケール(Richter scale、発音はリクター・スケール)という。
- ^ 活断層の統一された定義はない。古典的には、(旧来区分における)第四紀開始以降に活動したと推定される断層を活断層という。なお、2009年より第四紀の区分が変更されたので、現在の区分では「更新世中期の開始以降」にあたる。断層の活動性を考える上では、より重要度の高い「約10万年前にあたる更新世後期の開始以降」に限定する場合がある。[5]
- ^ 2000年鳥取県西部地震、2005年福岡県西方沖地震、2007年能登半島地震などは知られていなかった活断層で発生した。
- ^ 「海溝型地震」は海溝付近のプレート内部の地震を含める場合があるため、狭義に「海溝沿いのプレート間地震」と呼ぶ場合もある。
- ^ この地震は津波規模から推定されるモーメント・マグニチュード (Mw) 8.2で三陸沿岸に遡上高30m超の多津波をもたらしたが、最大震度は2 - 3だった。そのため地震の規模は長らく表面波マグニチュード (Ms) 7.6とされており、研究の進展により21世紀になって前記の値に見直された[41]。
- ^ 新潟県中越地震、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で地震被害が比較的少なかったのは、キラーパルスが少なかったからである。
- ^ 盆地状の地形に厚い堆積層がある地域を指す地質学用語で、関東平野や大阪平野などの通常は「平野」と呼称される地域も該当する。
- ^ 年換算は8万7600回
- ^ たとえばM8級の東海地震や南海地震は100年 - 150年周期で発生するとされるが、500年以上の長い周期でM8.5 - 9.0の連動型超巨大地震の発生が予想されている[76]。
- ^ 纐纈一起 (2011) は、断層のずれとひずみ量の計算から、東北太平洋沖の連動型巨大地震の周期を400 - 600年(中心を438年)とした[要出典]。
- ^ アスペリティは、微小地震の観測や立体的な地震波速度構造(アスペリティは周囲よりも地震波速度が高い)等により推定できるとされている。
- ^ すべり欠損は通常の断層運動方向とは逆であることが多いため「バックスリップ」という場合もある。
- ^ 防災科研は主に、短周期成分が多い小地震に適した高感度地震計、長周期成分が多い大地震に適した強震計、幅広い周期に適応した広帯域地震計の3種類の観測網を有する。
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