揖斐川とは? わかりやすく解説

いび‐がわ〔‐がは〕【揖斐川】


揖斐川

豊かな自然、との闘い、川文化、夢普請魅力ある水郷づくり
揖斐川は、その源を岐阜県揖斐郡藤橋村冠山標高1,257m)に発し山間峡谷流下し、岐阜県揖斐川町濃尾平野出て大垣市東部南下し根尾川牧田川多度川肱江川等を加え長良川背割堤挟み併流南下し三重県桑名市長良川合わせ伊勢湾注いでいる流域面積1,840km2長良川流域を除く)、幹川流路延長121kmの河川です。

長良川と合流し伊勢湾に注ぐ揖斐川
長良川合流し伊勢湾に注ぐ揖斐川

河川概要
水系木曽川水系
河川名揖斐川
幹川流路延長121km
流域面積1,840km2
流域内人60万人
流域関係都県滋賀県岐阜県三重県

長良川流域図
○拡大図
1.木曽三川歴史
"木曽三川歴史は、御囲堤輪中宝暦治水など洪水との闘い歴史です。明治になってオランダ人技師ヨハネス・デレーケらにより近代土木による三川分流工事完成し現在の木曽三川原形つくられました。"

特有の歴史先人の知恵活用

昭和34年伊勢湾台風
昭和34年伊勢湾台風
昭和51年災害の空中写真
昭和51年災害空中写真
御囲堤
御囲堤
平田靱負像
平田靱負
木曽・長良背割堤
木曽長良背割堤
濃尾平野流れ我が国有数大河川、木曽川長良川、揖斐川。流域人々はこれらを一筋の川と同様に考え木曽三川呼んで親しんできました
災害の歴史
木曽三川歴史は、災害との長い闘いとの繰り返しでもあります昭和34年伊勢湾台風では、各河川からの出水加え異常高潮発生いたるところ堤防破壊され濃尾平野0メートル地帯またたく間泥海となり、木曽三川下流部未曾有の災害もたらしましたまた、昭和51年の台風17号では、4日間にわたる記録的な集中豪雨により岐阜県安八町長良川堤防決壊し安八町墨俣町一帯湛水しました
輪中文化
戦国時代までは、木曽三川流路網の目のように流れ上流降ったは、地形的特性から濃尾平野西側集まり気象特性から、「四刻八刻十二刻と言い伝えられているように揖斐長良木曽の順に時間追って洪水が襲うことから、一番低い揖斐川筋では長時間洪水苦しめられ集落単位洪水防御としての輪中」が発達し独特な輪中文化生まれました輪中では自己の部落洪水から守り内水についても自己の輪中内で処置する伝統があり、それは時としてをめぐる輪中同士での流血騒ぎになることもありました
三川分流
木曽三川東西日本まん中位置し徳川家康天下分け目関ヶ原の合戦後、石高増大西側からの攻撃備え木曽川左岸我が国最初一大連続堤防である御囲堤造りました木曽三川治めるには、三川分流が必要であったため、江戸幕府外様大名への強藩財政疲弊政策として御手伝普請が行われましたなかでも薩摩藩による宝暦治水は、総奉行平田靱負割腹など多く犠牲者出した悲話として有名です。平田靱負祀った治水神社薩摩日向植えた千本松原は、今では人々憩いの場となってます。
明治になって政府招きにより来日したオランダ人技師ヨハネス・デレーケらにより近代土木による三川分流工事完成し現在の木曽三川原形つくられました。
ゼロメートル地帯
しかし、昭和3040年代高度経済成長期地下水汲み上げ増大にともない生じた急激な地盤沈下により、木曽三川河口部を含む濃尾平野は、海抜ゼロメートル以下の面積日本一となってしまいましたこの様状況考慮しつつ、平成改修として高潮堤防を含む堤防整備浚渫長良川河口堰建設などの工事実施してきたところであり、現在、徳山ダム建設と揖斐川右岸堤防強化鋭意進められています。
【夢普請
地元では、これまでの闘う水郷地帯」というイメージから「魅力ある水郷づくり」に取り組む動き出てきています。地域の夢づくりとその実現のために、「夢普請」と名付けられた、住民市町村、県、国等の関係機関連携協働し、共に知恵出しあい、共に汗をかく活動により、安全、安心な地域づくりが今、進められています。この「夢普請」の活動内容については、http://www.yumenosato.jpで見ることができます
2.地域の中の木曽三川
"木曽三川寝覚の床飛水峡恵那峡養老の滝などに代表される景勝地恵まれている他、鵜飼い花火大会また、環境省選定水浴場88唯一の河川水浴場を持つなど、すぐれた自然環境歴史的文化遺産活かし様々な利用なされてます。"

地域社会とのつながり

日本ライン下り
日本ライン下り
寝覚の床
寝覚の床
長良川の鵜飼い
長良川の鵜飼
長良川水浴場
長良川水浴場
長良川水浴場
長良川水浴場
木曽三川は、すぐれた自然環境歴史的文化遺産活かし様々な利用なされてます。
名勝
木曽川では、飛騨木曽国定公園中にあり東洋ライン川といわれる日本ライン下りが行われ、その観光船下りおもしろさは、本場ライン下り超えると言われています。
また、木曽三川景勝地にも大変恵まれており、巨大な花崗岩が木曽川激流刻まれてできた自然の彫刻であり、浦島太郎竜宮城から帰った美し景色気に入り、そこに住み玉手箱開けたとの伝説のある名勝史跡天然記念物木曽川寝覚の床や国の天然記念物指定されている日本最大級甌穴群を有する飛水峡奇岩怪石からなる恵那峡名水百選にも選ばれ、老を養う若変りとしての不思議なまつわる伝説有する養老の滝などがあります
清流
長良川は、豊富なアユ資源恵まれ我が国唯一の宮内庁職員としての鵜匠による鵜飼いが行われています。また、自然景観水質優れており、中流域美濃市関市岐阜市)は、環境省選定名水百選選ばれ清流長良川育まれ美濃和紙づくりは1300年伝統持ち、国の無形文化財指定されています。
岐阜市においては環境省選定水浴場88唯一の河川水浴場にも選ばれています。岐阜市長良川花火大会は、2週連続して2回行われ全国から見物客が集まる程、規模大きく風情あります。他にもイベント数多く行われ多く市民観光客親しまれています。
揖斐川では、河川一定水域を竹材などを用いて遮断しそこに落ち捕獲する漁法ヤナ観光として盛んに行われつかまえる子どもなど観光客賑わってます。
3.木曽三川自然環境
"木曽三川生息する魚類種類数はわが国最大であり、淡水魚天然記念物であるイタセンパラネコギギ希少種ハリヨ生息してます。また、下流部から河口域にかけては、ほぼ全域感潮区間であり、汽水域を好むヤマトシジミ我が国有数生息地です。"

イタセンパラ
イタセンパラ
ケレップ水制とワンド
ケレップ水制ワンド
とんぼ池
とんぼ池
木曽三川広大な沖積平野大部分占め濃尾平野は、上流端から木曽川扇状地を代表とする木曽三川により形成され扇状地自然堤防帯、及び三角州からなっています。
多様な植生
これらの低平地は、水田水路、池、湿地河川など豊かな水環境有し生息する魚類種類数は、わが国最大であり、淡水魚天然記念物であるイタセンパラネコギギ特別天然記念物オオサンショウウオ希少種ハリヨ生息するなど希少な植物合わせて自然豊かな我が国代表する河川です。
木曽川12~24km付近に明治改修整備されケレップ水制によりワンド形成され希少な植物であるタコノアシ昆虫ではコフキトンボチョウトンボコシアキトンボ二枚貝大きさとして世界一思われるイシガイドブガイ生息するなど、良好な環境形成されています。また、下流部から河口域にかけては、ほぼ全域感潮区間であり、汽水域を好むヤマトシジミ我が国有数生息地となっており、休日には多くの人が干潮狩り楽しんでます。
トンボ天国
木曽川三派川地区では、河跡湖であり42種類トンボ多く野鳥などが見られる笠松町トンボ天国代表される広大豊かな河川環境広がり祖父江地区では、我が国でも珍しい、河川砂丘である祖父江砂丘がみられます。
4.揖斐川の主な災害

主要な災害

■揖斐川
発生年月日
原因
被害の状況
S34.9.26~9.29
伊勢湾台風
愛知県岐阜県三重県全体被害状況
被災家屋 354,427棟(河川被害以外も含む)
S36.6.27
梅雨前線低血圧
浸水面積 10,372ha(大垣市桑名市輪之内町多度町、他4町)
被災家屋 13,392
S50.8.5~8.25
台風6号
浸水面積 188ha(大垣市南濃町輪之内町本巣町
被災家屋 215
S51.9.7~9.14
台風17号豪雨
浸水面積 7,685ha(大垣市桑名市安八町、他12町)
被災家屋 18,286
H2.9.11~9.20
台風19号
浸水面積 550ha(大垣市北方町穂積町、他3町)
被災家屋 1,153
H14.7.10~7.11
台風6号
浸水面積 857ha(大垣市輪之内町大野町、他5町)
被災家屋 738
 木曽川上流河川事務所調べ

(注:この情報2008年2月現在のものです)

揖斐川

読み方:イビガワ(ibigawa)

所在 岐阜県

水系 木曾川水系

等級 1級


揖斐川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 18:31 UTC 版)

揖斐川
福岡大橋東詰から北望(海津市)
水系 一級水系 木曽川
種別 一級河川
延長 121 km
平均流量 84.28 m3/s
(万石観測所1961年~2004年)
流域面積 1840 km2
水源 冠山(岐阜県揖斐郡揖斐川町)
水源の標高 1257 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県桑名市)
流域 日本
岐阜県三重県

テンプレートを表示

揖斐川(いびがわ)は、岐阜県から三重県へと流れる木曽川水系一級河川である。いわゆる木曽三川の1つに数えられる。

地理

大垣市周辺河川の位置関係図

岐阜県揖斐郡揖斐川町冠山に源を発し、岐阜県内の福井県や滋賀県との県境付近から集水しながら、おおむね南流している。途中、一部で木曽川長良川と平行して流れ、河口附近の三重県桑名市で長良川と合流し、そのまま伊勢湾に注ぐ。下流部は愛知県との県境に近いものの、愛知県内には入らない。元々は大垣市内を南北に流れる杭瀬川が揖斐川の本流だったが、戦国時代の1530年に発生した大洪水で呂久川と呼ばれていた現在の揖斐川筋に流れが変わり[1][2]、今日に至っている。

大規模改修工事

木曽川上流改修工事前後の河道比較。青線部が拡幅・線形改善などが行われた箇所、緑線部が新規開削箇所、赤線部が廃川など。

揖斐川はかつて下流域で木曽川・揖斐川と合流英語版分流を繰り返していた。江戸時代宝暦治水で長良川・木曽川との間に大榑川洗堰や油島締切堤が建造されたのに続き、明治木曽三川分流工事で木曽川本川とは完全に流路が分けられるが、現在でも揖斐川は「木曽川水系の支流」と位置づけられている。また、木曽三川分流工事では岐阜県と三重県の県境付近にあった派川の香取川が廃川となった

木曽三川分流工事後も揖斐川右岸の支川を主として河床上昇が進行しており、水害が絶えなかった。大正から昭和にかけての木曽川上流改修工事では揖斐川本川とともに粕川牧田川などの右岸支川および根尾川でも改修工事が行われた。

木曽川上流改修工事前後の比較

語源

揖斐荘(現揖斐川町)を貫流して流下する河川として名付けられたと考えられている[3]。「揖斐」は大昔、水田へ水を引く「井樋」(イビ)から名付けられたと見られる[4]

流域の自治体

主な災害

主な支流

主な河川施設

揖斐川・概略図
冠山
西赤谷川・扇谷川
鬼生谷川・磯谷川
西谷川・漆谷川
シツ谷川
国道417号徳山バイパス徳之山八徳橋
上ノ谷川・白谷川
徳山ダム(徳山湖)
東杉原堰堤
原谷川
国道417号
坂内川
国道303号奥いび湖大橋
横山ダム(奥いび湖)
国道303号(横山橋)
国道303号(椿井野橋)
国道303号(名倉大橋)
久瀬ダム
国道303号(久瀬大橋)
日坂川
岐阜県道268号(久瀬橋)
高知川
岐阜県道40号揖斐峡大橋
飛鳥川
揖斐峡
西平ダム
西美濃お茶街道(井ノ口橋)
西濃用水取水口
岡島頭首工(前島橋)
国道417号(岡島橋
粕川
岐阜県道273号三町大橋
桂川
岐阜県道53号平野庄橋
東海環状自動車道国道475号と共用】(揖斐川橋)
岐阜県道212号神戸大橋
根尾川
岐阜県道156号鷺田橋
平野井川
樽見鉄道樽見線揖斐川橋梁
揖斐川橋
JR東海東海道本線揖斐川橋梁
国道21号岐大バイパス新揖斐川橋
岐阜県道31号揖斐大橋
岐阜県道193号大安大橋
岐阜県道18号大垣大橋
東海道新幹線揖斐川橋梁
名神高速道路(揖斐川橋)
岐阜県道232号福束大橋
牧田川・大榑川放水路
大榑川
岐阜県道213号今尾橋
岐阜県道8号福岡大橋
津屋川
岐阜県道1号海津橋
長除川
山除川・帆引川
中江川
岐阜県道・三重県道23号125号の重複区間(油島大橋
大江川
多度川
肱江川
東名阪自動車道揖斐長良川橋
JR東海関西本線揖斐・長良川橋梁
近畿日本鉄道名古屋線揖斐・長良川橋梁
大山田川
国道1号伊勢大橋
長良川
国道23号揖斐長良大橋
新堀川
伊勢湾岸自動車道湾岸揖斐川橋
伊勢湾


文化

揖斐川は方言の境界線

関連作品

2003年にリリースされた石原詢子の楽曲。歌詞に揖斐川が登場する[6]。石原は本作品の表題曲『ふたり傘』で第54回NHK紅白歌合戦に出場した。

関連項目

脚注

  1. ^ 国土交通省 中部地方整備局 木曽川下流河川事務所. “KISSOこぼれネタ VOL.47 海津町特集号”. 2023年8月17日閲覧。
  2. ^ 瑞穂市. “呂久の渡し”. 2023年8月17日閲覧。
  3. ^ 木曽三川について”. www.cbr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
  4. ^ 市町村・地名の由来【西濃エリア】 - 岐阜県雑学”. gifu-omiyage.sakura.ne.jp. 2019年9月6日閲覧。
  5. ^ 「福井・岐阜にも豪雨禍 真名川などはんらん」『日本経済新聞』昭和40年9月16日夕刊,7面
  6. ^ ほたるのふる里 - 歌ネット(2024年12月3日閲覧)

外部リンク




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