櫛田川とは? わかりやすく解説

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くしだ‐がわ〔‐がは〕【櫛田川】

読み方:くしだがわ

三重県中部流れる川。三重奈良両県の県境にある高見山付近に源を発し東流し松阪市東部伊勢湾に注ぐ。長さ85キロ下流伊勢平野で、米作地帯最上流部は室生(むろう)赤目青山国定公園属する。名は、倭姫命(やまとひめのみこと)がこの地で落としたという伝説にちなむ。


櫛田川

香り高き清流櫛田川
櫛田川は、三重県飯高町奈良県東吉野村の境にある高見山にその源を発し蓮川をはじめ幾つも支川渓流合わせながら東進し伊勢平野出て佐奈川合わせた後、松坂市法田祓川分派し流路を北に転じ田園地帯通って伊勢湾注いでいる流域面積436km2幹川流路延長87kmの河川です。

伊勢平野の田畑を潤す櫛田川
伊勢平野田畑潤す櫛田川

河川概要
水系櫛田川水系
河川名櫛田川
幹川流路延長87km
流域面積436km2
流域内人4万人
流域関係都県三重県

櫛田川流域図
○拡大図
1.櫛田川の歴史
"櫛田川は、古来倭姫命天照大神鎮座地もとめて諸国巡行の際、この地で落としたことからこの名前が付いたとされるなど歴史ある川です。櫛田川は古来より洪水等で河道安定してませんでしたが、下流部平野一帯美田多かったため、沿岸住民定着心は強く住居地上げ輪中築造などにより洪水防御図ってきました。"

櫛田川は、三重県奈良県の境にある高見山に源を発し支川蓮川等をあわせ伊勢湾に注ぐ、長さ87kmの河川です。
神山神社(松阪市)
神山神社松阪市
射和の町並み(松阪市)
射和の町並み松阪市
櫛田川は、奈良時代初期採掘され丹生水銀木材水運舟運などさまざまな利用古来より行われ両郡橋付近に松阪商人発祥の地である射和商人の古い町並み残り、櫛田川の清流調和した独特の雰囲気をかもしだしてます。櫛田川の歴史しのばせるものとしては、祓川沿川の国指定史跡である斎宮跡神山神宮遷宮、射和と相可の間にあった相可渡し場」跡などがあります
櫛田川の名の由来は、皇女倭姫命」が第11代垂仁天皇の命を受け、皇祖神天照大神」の鎮座地求めて諸国巡行されていたとき、命が「竹田の国」と呼んでいた地で頭に飾していた落とされたので、その地に櫛田神社定め櫛田という地名もそこから起こったされますまた、曲がっていることをクシクネと呼ぶことから名付けられたとも言われています。
櫛田川は、多雨地帯流れ河川であり古来より幾多大洪水見舞われ下流部沖積平野における河道一定してませんでした。現在、見られる河道平安時代以降形成されと言われており、河道変遷一説として、永保2年1082年)の地震大洪水により、現在の櫛田可動堰付近より下流にあった水田村落押し流され現在の櫛田川の河道形成されそれまで本川であった祓川派川となった伝えられています。
相可の渡し(松阪市)
相可渡し松阪市
その後も櫛田川下流部幾多水害受けたにも関わらず、この下流部平野一帯美田が多いため沿岸住民定着心は強く住居地上げ輪中堤等により洪水防御行ってきましたまた、江戸時代初期にはこの地を納めていた藤堂藩によって治水用水新田開発などの政策が行われましたが、小規模であったためその効果上がりませんでした本格的な治水事業は、昭和7年三重県によって着手されました。櫛田川のは、古くから農業用水として利用され水田開拓寄与しきました。特に、江戸時代後期完成した立梅用水は、当時荒地潤し新田開発が行われました
櫛田川と祓川
2.地域の中の櫛田川
"櫛田川流域豊かな自然環境恵まれ釣り場キャンプ場等が数多くあります流域においてはアユ釣り大会や、手作りいかだコンテストなど川に関するイベント開催されています。また、河口部の広い干潟は、潮干狩りなどに利用されています。"

櫛田川の上流域は、室生赤目青山国定公園及び香肌峡県立自然公園指定されており、優れた自然環境数多く残されているとともに釣り場キャンプ場等のレクリエーション施設数多く見られ、これらを中心とした行事・イベントも盛んです。
鮎釣り(飯南町)
鮎釣り飯南町
潮干狩り(松阪市)
潮干狩り松阪市
河川敷でのオートキャンプ
河川敷でのオートキャンプ
蓮ダム周辺は、香肌峡県立自然公園指定され三重県代表する観光名所一つとなっていて、毎年アユ釣り競技会マラソン大会等イベント数多く開催されています。飯高町では本川の約2区間利用してかじか祭り開催し手作りいかだコンテスト・アマゴつかみ大会等が行われ、飯南町ではふれあい水辺整備事業三重県)と一体となったキャンプ施設中心にお茶まつり、野外コンサート・アユ釣り等のイベント開催されています。
下流域河川敷公園佐奈川桜づつみ公園は、スポーツ散策など地域住民憩いの場として利用されています。
河口部の広い干潟潮干狩りなどに利用され毎年多く利用客訪れます
また、冬のノリそだは櫛田川の風物詩となってます。
3.櫛田川の自然環境
"櫛田川の上中流域大半香肌峡県立自然公園指定され豊かな森林と香肌峡に代表される渓谷美は四季折々良好な景観呈してます。また、沿岸にはアユ椎茸といった香り高き産物多く、香肌の名で呼ばれ櫛田川の代名詞となってます。流域内にはアマゴ・アユ等の清流オオサンショウウオ等の貴重な生物生息してます。"

香肌峡(飯高町)
香肌峡(飯高町
櫛田川流域は、山地部河岸段丘及び平野部分けられ北側三峰山(1,235m)、局ヶ岳(1,029m)等から急崖がせまる地形です。また、流域には中央構造線東西走り地質はこの線を境として南北二分されています。上流域日本有数多雨地帯である大台ヶ原隣接しており、上流域年間降水量平成元年平成13年)は約2,500mmを越えてます。
櫛田川中・上流域一帯香肌峡県立自然公園及び室生赤目青山国定公園指定されています。
上流域は1,000m級の山々連なる山間地域で、渓谷はじめとする数々渓谷景勝地あります植生としては、スギヒノキ人工林の間に、青田渓谷青田川)・渓谷一帯をはじめブナ原生林残存しモミシデなどの樹林残存するほか、トガサワライワギリソウ等の植物生育し、特にトガサワラは、本州北限分布となってます。このような樹林地帯には、樹林環境依存するモリアオガエルホンドザルニホンカモシカなどの動物生息してます。
中流域の沿川にはスギヒノキ人工林シイカシ萌芽林などの樹林連続し林内にはオオサンショウウオギフチョウオオムラサキなどが生息してます。また、沿岸では、櫛田川本川中流域大石不動院にあるほうろく岩に群生するムカデラン群落国指定天然記念物となってます。
下流域には、松阪市市街地田園地帯広がり丘陵の麓にはアカマツ林海岸部にはクロマツ広がっており、上流域渓谷美と合わせて、櫛田川の豊かな自然を特徴づけるものとなってます。
ネコギギ
ネコギギ
櫛田川流域には、アユアマゴオイカワタカハヤカワムツ類、ヨシノボリ類、アブラハヤネコギギなどの魚類生息し水辺湿地区間では、ヨシヒメガママコモツルヨシウキヤガラ等や、ジャヤナギタチヤナギカワラハンノキ等の河辺林構成種オオカナダモヒシ沈水浮水植物生育してます。
また、河口塩沼地や海浜あたりではアイアシフクドハマボウ等のその立地特有の植物種生育し河川特有の多様な植物相形成してます。
櫛田川は、アユ季節になると水面の色に染まると言われるほど自然豊かな河川であり、下流部にはアユ産卵場も見られます。
また、香肌峡の名に示されるように櫛田川及びその沿川には、椎茸といった香り高い産物多くとりわけ天然の踊る清流として知られています。
4.櫛田川の主な災害

発生発生原因被災市町村被害の状況
S34,9,26伊勢湾台風松阪市死者行方不明者 16
負傷者 248
被災家屋 約3,800
S57,8,2台風10号松阪市被災家屋 13
H2,9,19台風19号松阪市被災家屋 約40
H6,9,30台風26号松阪市被災家屋 5棟

(注:この情報2008年2月現在のものです)

櫛田川

読み方:クシダガワ(kushidagawa)

所在 三重県

水系 櫛田川水系

等級 1級


櫛田川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/08 15:04 UTC 版)

櫛田川
近鉄山田線橋梁(松阪市)
水系 一級水系 櫛田川
種別 一級河川
延長 87 km
平均流量 16.7 m3/s
(両郡観測所 2002年)
流域面積 436 km2
水源 高見山(三重県)
水源の標高 1,249 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県)
流域 日本 三重県

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櫛田川(くしだがわ)は、三重県中部の中央構造線沿いを西から東に流れ伊勢湾に注ぐ一級水系本流

概要

三重・奈良県境の高見山に発して東流し、伊勢平野に出て佐奈川を合わせ、松阪市法田で祓川を分派した後、北に流れ伊勢湾に注いでいる[1]。流域面積436km2、幹線流路延長87kmである[1]

倭姫命世記』では倭姫命天照大神の鎮座地を求めて諸国を巡行する際、この地でを落とされたことから地名が櫛田と名付けたとされ、川名の由来ともなったのではないかとされる。なお、それから歴代の斎王群行の際に櫛をこの川に捨て、神に仕える決心をしたという[2]

多気町を流れる櫛田川

流域の自治体

三重県
松阪市多気郡多気町

主な支流

一級河川のみを下流側から順に記載する[3][4]

河川 よみ 次数 管理者 主な経過地 河川延長
(km)
備考
櫛田川 くしだがわ 本川 中部地方整備局
三重県
松阪市、多気町 85
祓川 はらいがわ 1次支川 中部地方整備局
三重県
松阪市、多気町、明和町 約10 右派川
孫川 まごかわ 1次支川 三重県
佐奈川 さながわ 1次支川 中部地方整備局
三重県
長谷川 はせがわ 2次支川 三重県
六呂木川 ろくろぎがわ 1次支川 三重県
八王子川 はちおうじがわ 1次支川 三重県
丹生川 にゅうがわ 2次支川 三重県
東出川 ひがしでがわ 1次支川 三重県
松谷川 まつたにがわ 1次支川 三重県
朝柄川 あさがらがわ 1次支川 三重県
小朝柄川 こあさがらがわ 2次支川 三重県
片野川 かたのがわ 1次支川 三重県
谷川 たにがわ 1次支川 三重県
蔵谷川 くらたにがわ 1次支川 三重県
深野川 ふかのがわ 1次支川 三重県
岩井谷川 いわいたにがわ 2次支川 三重県
神路山川 こうじやまがわ 2次支川 三重県
鍛冶屋瀬川 かじやせがわ 3次支川 三重県
橋ヶ谷川 はしがだにがわ 3次支川 三重県
仁柿川 にかきがわ 1次支川 三重県
横谷川 よこやがわ 2次支川 三重県
樋山川 ひやまがわ 2次支川 三重県
平谷川 ひらたにがわ 2次支川 三重県
神名原川 しではらがわ 2次支川 三重県
鳥垣外川 とりがいとがわ 3次支川 三重県
南俣川 みなみまたがわ 2次支川 三重県
桑谷川 くわたにがわ 2次支川 三重県
古坂川 ふるさかがわ 2次支川 三重県
大谷川 おおたにがわ 1次支川 三重県
畑井川 はたいがわ 1次支川 三重県
相津川 あいづがわ 1次支川 三重県
手石川 ていしがわ 2次支川 三重県
長入川 ながいりがわ 2次支川 三重県
西谷川 にしたにがわ 1次支川 三重県
波留川 はるがわ 1次支川 三重県
栃川 とちがわ 1次支川 三重県
虻野谷川 あぶのたにがわ 1次支川 三重県
一之瀬川 いちのせがわ 1次支川 三重県
深谷川 ふかやがわ 1次支川 三重県
東出谷川 ひがしでたにがわ 1次支川 三重県
庄司川 しょうじがわ 1次支川 三重県
東又川 ひがしたにがわ 2次支川 三重県
奥山川 おくやまがわ 1次支川 三重県
地添川 ちぞいがわ 1次支川 三重県
福本川 ふくもとがわ 1次支川 三重県
湯谷川 ゆたにがわ 1次支川 三重県
小屋川 こやがわ 1次支川 三重県
蓮川 はちすがわ 1次支川 中部地方整備局
三重県
中谷川 なかたにがわ 2次支川 三重県
唐谷川 からたにがわ 3次支川 三重県
冬見谷川 ふゆみたにがわ 3次支川 三重県
布引谷川 ぬのびきたにがわ 2次支川 中部地方整備局
青田川 おおだがわ 2次支川 中部地方整備局
三重県
かつえ谷川 かつえたにがわ 3次支川 三重県
菅谷川 すがたにがわ 3次支川 三重県
江馬小屋谷川 えまごやたにがわ 2次支川 三重県
宮の谷川 みやのたにがわ 2次支川 三重県
一本山谷川 いっぽんやまたにがわ 1次支川 三重県
岩谷川 いわたにがわ 1次支川 三重県
細野谷川 ほそのたにがわ 1次支川 三重県
月出川 つきでがわ 1次支川 三重県
寺の奥谷川 てらのおくたにがわ 1次支川 三重県
太良木川 たらきがわ 1次支川 三重県
草鹿野川 そうかのがわ 2次支川 三重県
木梶川 きかじがわ 1次支川 三重県
栃谷川 とちのたにがわ 2次支川 三重県
飯田原川 いいだはらがわ 3次支川 三重県

別名

櫛田川の別名に「揥水(ていすい)」という呼称がある。これは当地出身の江戸時代中期の儒学者奥田三角が名付けたもので、「揥」とは櫛を意味している[5]。川のそばには、その別名を校名に採用した松阪市立揥水小学校がある[6]

立梅用水

立梅用水(たちばいようすい)は櫛田川水系の朝柄川を水源とする用水である。江戸時代の文政6年(1823年)に波多瀬村、片野村、朝柄村、古江村、丹生村の請願により紀州藩によって作られた[7]疏水百選に選ばれており、 2014年には国際かんがい排水委員会によるかんがい施設遺産にも登録された。現在は小水力発電にも利用されている。

交通
取水地となる波多瀬地区へはJR紀勢本線松阪駅より三重交通バス大石(おいし)行きで終点大石(経由経路により30~45分)より徒歩15分

主な災害

1889年、源流部で大規模な山腹崩壊が発生。1959年伊勢湾台風で崩壊地の浸食が顕著となったため、国直轄の治山工事が行われた[8]

主なダム

脚注

  1. ^ a b 1.流域の自然状況”. 国土交通省. 2023年9月20日閲覧。
  2. ^ 櫛田川について”. www.cbr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
  3. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
  4. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
  5. ^ 揥水まちづくり協議会『揥水歴史散策マップ』2014年7月発行
  6. ^ てい水小学校”. 社会科副読本 わたしたちの松阪市 - 松阪市子ども支援研究センター. 松阪市. 2020年6月22日閲覧。
  7. ^ 櫛田川 立梅用水井堰
  8. ^ 伏谷伊一 『渓流光学』204頁 地球出版 1979年 全国書誌番号:69001447

外部リンク

関連項目



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