によど‐がわ〔‐がは〕【仁淀川】
仁淀川
仁淀川は、西日本の最高峰石鎚山(標高1,982m)に源を発し、愛媛県内を西南に流れたのち東に向きを変えて高知県に入り、幾つかの支流を合わせつつ流下し、吾南・高東平野を貫流して土佐湾に注ぐ流路延長124km、流域面積1,560km2の四国第3の河川です。流域のほとんどは急峻な山地に覆われ、下流部の平野は支川の奥に行くほど低くなる典型的な「低奥型地形」となっています。 |
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紙のこいのぼり |
河川概要 |
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![]() ○拡大図 |
1.仁淀川の歴史 |
"仁淀川には、昔年より洪水と戦ってきた先人の治水工法が今日にも伝えられています。その中で野中兼山が深く仁淀川に係わってきました。野中兼山といえば、まず最初に思い出すのは、大きな川に堰を造り、そこから井筋(用水路)を引き、多くの新田を開発したことです。治水の中では二重堤防等の河川工法があります。" |
仁淀川の名前の由来にはいくつもの説があり、この川のアユを朝廷の
仁淀川の土木事業に大きな業績を残した人物に、土佐藩の執政であった野中兼山が挙げられます。兼山の残した土木遺構は、八田堰や鎌田堰、弘岡井筋等の灌漑施設、八田の二重堤防や宮崎の水越等の治水施設が代表的なもので、これらは先人が今日にも伝える仁淀川の貴重な治水財産となっています。
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2.地域の中の仁淀川 |
"仁淀川では、毎年各種イベントが開催されています。また、仁淀川においては2002年7月に夏場の川の水辺利用者数調査をおこなった結果全国第1位となっています。 仁淀川では仁淀川流域会議等の交流会議を開催しており上下流の住民との交流を図る取り組みを行っています。 上流では大渡ダムがありダム湖においてブラックバス及びコイ等の釣りを行っています。" |
仁淀川は、2002年7月の川の水辺利用者数調査の結果、全国第1位(利用者数363人/km)となっていることからわかるように、夏季に多くの人々の利用があります。また、毎年各種イベントが開催され、多くの人が参加しています。 仁淀川下流には、市町村・商工会議所等を中心とした「仁淀川わくわく会議」があり、仁淀川を核とした地域づくりのための各種方策を検討するとともに、仁淀川で実施される各種イベントを主催、支援しています。毎年5月のゴールデンウィークには、わくわく会議支援のもと地元の土佐和紙で作られた大小約200匹の「紙のこいのぼり」が仁淀川を泳ぎ、毎年大勢の人で賑わっています。 また、上流域を含めた県内流域市町村が一体となり、仁淀川流域の保全と流域圏の活性化を図ることを目的として設置構成された仁淀川流域交流会議では、市町村間における交流事業、教育啓発事業等を行っています。その活動の一つとして実施されている仁淀川親子バスツアーでは、教育啓発のため仁淀川流域の川や森林等の現状を視察し、現状認識を深めるとともに上下流に住む人々の交流を図る取り組みを行っています。
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3.仁淀川の自然環境 |
"仁淀川は石鎚山を源流とし幹川流路延長124km、流域面積1,560km2の河川でありその流域のほとんどは急峻な山となっています。水質においては、BODの平均値でみると2002年では0.6mg/Lで全国一級河川109のうち第7位となっています。また漁業も盛んにおこなわれており、また植物では代表的にはオギ、ツルヨシ、ヤナギ等があり、鳥類については河口部では地元野鳥愛好家達の絶好の探鳥コースとなっています。" |
4.仁淀川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
仁淀川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 23:07 UTC 版)
仁淀川 | |
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水系 | 一級水系 仁淀川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 124 km |
平均流量 | -- m3/s |
流域面積 | 1,560 km2 |
水源 | 石鎚山(愛媛県) |
水源の標高 | 1,982 m |
河口・合流先 | 土佐湾(高知県) |
流域 | ![]() 愛媛県・高知県 |
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仁淀川(によどがわ)は、四国の愛媛県・高知県を流れる一級河川で、愛媛県内では面河川(おもごがわ)と呼ばれる[1]。流域面積1,560km2、石鎚山などの源流から太平洋に注ぐ河口までの幹川流路延長は124km、流域内市町村の数は3市6町1村である[2][3]。
吉野川・四万十川に次ぐ四国第三の河川とされる。水質は全国1位(2010年)[4]で、水面が青く美しい「仁淀ブルー」と呼ばれる淵や滝壺などがある[3][5]。
中流域には四国で第2の規模である多目的ダム「大渡ダム」をはじめとして治水や水力発電のための施設も多い。
名前の由来
- 平城天皇の皇子であった高岳親王が土佐国(現在の高知県)に来た際、山城国(京都府南部)の淀川に似ているので「仁淀」と名付けたという。
- 有力な説としては、『延喜式』に貢ぎ物として「贄殿川」のアユが登場した。「贄殿」とは宮中の厨房で、諸国から魚などの貢ぎ物(贄)を納める所である。のちに贄殿川から転じて仁淀川になった。
- 古代の仁淀川は、大神に捧げる酒をこの川で醸造したことから、「神河」(みわがわ、三輪川)と呼ばれ、いつしか仁淀川となったと言われる。
地理
四国の最高峰である石鎚山に源を発する面河川と、分水嶺である三坂峠から流れる久万川が、御三戸(愛媛県上浮穴郡久万高原町)で合流して形成される。四国山地に深いV字谷を刻みながら南下し、やがて高知県高知市/土佐市付近で太平洋へと注ぎ込む。三坂峠から御三戸を経て高知県高岡郡越知町までの区間では、松山と高知を結ぶ国道33号が並行する。
流域
上流域
源流部は石鎚国定公園の指定区域にあたり、石鎚山の山麓にある御来光の滝付近から流れ出た面河川は、紅葉で知られる国の名勝面河渓を下り、三坂峠方面から流れてきた久万川と御三戸で合流する。これらの最上流域は険しい山地地形というよりもむしろ盆地に近いものがあるが、旧柳谷村の付近から仁淀川町にかけては、仁淀峡谷と呼ばれる標高差が数100mという険しいV字谷を刻みながら南下する。久万高原町には面河第三ダム、仁淀川町には流域最大の大渡ダムなどがあり、それらのダム付近から越知町にかけてはやや水量が乏しくなるが、ダムより下流側で長者川・土居川、越知町で大桐川といった支流と合流にするにつれ、水量を回復する。面河第三ダム下流の県境から仁淀川と河川名が変わる。
中〜下流域
越知町より下流側は水量も豊富になり、夏場ともなると川辺はキャンプ客や釣り人で埋まる。川面にはカヌーや川漁師の小舟がのんびりと浮かび、水辺利用率全国1位の実力をみせつけてくれる。キャンプ場も多く整備されており、それぞれ利用率も高い。また沈下橋も片岡橋・名越屋橋など大型のものが数多く残っている。いの町出来地で上八川川、いの町勝賀瀬で勝賀瀬川などと合流すると川幅はよりいっそう広がり、大河の様相を呈してくる。国道33号仁淀川橋付近にある河原では毎年5月に「紙のこいのぼり」が行われるほか、春から秋にかけて連日テントがはられている姿をみることができる。
河口部
1977年に、黒潮ラインの一部として仁淀川河口大橋が開通した。当初は有料道路だったが2001年4月に無料開放された。高知県内有数のサーフスポットであり、一年中サーファーの姿が見られる。また、シラスウナギ漁が盛んであり、漁が解禁される12月から翌年3月にかけて河原や周辺の海岸にはブルーシート製の作業小屋が並ぶ。小屋内ではタモで掬ったシラスウナギを雑魚と選別する作業が行われている。近年仁淀川河口大橋の土佐市部分に、新居地区観光交流施設南風が完成して、隣接する新居緑地公園に遊具ゾーンが完成した。土佐市にはまだない道の駅に近い観光施設として人気が出ている。津波対策として津波避難タワーも隣接している。また近年参加人数が1万人を超えた高知龍馬マラソン大会の折り返し地点として人気となっている。
歴史
- 1948年(昭和23年)11月 - 直轄河川改修計画[2]
- 1963年(昭和38年)8月 - 昭和38年台風第9号(家屋全壊3戸、床上浸水1,569戸、床下浸水289戸)[2]
- 1966年(昭和41年)
- 1975年(昭和50年)8月 - 昭和50年台風第5号(家屋全・半壊2,128戸、床上浸水5,272戸、床下浸水1,792戸)[2]
- 1986年(昭和61年)11月 - 大渡ダム完成[2]
- 2004年(平成16年)10月 - 平成16年台風第23号(床上浸水81戸、床下浸水226戸)[2]
- 2005年(平成17年)9月 - 平成17年台風第14号(家屋全壊1戸、床上浸水74戸、床下浸水105戸)[2]
- 2014年(平成26年)8月 - 平成26年台風第11号及び平成26年台風第12号(床上浸水330戸、床下浸水477戸(2回の洪水による延べ戸数))[2]
面河水源の森
石鎚山南方面河川の面河渓周辺の森林で、1995年に林野庁が「水源の森百選」の一つ「面河水源の森」として選定した[8]。
山岳 | 面積 (ha) |
標高 (m) |
人工林 (%) |
天然林 (%) |
主な樹種 | 制限林 | 種類 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
石鎚山 | 2,921 | 900〜1,982 | 0 | 100 | ブナ、モミ、ツガ | 水源かん養保安林、面河自然休養林[9]、保健保安林、石鎚山系森林生態系保護地域[10] | 流水(面河川) |
所在地: 愛媛県上浮穴郡久万高原町(データは指定年である1995年7月時点のもの)
主な支流
利水施設
- 面河第三ダム - 久万高原町、四国電力管理発電用ダム
- 大渡ダム - 仁淀川町、国土交通省四国地方整備局多目的ダム
- 加枝ダム - 仁淀川町、四国電力管理発電用ダム
- 筏津ダム - 越知町、四国電力管理発電用ダム
主な橋梁

- 仁淀川河口大橋 - 高知県道23号須崎仁ノ線
- 仁淀川大橋 - 国道56号
- 新仁淀川大橋 - 国道56号
- 仁淀川橋 - 高知自動車道
- 八天大橋 - 高知県道38号高知土佐線
- 両岸とも吾川郡いの町
- 名越屋橋(沈下橋)
- 柳瀬橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 鎌井田大橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 横畠橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 横倉橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 左岸吾川郡仁淀川町、右岸高岡郡越知町
- 寺村橋 - 国道33号
- 両岸とも吾川郡仁淀川町
- 上仁淀橋 - 国道439号
- 大渡ダム大橋 - 仁淀川町道
- 別枝大橋 - 仁淀川町道
- 落出大橋 - 国道33号
- 柳谷大橋 - 国道440号
- 矢淵大橋 - 国道440号
仁淀川沈下橋


橋梁名 | 左岸 | 右岸 | 道路名 |
---|---|---|---|
名越屋橋 (名越屋沈下橋) |
いの町 | 日高村 | |
片岡沈下橋 | 越知町片岡 | 越知町南片岡 | 高知県道301号 |
浅尾沈下橋 | 越知町鎌井田本村 | 越知町浅尾 | |
中仁淀橋 | 越知町今成 | 越知町越知甲 | |
久喜橋 | 仁淀川町相能 | 仁淀川町久喜 | |
大森沈下橋 | 仁淀川町大渡 | 仁淀川町森 |
主な観光地

- にこ渕(いの町)
- 中津川 (仁淀川町)
- 安居渓谷(仁淀川町)
- 仁淀川河口大橋(土佐市)
仁淀川を舞台とする作品
文学作品
仁淀川を舞台とした文学作品で名高いのが、宮尾登美子の自伝小説『櫂』『春燈』『朱夏』『仁淀川』である。宮尾は高知県に生まれ育ち、戦前および戦後の引揚げ後の2度にわたり仁淀川流域で暮らした経験があり、上記作品群はその経験を元に書かれたものとなっている。近年では高知県出身の女性作家有川浩の作品『空の中』において、仁淀川で河漁師として生計を立てる人物が作中重要な役割を果たしている。
ドキュメンタリー
参考画像
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仁淀川支流・土居川の清流 台風通過後5日目
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仁淀川に架かる高知自動車道橋脚
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仁淀川の柳瀬橋の空撮写真
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高知県越知町にある仁淀川の沈下橋。高知県では珍しく歩道と車道が分離されている。歩道部分には転落防止用手すりがついている。
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高知市春野町西畑上空からの撮影
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新居地区観光交流施設南風 まぜ
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仁淀川河口大橋 2018年高知龍馬マラソン大会にて
脚注
- ^ 河川法#河川名(仁淀川)参照
- ^ a b c d e f g h i j 仁淀川流域の概要 - 国土交通省 四国地方整備局、高知県、2025年1月19日閲覧。
- ^ a b 島崎和歌子【私のふるさと便】「仁淀川流域・仁淀ブルー」日差しと空 溶け合う『毎日新聞』朝刊2021年7月11日ふるさと面(2021年7月23日閲覧)
- ^ 報道発表資料:平成22年全国一級河川の水質現況の公表について 国土交通省
- ^ a b “仁淀川 〜青の神秘〜”. NHK. 2012年3月25日. 2021年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2021年8月28日閲覧.
- ^ “仁淀川|仁淀川町”. www.town.niyodogawa.lg.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ “日本の川 - 中国 - 仁淀川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ 面河水源の森 - 水源の森百選 - 林野庁
- ^ 面河自然休養林 - 四国森林管理局 - 林野庁
- ^ 石鎚山系森林生態系保護地域- 四国森林管理局 - 林野庁
- ^ 国土交通省 高知河川国道事務所ウェブサイト[リンク切れ]
- ^ 「姿現す巨大堤防 土佐市波介川河口導流事業」高知新聞ウェブサイト(2009年3月9日)
関連項目
- 仁淀 (軽巡洋艦) - 帝国海軍の大淀型軽巡洋艦の2番艦。起工されず。
- によど (護衛艦・初代) - 海上自衛隊のちくご型護衛艦の7番艦。1974年就役。
- によど (護衛艦・2代) - 海上自衛隊のもがみ型護衛艦の7番艦。2024年就役予定。
- 日本の川一覧
外部リンク
- 河川管理者
- 高知河川国道事務所 - 国土交通省 四国地方整備局
- ポータルサイト
- わくわく仁淀川 - 仁淀川わくわく会議
- 仁淀川お宝総合案内所 - 特定非営利活動法人 仁淀川お宝探偵団
- 仁淀川ネット - 個人運営サイト
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