津波地震とは? わかりやすく解説

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つなみ‐じしん〔‐ヂシン〕【津波地震】

読み方:つなみじしん

体感する揺れ地震計観測される震度小さいにもかかわらず大きな津波引き起こす地震明治29年(1896)の明治三陸沖地震平成22年2010)のスマトラ沖地震がこの種の地震だったと考えられている。


津波地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/07 08:11 UTC 版)

津波地震(つなみじしん)とは、地震動から求められるマグニチュードの大きさに比して、大きな津波が発生する地震のことである[1]1972年地震学者金森博雄が定義した。

概要

海底において地震が発生し、海底面に地震断層による地殻変動が現れると、それは海水の上下動を呼び起こし、津波を発生させる。通常は、津波を発生させる地震は大規模な地震であり、体感もしくは強震動地震計などにより、津波を引き起こした地震による揺れ(地震動)を感知することができる。一般的に断層運動の大きさ(モーメントマグニチュード)が大きいほど、地震動も津波の規模も大きくなる[注 1]

しかしながら、地震動と津波の大きさがリンクしないことがあり、体感もしくは地震計によって観測した地震動は比較的小規模であるにも拘わらず、大きな津波が発生する場合もある。このタイプの地震を津波地震と呼称する。

津波の波高が大きいことから、海水の上下動の差 = 地殻の変動量自体は大きい。大きな地殻変動が通常の地震よりも長い時間をかけて発生する(スロースリップ)ことで、有感となるような短周期の地震動をあまり生じさせることなく大きな津波を発生させ、津波地震となる。また、海溝軸付近でのすべり量が大きいと津波が大きくなる[2]。一般に地震断層の破壊伝播速度は、通常の地震ではおおむね秒速2.5 - 3 km程度であるとされる。しかし津波地震では秒速1 km程度の場合が多い。このような地震では強震動をあまり生じさせないが、津波の波源域は津波が拡散するよりも早く数分以内の短い時間で広がるため、津波が大きくなる。破壊伝播速度がこれよりさらに十分遅い場合は、津波の波源域が広がる前に津波が拡散してしまい、大きな津波も発生しなくなる。

地震の揺れ自体が小さいにもかかわらず大きな津波を発生させる津波地震の特性から、地震発生直後の避難が難しく被害が拡大する危険性をはらんでいる。津波地震の顕著な例として知られる1896年の明治三陸地震では、2万人以上の死者を出した。

2011年の東北地方太平洋沖地震では、プレート境界の陸地側の深い部分のすべりにより短周期の強い地震動が発生し、沖合いの海溝側の浅い部分のすべりにより長周期の地震動と強大な津波を発生したと推定され、この陸地側と海溝側の断層破壊が往復する形で発生したと推定される。これにより広範囲で発生した海溝型地震と津波地震が連動して、津波もより巨大化された可能性がある[3]。また、明治三陸地震は主にプレート境界の海溝側の浅い部分で断層破壊が発生し、長周期の地震動と強大な津波を発生したと理解される[4][5]。東京大学の古村孝志らも明治三陸地震や同じく津波地震である慶長地震は海溝側の浅い部分で発生した地震と推定している[6]

地震学では一般的に、実体波マグニチュードに対してモーメントマグニチュードや津波マグニチュードが1以上大きくなるような地震が津波地震に分類される[注 2]

津波地震の例

近代的観測網下による津波被害を生じた主な地震とマグニチュード[2][7]
地震名 表面波マグニチュード
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津波地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:12 UTC 版)

津波」の記事における「津波地震」の解説

また、ゆっくり地震」あるいは「津波地震」と呼ばれる海底変動速さが遅い地震があることも知られている。これは、人が感じ短周期成分では比較小さな揺れ地震動)しか発生しないため一見すると小規模地震のようだが、長周期成分卓越しているだけであって、実は総エネルギー大きな地震であり、海底面変動大規模であるため、予期せぬ大津波によって被害もたらされる事がある1896年明治29年)の明治三陸沖地震津波がその例で、原因となった地震については震度分布から長らくマグニチュード 7.6、あるいは短周期地震動の観測基づいて表面波マグニチュード Ms 7.2 - 7.4 とされてきたが、その後津波マグニチュード Mt 8.2 - 8.6、あるいは津波大きさ考慮してマグニチュード8 1/4に改められ理科年表では2006年版以降この値が採用されるなど近年見直しなされた。津波地震では前記例の通り表面波マグニチュードより津波マグニチュードの方が大きくなる。 津波地震となる要因はいくつかあり、 断層破壊通常比べゆっくりと進行することで、地震動海底地形変化エネルギー通常よりも高い割合津波エネルギー変換されるプレート境界部分柔らかい堆積物があると、断層破壊ゆっくりとなることが知られている。 起震断層角度が非常に浅い場合地震動短周期であっても津波周期通常より長くなり、長周期津波減衰しにくいため津波高くなる。 主破壊による起震断層とは別に地震によって海溝付近付加体呼ばれる堆積層枝分かれした分岐断層発生し、その隆起によって津波高くなる地震動海底地形変化によって発生した大規模な海底地すべりによって津波高くなる地殻変動によって海底下の堆積層マグマ貫入し、その隆起によって津波高くなる。 などが挙げられる1,2長周期津波3,4,5は短周期津波である。上記1.要因により津波地震は、海溝付近プレート境界のうち海溝軸に近い浅い部分震源域とした地震起こりやすい。1896年明治三陸沖地震津波上記1.によって津波地震になった考えられている。また、2011年東北地方太平洋沖地震津波連動型地震であったため、地震発生初期にまずプレート境界浅部で上記1.要因による津波発生させたあと、プレート境界深部にも断層破壊及んで強い地震動発生したあと、再びプレート境界浅部で破壊起こって津波増幅した考えられている。 詳細は「津波地震」を参照

※この「津波地震」の解説は、「津波」の解説の一部です。
「津波地震」を含む「津波」の記事については、「津波」の概要を参照ください。

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津波地震

出典:『Wiktionary』 (2021/08/23 10:49 UTC 版)

名詞

つなみじしん

  1. 地震規模マグニチュード)の割に、大きな津波発生させる地震



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