じゆう‐しんどう〔ジイウ‐〕【自由振動】
自由振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/22 08:05 UTC 版)
自由振動(じゆうしんどう)とは、最初に与えられる条件を除いて、外部からの作用を受けない状態で起きる振動である[1]。叩く、変形させて放す、といった方法で起こる振動が自由振動である[2]。振り子やばね・質点の系が、自由振動の例としてよく取り上げられる[1]。自由振動では、質量、剛性、減衰といった系自体が持つ特性によって振動の形が決まるのが特徴である[3]。自由振動を測定することによって、系が持つ力学的特性を知ることができる[2]。
自由振動は減衰がない場合とある場合に分けられる[4]。減衰がない場合、振動は慣性力と復元力に決まる単振動になる[5]。このときの角振動数は固有角振動数や不減衰固有角振動数と呼ばれる[5]。減衰のある自由振動は特に減衰自由振動と呼ばれ、振動は次第に収束する[6]。実際の機械・構造物には何らかの減衰があるため、自由振動は通常は時間とともに収まり、消失する[1]。減衰自由振動の角振動数は、減衰固有角振動数と呼ばれる[7]。
自由振動と対称になる振動には強制振動や自励振動がある[8]。強制振動は、自動車が走行中に受ける振動のように、継続的な励振作用を受けて起こる振動である[9]。自励振動は、管楽器の振動のように、外部から系に加わる作用自体は非振動的だが、系自身が非振動的作用を振動的作用に変えて起こる振動である[10]。
出典
- ^ a b c 鈴木 2004, p. 21.
- ^ a b 長松・長松 2018, p. 4.
- ^ 藤田 2016, p. 13.
- ^ 長松・長松 2018, p. 7.
- ^ a b 下郷・田島 2002, p. 21.
- ^ 藤田 2016, p. 34.
- ^ 横山・日野・芳村 2015, p. 41.
- ^ 横山・日野・芳村 2015, p. 3.
- ^ 鈴木 2004, p. 49.
- ^ 鈴木 2004, p. 129.
参照文献
- 鈴木 浩平、2004、『振動の工学』、丸善〈機械工学基礎コース〉 ISBN 4-621-07377-X
- 横山 隆・日野 順市・芳村 敏夫、2015、『基礎振動工学』第2版、共立出版 ISBN 978-4-320-08211-3
- 長松 昌男・長松 昭男、2018、『実用モード解析入門』初版、コロナ社 ISBN 978-4-339-08227-2
- 下郷 太郎・田島 清灝、2002、『振動学』初版、コロナ社〈機械系 大学講義シリーズ 11〉 ISBN 4-339-04045-2
- 藤田 勝久、2016、『振動工学 ―振動の基礎から実用解析入門まで』新装版、森北出版 ISBN 978-4-627-66542-2
外部リンク
自由振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:13 UTC 版)
M8を超えるような巨大地震では、地球全体の振動が観測される。これらは地球の自由振動と呼ばれる。膨張・収縮を繰り返すものと、ねじれ振動を行うものに大別され、それぞれ空間的な周期によって各モードに細分される。最も顕著なモードは地球全体が膨張と伸縮を繰り返すもの(0S0)で、周期は1000秒を超える。長らく理論のみで実観測例がなかったが、チリ地震で観測に成功した。近年ではM < 7の地震でも観測されることがある。 S:膨張と収縮を繰り返す。0S0は地球全体が伸縮する。0S2は両極で同じ伸縮、赤道でそれとは逆の伸縮を繰り返す。0S4は両極と赤道で同じ伸縮、中緯度で逆の伸縮を繰り返す。1S0は地表全体が伸縮するが、地球内部でまた別の伸縮をする。など(ここでは解説のために極、赤道などと述べたが、実際は緯度に規定されるわけではない。地球上での位置関係に注目されたい。Tの解説でも同じ)。 T:ねじれの振動を繰り返す。0T2は北半球と南半球で逆方向に回転する。0T3は南北の中高緯度帯で同じ向き、低緯度帯で逆向きに回転する。1T2は地表では北と南で逆方向に回転するが、地球内部では地表とは逆の回転をする。など。
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