くしだ‐がわ〔‐がは〕【櫛田川】
櫛田川
櫛田川は、三重県飯高町と奈良県東吉野村の境にある高見山にその源を発し、蓮川をはじめ幾つもの支川・渓流を合わせながら東進し、伊勢平野に出て佐奈川を合わせた後、松坂市法田で祓川を分派し、流路を北に転じ田園地帯を通って伊勢湾に注いでいる流域面積436km2、幹川流路延長87kmの河川です。 |
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伊勢平野の田畑を潤す櫛田川 |
河川概要 |
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1.櫛田川の歴史 |
"櫛田川は、古来倭姫命が天照大神の鎮座地をもとめて諸国を巡行の際、この地で櫛を落としたことからこの名前が付いたとされるなど歴史ある川です。櫛田川は古来より洪水等で河道が安定していませんでしたが、下流部の平野一帯は美田が多かったため、沿岸住民の定着心は強く、住居の地上げや輪中の築造などにより洪水防御を図ってきました。" |
櫛田川は、三重県と奈良県の境にある高見山に源を発し、支川蓮川等をあわせ伊勢湾に注ぐ、長さ87kmの河川です。
櫛田川の名の由来は、皇女「倭姫命」が第11代垂仁天皇の命を受け、皇祖神「天照大神」の鎮座地を求めて諸国を巡行されていたとき、命が「竹田の国」と呼んでいた地で頭に飾していた櫛を落とされたので、その地に櫛田神社を定め、櫛田という地名もそこから起こったとされます。また、曲がっていることをクシ、クネと呼ぶことから名付けられたとも言われています。 櫛田川は、多雨地帯を流れる河川であり古来より幾多の大洪水に見舞われ、下流部沖積平野における河道は一定していませんでした。現在、見られる河道は平安時代以降に形成されたと言われており、河道変遷の一説として、永保2年(1082年)の地震や大洪水により、現在の櫛田可動堰付近より下流にあった水田や村落が押し流されて現在の櫛田川の河道が形成され、それまで本川であった祓川が派川となったと伝えられています。
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2.地域の中の櫛田川 |
"櫛田川流域は豊かな自然環境に恵まれ、釣り場やキャンプ場等が数多くあります。流域内においてはアユ釣り大会や、手作りいかだコンテストなど川に関するイベントが開催されています。また、河口部の広い干潟は、潮干狩りなどに利用されています。" |
櫛田川の上流域は、室生赤目青山国定公園及び香肌峡県立自然公園に指定されており、優れた自然環境が数多く残されているとともに、釣り場・キャンプ場等のレクリエーション施設が数多く見られ、これらを中心とした行事・イベントも盛んです。
下流域の河川敷公園や佐奈川の桜づつみ公園は、スポーツや散策など地域住民の憩いの場として利用されています。 河口部の広い干潟は潮干狩りなどに利用され、毎年多くの利用客が訪れます。 また、冬のノリそだは櫛田川の風物詩となっています。 |
3.櫛田川の自然環境 |
"櫛田川の上・中流域の大半が香肌峡県立自然公園に指定され、豊かな森林と香肌峡に代表される渓谷美は四季折々の良好な景観を呈しています。また、沿岸にはアユ・茶・椎茸といった香り高き産物が多く、香肌の名で呼ばれ櫛田川の代名詞となっています。流域内にはアマゴ・アユ等の清流魚やオオサンショウウオ等の貴重な生物が生息しています。" |
4.櫛田川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
櫛田川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/08 15:04 UTC 版)
櫛田川 | |
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近鉄山田線橋梁(松阪市)
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水系 | 一級水系 櫛田川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 87 km |
平均流量 | 16.7 m3/s (両郡観測所 2002年) |
流域面積 | 436 km2 |
水源 | 高見山(三重県) |
水源の標高 | 1,249 m |
河口・合流先 | 伊勢湾(三重県) |
流域 | ![]() |
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櫛田川(くしだがわ)は、三重県中部の中央構造線沿いを西から東に流れ伊勢湾に注ぐ一級水系の本流。
概要
三重・奈良県境の高見山に発して東流し、伊勢平野に出て佐奈川を合わせ、松阪市法田で祓川を分派した後、北に流れ伊勢湾に注いでいる[1]。流域面積436km2、幹線流路延長87kmである[1]。
『倭姫命世記』では倭姫命が天照大神の鎮座地を求めて諸国を巡行する際、この地で櫛を落とされたことから地名が櫛田と名付けたとされ、川名の由来ともなったのではないかとされる。なお、それから歴代の斎王は群行の際に櫛をこの川に捨て、神に仕える決心をしたという[2]。
流域の自治体
主な支流
河川 | よみ | 次数 | 管理者 | 主な経過地 | 河川延長 (km) |
備考 |
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櫛田川 | くしだがわ | 本川 | 中部地方整備局 三重県 |
松阪市、多気町 | 85 | |
祓川 | はらいがわ | 1次支川 | 中部地方整備局 三重県 |
松阪市、多気町、明和町 | 約10 | 右派川 |
孫川 | まごかわ | 1次支川 | 三重県 | |||
佐奈川 | さながわ | 1次支川 | 中部地方整備局 三重県 |
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長谷川 | はせがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
六呂木川 | ろくろぎがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
八王子川 | はちおうじがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
丹生川 | にゅうがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
東出川 | ひがしでがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
松谷川 | まつたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
朝柄川 | あさがらがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
小朝柄川 | こあさがらがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
片野川 | かたのがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
谷川 | たにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
蔵谷川 | くらたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
深野川 | ふかのがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
岩井谷川 | いわいたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
神路山川 | こうじやまがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
鍛冶屋瀬川 | かじやせがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
橋ヶ谷川 | はしがだにがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
仁柿川 | にかきがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
横谷川 | よこやがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
樋山川 | ひやまがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
平谷川 | ひらたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
神名原川 | しではらがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
鳥垣外川 | とりがいとがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
南俣川 | みなみまたがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
桑谷川 | くわたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
古坂川 | ふるさかがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
大谷川 | おおたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
畑井川 | はたいがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
相津川 | あいづがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
手石川 | ていしがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
長入川 | ながいりがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
西谷川 | にしたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
波留川 | はるがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
栃川 | とちがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
虻野谷川 | あぶのたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
一之瀬川 | いちのせがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
深谷川 | ふかやがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
東出谷川 | ひがしでたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
庄司川 | しょうじがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
東又川 | ひがしたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
奥山川 | おくやまがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
地添川 | ちぞいがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
福本川 | ふくもとがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
湯谷川 | ゆたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
小屋川 | こやがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
蓮川 | はちすがわ | 1次支川 | 中部地方整備局 三重県 |
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中谷川 | なかたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
唐谷川 | からたにがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
冬見谷川 | ふゆみたにがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
布引谷川 | ぬのびきたにがわ | 2次支川 | 中部地方整備局 | |||
青田川 | おおだがわ | 2次支川 | 中部地方整備局 三重県 |
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かつえ谷川 | かつえたにがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
菅谷川 | すがたにがわ | 3次支川 | 三重県 | |||
江馬小屋谷川 | えまごやたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
宮の谷川 | みやのたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
一本山谷川 | いっぽんやまたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
岩谷川 | いわたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
細野谷川 | ほそのたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
月出川 | つきでがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
寺の奥谷川 | てらのおくたにがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
太良木川 | たらきがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
草鹿野川 | そうかのがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
木梶川 | きかじがわ | 1次支川 | 三重県 | |||
栃谷川 | とちのたにがわ | 2次支川 | 三重県 | |||
飯田原川 | いいだはらがわ | 3次支川 | 三重県 |
別名
櫛田川の別名に「揥水(ていすい)」という呼称がある。これは当地出身の江戸時代中期の儒学者・奥田三角が名付けたもので、「揥」とは櫛を意味している[5]。川のそばには、その別名を校名に採用した松阪市立揥水小学校がある[6]。
立梅用水
立梅用水(たちばいようすい)は櫛田川水系の朝柄川を水源とする用水である。江戸時代の文政6年(1823年)に波多瀬村、片野村、朝柄村、古江村、丹生村の請願により紀州藩によって作られた[7]。疏水百選に選ばれており、 2014年には国際かんがい排水委員会によるかんがい施設遺産にも登録された。現在は小水力発電にも利用されている。
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波多瀬地区
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波多瀬~片野間山中
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片野地区
交通
取水地となる波多瀬地区へはJR紀勢本線松阪駅より三重交通バス大石(おいし)行きで終点大石(経由経路により30~45分)より徒歩15分
主な災害
1889年、源流部で大規模な山腹崩壊が発生。1959年の伊勢湾台風で崩壊地の浸食が顕著となったため、国直轄の治山工事が行われた[8]
主なダム
脚注
- ^ a b “1.流域の自然状況”. 国土交通省. 2023年9月20日閲覧。
- ^ “櫛田川について”. www.cbr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
- ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
- ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
- ^ 揥水まちづくり協議会『揥水歴史散策マップ』2014年7月発行
- ^ “てい水小学校”. 社会科副読本 わたしたちの松阪市 - 松阪市子ども支援研究センター. 松阪市. 2020年6月22日閲覧。
- ^ 櫛田川 立梅用水井堰
- ^ 伏谷伊一 『渓流光学』204頁 地球出版 1979年 全国書誌番号:69001447
外部リンク
関連項目
- 櫛田川のページへのリンク