河道閉塞とは? わかりやすく解説

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かどう‐へいそく〔カダウ‐〕【河道閉塞】


天然ダム

(河道閉塞 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 15:05 UTC 版)

新潟県中越地震により生じた天然ダム。旧道が水没したため、湛水地の上に橋を付け替えた場所(芋川)。

天然ダム(てんねんダム)とは、大雨や地震火山噴火などの自然現象のために、土砂などが河川の水の流れを堰き止めるようになった地形をいう。また、この地形によって形成された、水を大量に蓄積する現象を指す場合もある。

概要

天然ダムは、主に、地震や集中豪雨、火山噴火などに伴う山腹の崩壊、地すべりの流下による流路の閉塞、火山噴出物といった自然現象により形成されるダムを指す。人工のダムは天然ダムには含まれない。

天然ダムは通常、形成後、数時間 - 数日程度のうちに崩壊(決壊)し、下流に影響を及ぼすこともある。規模が大きくなると、水路を完全に閉塞して湖沼を形成することもある。その湖沼は、永続的なものであれば、堰止湖(せきとめこ)と呼ばれる。

文章に残る日本最古の記録は『続日本紀』であり、734年に発生した畿内七道地震に触れる中で「山崩川擁」(山が崩れ川を塞ぐとする意)とする被害を記述している[1]

日本における呼称

日本の国土交通省はこの地形または現象を河道閉塞(かどうへいそく)と呼称している[注 1]。また、「天然ダム」と呼称する場合もある[2]。また、マスメディアなどの報道では報道機関によって表現がまちまちであり用語は統一されていない。特に新潟県中越地震以降、地震湖地震ダム震災湖震災ダム土砂崩れダム土砂ダム災害ダムなど、発生原因による表現方法や単に異なった表現方法が用いられることが多い。

平成23年台風12号により形成された天然ダムを報道する際の例
報道各社のホームページでは、2011年段階で、次の呼称が用いられている(2011年9月9日閲覧)。これは「天然ダム」を忌避しているため[3]
  • 土砂ダム:日本テレビ、TBS、テレビ朝日、朝日新聞、毎日新聞、共同通信、ロイター通信
  • 土砂崩れダム:フジテレビ、読売新聞
  • 天然ダム:産経新聞
  • せき止め湖(堤体ではなく湛水域として):NHK[4]
平成30年7月豪雨により形成された天然ダムを報道する際の例
平成30年7月豪雨の報道では、前述の表現とは異なる呼称となっている社があり、社内でも統一はされていない。
  • 土砂ダム:朝日新聞
  • 自然のダム:日本テレビ
  • 天然ダム:毎日新聞、NHK

被害と対策

天然ダムは構造的に脆弱であるため、自重や越流水、地震の余震により容易に崩壊する。この際に、大量の土砂と河川水が混濁して土石流鉄砲水となって流下し、天然ダムの下流域に大災害を招くこともある。この災害への対策として天然ダムに特有のものには、天然ダムの水位を下げるための仮排水路の造成、および、天然ダムを構成している土塊の撤去があげられる。この際に問題となり得る要素には、流水による浸食に耐えうる仮排水路を整備すること、水分を含んだ土塊の移動先を確保すること、その土塊を適切な手段によって移動させること、などが挙げられる。

日本の主な発生地

1984年(昭和59年)9月14日に発生した長野県西部地震で王滝川が堰き止められて生じた

有史以前

有史以降

世界の主な発生地

  • 大渡河 (中国、1786年、地震により形成、10日後に決壊し、下流域で10万人以上が死亡)
  • シスル湖アメリカ合衆国、1983年、地すべりにより形成。排水路工事完了に伴い消滅。この地すべりと天然ダムにより、シスルの町は壊滅し、再建されることなく放棄された)
  • アッタバード湖パキスタン、2010年、地すべりにより形成)

脚注

注釈
  1. ^ 国土交通省がこの呼称を用ることとなったいきさつには、2004年10月23日に発生した新潟県中越地震が関係している。この地震において、新潟県古志郡山古志村を流れる芋川流域などでこの現象が生じた。その時点において、天然ダムという言葉はすでに学術用語として広く用いられており、当初は日本の国土交通省もこの表現を採用していた。しかし、国土保全と災害対策と治水を担う国土交通省は、この表現が「美しい印象を与えてしまう恐れがあり被災者の心情にそぐわない」ことを理由として、同年11月12日、この現象を示す表現を「河道閉塞」に改めることとした。なお、ここでの「河道」は水路の意味合いであり、通常の意味での「道路」を閉塞するとの意味は全く含んでいない。水が流れる河川の水路ことを河の「みち」(道)としている点には注意が必要である。
出典
  1. ^ 安田政彦『災害復興の日本史』p10 吉川弘文館 2013年2月1日発行 全国書誌番号:22196456
  2. ^ 天然ダム付近に監視カメラを設置しました~平成30年7月豪雨を受けた技術的支援~ 国土交通省近畿地方整備局
  3. ^ 読売テレビ道浦俊彦によると、読売新聞は、新潟県中越地震の際に「天然ダム」について「天然という言葉には美しいイメージがあるのでふさわしくない」との声があがったことから、2004年11月13日付朝刊において「今後は『土砂崩れダム』に改める」と告知した(ことばの話3244「地震湖」(道浦俊彦「とっておきの話」2008年5月27日、2012年3月15日閲覧))。
  4. ^ NHKホームページ「そなえる防災」の2012年(平成24年)9月掲載のコラムでは、タイトルは「天然ダムの危険性と対策」で、記事には「土砂ダム、堰止湖(せきとめこ)とも呼ばれる」と書かれている。
  5. ^ 多里英, 公文富士夫, 小林舞子 ほか、「長野県北西部,青木湖の成因と周辺の最上部第四紀層」 『第四紀研究』 2000年 39巻 1号 p.1-13, doi:10.4116/jaqua.39.1 日本第四紀学会
  6. ^ 卜部厚志, 藤本裕介, 片岡香子、「越後平野の沖積層形成における火山性洪水イベントの影響 地質学雑誌 2011年 117巻 9号 p.483-494, doi:10.5575/geosoc.117.48
  7. ^ a b 長野県中・北部で形成された巨大天然ダムの事例紹介 (PDF) 歴史地震研究会 歴史地震第26号
  8. ^ 南牧村の歴史|信州・みなみまき村(長野県南佐久郡南牧村)ホームページ”. www.minamimakimura.jp. 南牧村. 2022年2月28日閲覧。
  9. ^ 【第14回】なぜ内陸県に海の地名? 海ノ口から海尻まで|地図から信州が見えてくる”. 地図から信州が見えてくる|信濃毎日新聞. 今尾恵介. 2022年2月28日閲覧。
  10. ^ 歴史的大規模土砂災害地点を歩く - いさぼうネット”. isabou.net. 2022年2月28日閲覧。
  11. ^ 国立国会図書館. “「日本人のおなまえ」という番組で特集されていた、平安時代の八ヶ岳崩壊について書かれた文献を教えてほし...”. レファレンス協同データベース. 2022年2月28日閲覧。
  12. ^ 井上公夫(2012) (PDF) 井上公夫, 山本武美(2012): 宝永南海地震(1707)で形成された仁淀川中流(高知県越知町)の天然ダムの石碑と説明看板, 砂防と治水, 44(6), pp.113-115.
  13. ^ 情報の散歩道 (PDF) 井上公夫,山本武美: 宝永南海地震(1707)で形成された仁淀川中流・舞ヶ鼻の天然ダムの石碑と説明看板
  14. ^ 都司嘉宣歴史地震の話 ―語り継がれた南海地震高知新聞企業、2012年、ISBN 978-4-87503-437-7
  15. ^ 善光寺地震による虫倉山周辺,特に臥雲院付近の地すべり災害 歴史地震 第23号(2008) 101-109 頁
  16. ^ 梓川上流・トバタ崩れ (1757) に伴う天然ダムの形成と決壊対策 砂防学会誌 Vol. 60 (2007-2008) No. 3 P 44-49]
  17. ^ 小出博 「金剛寺の天然ダムも決壊」『日本の水害』p53-p54 東洋経済新報社 昭和29年9月10日
  18. ^ “土砂崩れダム、新たに2か所確認”. 読売新聞. (2011年9月8日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110906-OYT1T01177.htm 2011年9月10日閲覧。 
  19. ^ “大雨で決壊の恐れ高まる 奈良・和歌山の2つの天然ダム湖”. 産経新聞. (2011年9月8日). https://web.archive.org/web/20110908155732/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110908/dst11090821230024-n1.htm 2011年9月10日閲覧。 
  20. ^ “奈良・和歌山の土砂崩れダム3か所、決壊の恐れ”. 読売新聞. (2011年9月16日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110916-OYT1T00991.htm 2011年9月16日閲覧。 
  21. ^ 能登半島地震 輪島に土砂ダム7カ所、決壊に注意 京大防災研”. 毎日新聞 (2023年1月7日). 2024年1月11日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


河道閉塞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 20:58 UTC 版)

善光寺地震」の記事における「河道閉塞」の解説

むしくら日記によれば松代藩領内51箇所松本藩領内41箇所で河道閉塞が生じた犀川 岩倉山虚空蔵山)で発生した斜面崩落は、現在の長野市信更町安庭の2箇所閉塞生じさせた。結果犀川に65mもの高さをもつ巨大な堰止め湖(河道閉塞)を生じた。この河道閉塞により、ふもとの岩倉村・孫瀬の両に川招き入れ2は完全に水没した下流においては押し流されてきた土砂が高さ30mにして面積50m2という巨大なとなって藤倉古宿の2襲いかかり、間もなく地下埋没させた。上流においては流水量が減じたため平地部一面深さ60m(諸説あり)、現在の生坂村金熊川合流点まで達す推定貯水3.5立方メートル推定される堰き止湖現出し、数湖底沈み十数浸水した閉塞から16日後に越流始まり3日かけ堤体浸食していったが、地震から19日後の同年5月27日弘化4年4月13日)の夕方堰き止め湖決壊し急流化した犀川千曲川合流点川中島まで押し寄せ31浸水被害もたらした決壊対す警戒態勢は2カ所の監視小屋行われ監視役から狼煙により決壊の報が小松原普請本陣伝えられた後、陣鉦半鐘により住民伝達され多く住民避難をしていたため犠牲者少なかった。更に下流飯山藩では千曲川水位監視行っていた結果増水に気が付く事が出来人的被害軽微であった洪水水位は、犀川善光寺平に出る長野市小市地籍付近で20m、千曲川で6m、新潟県長岡でも1.5mと伝えられている。また、24時間後には日本海達した中津川上流切明 震源から約40km離れた中津川栄村切明でも2カ所で河道閉塞が発生し湛水量1,000m3以上で一度には決壊しなかった。 信濃川左岸天水山の崩壊 栄村天水山での地滑りにより中条川で河道閉塞と閉塞箇所決壊発生し人家3戸を押し流した裾花川、親沢の土石流 裾花川支流、親沢で土石流により、湛水高20m、湛水面積6.8m2、湛水45m3程度の河道閉塞を形成犀川支流土尻川 土尻川五十里地滑り性の崩壊が、長さ800m、幅150m土砂120m3の河道閉塞を形成16日後の5月24日決壊犀川支流柳久保川 柳久保川長さ900m、幅350m、地すべり土塊900m3規模閉塞発生し民家18戸のうち倒壊 17戸、焼失 13戸。流量少ない川に形成され閉塞3年かかって湛水したが決壊せずに柳久保池として現在でも残っている。

※この「河道閉塞」の解説は、「善光寺地震」の解説の一部です。
「河道閉塞」を含む「善光寺地震」の記事については、「善光寺地震」の概要を参照ください。

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