アウトブレイク
英語:outbreak、disease outbreak
感染症について、一定期間内に、ある限られた範囲内あるいは集団の中で、感染者が予想よりも多く発生すること。特に、その集団内ではこれまで特に見られなかったような感染症が急激に広まること。「集団発生」などとも訳される。院内感染などもアウトブレイクと呼ばれる。
アウトブレイクに似た概念にパンデミックがある。アウトブレイクは限られた範囲における感染の流行を指し、パンデミックは感染が世界的規模に発展した状態を指す。相対的な表現であるためパンデミックとアウトブレイクの境界はそれほど明確ではない。
アウトブレイクが発生するケースとして、海外渡航者や輸入された動物などを介して外国の地域に感染症が持ち込まれる場合が多い。
outbreak
「outbreak」とは、勃発・大流行・暴動のことを意味する英語表現である。
「outbreak」とは・「outbreak」の意味
「outbreak」とは英語の名詞で、基本的に戦争などの「勃発」「突発」、疫病・害虫などの「大流行」「急激な増加」、「暴動」「反乱」「一揆」といった意味を表す。日本語で「アウトブレイク」として定着している。「outbreak」の覚え方として、「彼に会うと(out)、無礼句(break)をいつも述べてくるので、そのたびに口論が勃発する」などの語呂合わせが挙げられる。「勃発する」「突発する」といった動詞として表現したい場合には、「break out」や過去形「broke out」を使用する。「outbreak」の発音・読み方
「outbreak」の発音記号は、「áutbrèik」と表記される。「outbreak」の読み方は、カタカナで「アウトブレイク」と表記される。「アウトブレイク」の「ア」の部分にアクセントを付けて発音をする。「outbreak」の語源・由来
「outbreak」の語源は、英語の動詞「break」と英語の副詞「out」が組み合わさって、1600年代に成立したとされている。「break」の語源は、ゲルマン祖語を起源とする古英語の動詞「brecan」から来ている。またドイツ語の動詞「brechen」、オランダ語の動詞「breken」とも関連がある。「out」の語源は、ゲルマン祖語を起源とする古英語の副詞「ūt」、古英語の動詞「ūtian」から来ている。またドイツ語の副詞「aus」、オランダ語の副詞「uit」とも関連がある。「outbreak」を含む英熟語・英語表現
「outbreak of」とは
「(of以下の)勃発」「(of以下の)突発的発生」といった意味である。
「outbreak」に関連する用語の解説
「virus outbreak」とは
「ウイルスの大発生」を意味する。例えば「new virus outbreak」で「新型ウイルスの大発生」、「computer virus outbreak」で「コンピューターウイルスの大発生」となる。
「outbreak(ゲーム)」とは
アメリカのゲームソフトウェア「アクティビジョン」が2020年に販売した「コールオブデューティ ブラックオプスコールドウォー(CoD:BOCW)」のゾンビモードで出現するマップである。「outbreak」はオープンワールドの形式で、1人から4人で遊べる。「outbreak」を含めた全てのマップで謎解きを終えると、「スーパーイースターエッグ」の報酬が変化する。
「outbreak(感染症)」とは
医療用語で、「一定期間に、特定の地域で、特定の人間集団に、予想以上の頻度で感染症が発生すること」を意味する。日本語で「アウトブレイク」「感染爆発」「感染症集団発生」とも言う。また日本の厚生労働省が定義する「アウトブレイク」は病院などの医療機関に限定され、「一定期間に、同一病棟や同一医療機関などで、発生した院内感染が通常よりも高い状態」を指す。
「endemic」とは
英語の形容詞で、病気が「風土性の」「その地域特有の」といった意味を持つ。「endemic disease」は「風土病」「地方病」と訳され、感染症に限定されず、影響範囲が狭い地域での永久的・長期的な病気を指す。
「epidemic」とは
英語の形容詞で、病気が「伝染性の」「流行性の」といった意味を持つ。日本語で「エピデミック」「過感染」とも言う。「エピデミック」は特定の地域に感染症が広がることを指すが、その定義は一様ではない。「endemic」がさらに広範囲になったものや、「アウトブレイク」と同一のものとも定義されている。
「pandemic」とは
英語の形容詞で、病気が「広範囲に広がる」「世界的に流行する」といった意味を持つ。日本語で「パンデミック」という。世界各国で同時多発的に感染症の「アウトブレイク」が発生している状態を指す。過去にあった「パンデミック」の代表例として、「ペスト」「結核」「天然痘」が挙げられる。
「outbreak」の使い方・例文
「outbreak」の使い方として、以下の例文が挙げられる。・With the outbreak of war, many citizens fled abroad.(戦争の勃発により、多くの国民が海外に逃げた)
・All data was lost due to a computer virus outbreak.(コンピューターウイルスの突然の発生により、全てのデータが失われた)
・A outbreak against the government's decision was crushed in a day.(政府の決定に対する暴動は一日で鎮圧された)
アウトブレイク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/27 23:54 UTC 版)
医学・医療の分野におけるアウトブレイク(英: outbreak)は、悪疫(たちの悪い疾病)・感染症の突発的発生を指す[1][2]。特に、病院などの医療機関において多数の感染者が発生することを指す[3]。疫学用語の一つであり[3]、通例、感染症に対して用いる[4]。日本の厚生労働省における定義は、「一定期間内に、同一病棟や同一医療機関といった一定の場所で発生した院内感染の集積が通常よりも高い状態のことであること」とされている[3]。
概要
感染症のアウトブレイク[注 1]とは、「一定の期間内 (time) に、特定の地域 (place) 、特定の人間集団 (person) で、予想されるより多く感染症が発生すること」を指す[1][5][6]。また、「公衆衛生上重要な感染症(新興感染症など本来あってはならない感染症)が発生すること」をも指す[1]。 日本語では「感染爆発[7]」「感染症集団発生[8]」ともいい、「感染症集団発生」の前段を略して「集団発生」と表現されることも少なくない[4][8]。医療施設内で起こる院内感染によるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともある[9]。
アウトブレイクと似て非なる概念として、「エンデミック(英: endemic)」「エピデミック(英: epidemic)」「パンデミック(英: pandemic)」があるが、「エンデミック」は地域や季節的周期で罹患率が一定している状態をいい[10]、しかも伝染病に限らない[10][注 2]。「エピデミック」はエンデミックの範囲(地域的・季節的想定範囲)を越えてしまった想定外の状態をいう[11]。「アウトブレイク」はこれらとは言語的に異なる概念であるが、特に感染が一定の地域を超えて拡大するエピデミックの前段階に、ある地域内で極めて異常な規模にまで拡大した場合に用いられることが多い[12]。そして「パンデミック」は、原因の共通するエピデミックが世界の広範な地域で同時に発生している状態[11][13]、または、アウトブレイクが長期に亘って多数の国・地域で連続的に発生している状態[7]を指す。
調査
感染症のアウトブレイクの調査を行う際には、数段階の確認・判定を経て、疫学的宣言が発せられる。
アメリカ合衆国の場合、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は以下のような作業を行う。
- アウトブレイクが発生していることの確認。対象の患者群について、平年と比べて時期が異常であるか、発生地域は異常であるか、など。
- アウトブレイクにかかる病状の診断の確認。
- 症例定義(case definition)を作成し、含まれるべき患者・症状を定義する。
- 疫学特性(descriptive epidemiology)の設定。時期・場所・集団を記録する。
- 仮説の案出。何が原因となっているのか。
- 仮説の検討。情報の収集・分析を行う。
- 仮説を修整し、さらなる研究を行う。
- 状況を制御・改善するための対策を開発し、実行する。
- 得られた成果をより広範囲に向けて発表する。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 北大病院感染対策M6_2016ed.
- ^ 小学館『プログレッシブ英和中辞典』第4版. “outbreak”. コトバンク. 2020年1月29日閲覧。
- ^ a b c “新型コロナウイルス用語集 | 生活” (日本語). Voista Media (2020年4月19日). 2020年8月13日閲覧。
- ^ a b “アウトブレイクとは… - 看護用語辞典 - ナースpedia”. 看護roo!. 株式会社クイック (2019年(平成31年)9月2日最新改訂). 2020年1月29日閲覧。
- ^ 厚労省_20141219.
- ^ NHO_2016ed.
- ^ a b 田辺功[1]、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “パンデミック”. コトバンク. 2020年1月29日閲覧。
- ^ a b 砂川富正[2]. “感染症集団発生事例調査の基本ステップ (PDF)”. 国立感染症研究所感染症情報センター (IDSC). 2020年1月29日閲覧。
- ^ 東京医科大学病院-院内.
- ^ a b c 小学館『デジタル大辞泉』. “エンデミック”. コトバンク. 2020年1月29日閲覧。
- ^ a b 小学館『デジタル大辞泉』. “エピデミック”. コトバンク. 2020年1月29日閲覧。
- ^ 新型コロナ、なぜWHOはパンデミックを宣言しないのか ナショナルジオグラフィック日本版 (2020年3月3日)
- ^ “パンデミック”. コトバンク. 2020年1月29日閲覧。
関連文献
- 尾崎米厚[3](著者代表)、阿彦忠之、稲垣智一、中瀬克己、前田秀雄 『アウトブレイクの危機管理─新型インフルエンザ・感染症・食中毒の事例から学ぶ』(第2版)医学書院、2012年10月1日。OCLC 939461146。ISBN 4-260-01659-8、ISBN 978-4-260-01659-9。
関連項目
- 風土病 < エンデミック < エピデミック < アウトブレイク < パンデミック
- 疫学
- バイオハザード
- インデックス・ケース
- スーパー・スプレッダー
- ロックダウン (政策) - アウトブレイクなど緊急時における封鎖政策
- オーバーシュート (感染症) - 日本語において感染症の爆発的患者急増をいい、2-3日で累積患者数が倍増する程度の速度が継続する状態を指す
- 超過死亡率
外部リンク
- 厚生労働省医政局指導課 (2014年〈平成26年〉12月19日通知). “医療機関における院内感染対策について”. 厚生労働省 (MHLW). 2020年1月29日閲覧。
- “アウトブレイク (PDF)”. 国立病院機構 (NHO) (2013年〈平成25年〉12月19日作成、2016年〈平成28年〉2月17日最新改訂). 2020年1月29日閲覧。
- 石黒信久(北海道大学病院感染制御部)[4][5] (2004年〈平成26年〉3月作成、2016年〈平成28年〉11月1日最新改訂). “アウトブレイク時の対応 (PDF)”. 北大病院感染対策マニュアル 第6版[6](公式ウェブサイト). 北海道大学病院. 2020年1月29日閲覧。
- “院内アウトブレイクしやすい感染症 - 東京医科大学病院 第8回感染制御勉強会 (PDF)”. 東京医科大学病院. 2020年1月29日閲覧。
アウトブレイク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:22 UTC 版)
最大・最悪:スーパーアウトブレイク (2011年)(英語版):24時間に207個の竜巻が発生したことが確認され、アウトブレイクの間の合計では337個の竜巻が確認された。アメリカ合衆国で、6州に被害を及ぼし、11個が改良藤田スケールでEF4、4個がEF5に分類された。348人死亡(うち24人は間接的)。
※この「アウトブレイク」の解説は、「竜巻」の解説の一部です。
「アウトブレイク」を含む「竜巻」の記事については、「竜巻」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- アウトブレイクのページへのリンク