たま‐がわ〔‐がは〕【多摩川/玉川】
多摩川
多摩川は山梨県塩山市の笠取山を源流とし丹波渓谷周辺の渓流を合わせながら東京都奥多摩湖に入ります。途中秋川や浅川などの支川を合流させ東京都の2区・24市町村、川崎市を流下し東京湾に注ぐ流路延長138km、流域面積1,240km2、全国の都市河川をリードする一級河川です。 |
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国道1号線多摩川大橋付近 (東京都大田区・神奈川県川崎市) |
河川概要 |
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1.多摩川の歴史 |
"多摩川では大規模な改修工事が行われる以前から様々な治水工事が試みられてきました。江戸時代に幕府の治水事業に携わった田中丘隅(きゅうぐ)は瀬替え(蛇行部のショートカット)や下流部における連続堤の築造などを行い、全国の河川土木技術に大きな影響を与えました。" |
特有の歴史、先人の知恵の活用 |
江戸時代「川除御普請御用」として幕府の治水事業に携わり、あばれ多摩川の治水事業に努めた田中丘隅(きゅうぐ、1662~1729)は下流部における瀬替え(蛇行部のショートカット)や連続堤の築造等を行い、後に「丘隅をして、多摩川流という河川土木技術を起こした」と言われるほど全国の河川土木技術に影響を与えました。
多摩川で最初の本格的かつ大規模な改修工事のきっかけとなったのはアミガサ事件と呼ばれる出来事でした。度重なる水害に苦しんでいた住民達が大正3年9月16日未明に多摩川の築堤を訴えて、神奈川県庁に押し寄せました。この時彼らがアミガサをかぶっていたことから、この事件をアミガサ事件と呼んでいます。この事件は当時の有吉神奈川県知事による築堤や各所での多摩川改修請願運動に飛び火して、多摩川改修工事へと実を結ぶことになりました。 あばれ多摩川のもっとも生々しい記憶は昭和49年の狛江水害です。人家が多摩川に飲み込まれていく映像は衝撃的であり、多摩川のあばれっぷり、水害の恐ろしさを見せつけました。平成13年に策定された「多摩川水系河川整備」においても、この狛江水害は「戦後最大規模の洪水」として位置づけられています。
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2.地域の中の多摩川 |
"多摩川の水は古くから流域の人々に利用されており二ヶ領用水は江戸時代の初期に完成した農業用水です。同じく江戸時代に江戸へ飲料水を供給することを目的に開削された玉川上水は、およそ350年を経た現在も東京の人々に飲み水を供給し続けています。" |
多摩川の利水史
徳川家康の家臣として江戸に入った小泉次大夫吉次(じだゆうよしつぐ)は多摩川下流左岸の世田谷・六郷領に六郷用水を、右岸の稲毛・川崎領に全長約32kmにもおよぶ二ヶ領用水を開削しました。 六郷用水はその役割を終え、現在は一部を残すのみとなっていますが、農業用水として誕生した二ヶ領用水はその後工業用水としても利用され、現在は環境用水として都市生活に潤いを与えています。
昭和30年代までは東京都の水道水源の8割を占めていた多摩川ですが、1964(昭和39)年の「オリンピック渇水」を契機に、他水系へ水源を求めるようになり現在では約2割弱となっていますが、依然として玉川上水は、東京の人々に飲み水を供給し続けています。 |
3.多摩川の自然環境 |
"多摩川中流域の礫河原には、河原に特有で貴重種のカワラノギクなどの植物が見られますが、一方でニセアカシア等の樹木の繁茂が著しくなっています。また、魚の遡上の障害となっている堰に魚道を新設・改築したことなどにより、天然アユの遡上が見られています。" |
多摩川の自然環境と河川景観
中流域では豊富な礫河原を有しており、河原に特有で貴重種のカワラノギクなどの植物がみられますが、ニセアカシアの繁茂が著しくなっています。また、エゾエンマコオロギなどの昆虫やイカルチドリ、コチドリなどの鳥類も生息しています。
こうした事業などにより、現在では天然アユの遡上数の増加などの効果が見られています。 |
4.多摩川の主な災害 |
"テレビ・ラジオなどで全国に放送され、多摩川における戦後最大規模の洪水として知られる昭和49年9月の狛江水害は、台風16号による洪水により二ヶ領宿河原堰左岸の堤防が260mにわたって決壊し、19戸もの民家が濁流に飲み込まれました。" |
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5.その他 |
"約2年の歳月をかけ議論を重ねて意見交換をしながら、関東でトップを切って平成13年3月に策定された「多摩川水系河川整備計画」は多摩川の「協働」の伝統を示すものといえます。今後も多摩川に関わる様々な立場の人々と意見交換を重ねながら川づくりを進めます。" |
今後の多摩川づくり
平成10年12月に設立された「多摩川流域懇談会」では流域自治体、河川管理者、市民及び学識経験者が継続的に意見交換を行いお互いの協力関係を深めています。流域懇談会が主催する「流域セミナー」は誰もが参加でき、すべて公開で運営されており、多摩川の川づくりについて意見交換を行っています。 このように約2年の歳月をかけて議論を重ねて意見交換をしながら、関東でトップを切って平成13年3月に策定されたのが「多摩川水系河川整備計画」です。
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
多摩川
多摩川
多摩川
多摩川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 12:40 UTC 版)
多摩川(たまがわ)は、山梨県・東京都・神奈川県を流れて東京湾へ注ぐ一級河川。下流は東京都と神奈川県の都県境となっており、全長138km、流域面積1,240km2。
注釈
出典
- ^ “『多摩川』1981.3. 第9号”. 東急財団. 2022年6月22日閲覧。
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- ^ “『多摩川』1981.12. 第12号”. 東急財団. 2022年6月22日閲覧。
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- ^ 多摩川の源流「水干(美しい多摩川フォラム)」探訪記
- ^ 御岳渓流 - 名水百選 Archived 2011年9月26日, at the Wayback Machine.
- ^ "六郷川". デジタル大辞泉. コトバンクより2024年7月6日閲覧。
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- ^ 『水辺を歩こう多摩川』p.164、p.224-
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- ^ 「外来藻類 多摩川に繁茂 青梅で確認 アユ生育に影響警戒」『読売新聞』朝刊2022年6月30日(都民面)
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- ^ 川崎市市民ミュージアム『海と人生-川崎で海苔が採れた頃』1995年
- ^ NAGISAネット 港湾百景(2) 海苔と川崎の海(国土交通省関東地方整備局港湾空港部横浜港湾空港技術調査事務所)
- ^ 日本の重要湿地500 No.159 東京湾の干潟・浅瀬(環境省インターネット自然研究所)
- ^ スズガモが水中からハマグリを捕まえてきた様子
多摩川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 08:43 UTC 版)
現道は多摩橋で多摩川を越えているが、かつては「牛浜の渡し」などと呼ばれた船渡しが行われていた。多摩橋の先でも、現道は南側を迂回しているが、旧道は河岸段丘を直登している。 第五ゲートから多摩川へ向けて下る。
※この「多摩川」の解説は、「五日市街道」の解説の一部です。
「多摩川」を含む「五日市街道」の記事については、「五日市街道」の概要を参照ください。
多摩川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:26 UTC 版)
市南境に沿って流れている。市章にも取り入れられている。かつては「玉川」と呼ばれており、江戸に至る川の道であり多くの荷物がこの多摩川を行き来した。上流からの木材が運搬や年貢米の運搬にも使用されており、重要な航路であった。また、一宮の渡し(関戸の渡し)の他にも多くの私設渡しがあり、多くの人の行き来が古い絵画に描かれている。用水が引かれ、府中用水以外にも「四ッ谷村外二ヶ村用水」、「府中三町外四ヶ村組合用水」、「三ヶ村用水」、「二ヶ村用水」などがあり、農作に多く寄与している。
※この「多摩川」の解説は、「府中市 (東京都)」の解説の一部です。
「多摩川」を含む「府中市 (東京都)」の記事については、「府中市 (東京都)」の概要を参照ください。
「多摩川」の例文・使い方・用例・文例
- 多摩川は東京で一番長い川です。
- 今夜多摩川で花火大会がある.
- 多摩川上水
- 水道の水は多摩川から引いてある
- 飲料水の供給を多摩川に仰ぐ
- 水道の水は多摩川からひいてある
- 多摩川の灌域
- 東京には多摩川から用水を供給する
- 東京市は多摩川から給水する
- 多摩川の香魚猟
- 多摩川に清遊を試みる
- 多摩川で鮭を試養した
- 水道の水源は多摩川
- ある会社員が多摩川で初めてタマちゃんをビデオカメラで撮影し,テープをテレビ局に送った。
- 昨年の夏以来,アザラシの「タマちゃん」が,多摩川や帷(かた)子(びら)川(がわ)や他の2つの川にやって来ている。
多摩川と同じ種類の言葉
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