しりべしとしべつ‐がわ〔‐がは〕【後志利別川】
後志利別川
後志利別川は、北海道今金町、島牧村、長万部町の町村境付近の狩場山東端にある太平山から長万部岳に至る山岳稜線を分水界とし、山間部を流下し、美利河ダムでピリカベツ川等を合流したのち、今金町住吉で平野部へ入り、今金市街部、北檜山町で幾つもの支川を合わせながら、瀬棚町で日本海に注いでいます。流域面積720km2、流路延長80kmの道南唯一の一級河川です。 |
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今金町中心部を流れる後志利別川 |
河川概要 |
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![]() ○拡大図 |
1.後志利別川の歴史 |
"後志利別川流域は、河口瀬棚のニシン漁場とサケ、マス漁によって発展しましたが、明治以前の乱獲がたたり資源は減少傾向をたどったかことから、北海道初のサケ資源保護に関する規制をしました。" |
後志利別川は、さかのぼること天明5年(1785)に幕府により初めての蝦夷地調査が行われ、寛政9年(1798)に編纂された「松前地並西蝦夷地明細記」には「セタナイ川」と記されています。また、弘化2年(1845)の西蝦夷地踏査では、後志利別川をさかのぼった時の様子が「蝦夷日記」に記され、マコマナイなど現在も使われている地名が出ています。明治2年7月に開拓使が設置され、新政府は蝦夷地と呼ばれた一帯を北海道と名付け、北海道の開拓がスタートしました。北海道は11国86郡に分けられ、瀬棚郡は現在の後志支庁と檜山支庁の北部の地域を含んだ「後志国」とされました。後志利別川の「後志」は、ここから付けられたと言われています。 |
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2.地域の中の後志利別川 |
"後志利別川では、清流を守るためのNPO法人によるサケ稚魚の放流・植樹・パネル展などの河川愛護活動、イベント等様々な活動が行われています。後志利別川は、北海道の河川では貴重な天然アユが生息しており、本州方面からも多くのファンが訪れてます。" |
人と河川とのふれあい環境としての後志利別川では、その清流を守るためのNPO法人「後志利別川清流保護の会」等の団体による河川愛護活動、川の楽しみを広げる催し、イベント等様々な活動が行われています。 川をきれいに等の運動を進めている団体やグループを支援するラブリバー制度が平成元年から創設され、後志利別川は平成5年7月に適用河川として認定されています。
また、自然環境保全を目的とした川の探検隊といった、川を知り、川に親しみながら川を大切にしていく河川愛護の気持ちを育て「百年前の豊かで清らかな川をよみがえらせる」ことを目標とした活動も展開されています。川の色々なものの探検・川遊び・水質調査・砂金採取体験など盛りだくさんです。
水面の利用に関しては、後志利別川はサケのふ化事業が盛んで、毎年稚魚の放流を行っています。また、北海道の河川では貴重な天然アユが生息する河川でもあり、時期になると、本州方面からも多くのファンが訪れます。
河川空間の利用に関しては、後志利別川の水と緑のオープンスペースを活用し、住民のスポーツの場、憩いの場、交流の場として、流域3町の交流に一役を果たす河川緑地公園があります。堤防に盛土し桜の木が植えられている桜づつみは、街のシンボル的な存在となっています。
後志利別川上流には美利河ダム(直轄)があり、ダム下公園では、スポーツ、野外活動等に多くの方々に利用されています。 特別豪雪地帯に指定されている地域においては、雪を流すための水を後志利別川から取り込み流す消流雪用水導入事業が全国に先駆けて利用を開始しています。 |
3.後志利別川の自然環境 |
"後志利別川流域は、ブナを代表種とした温帯林の北限とエゾマツ分布の南限である黒松内低地帯に含まれれます。後志利別川は、サケ、マスの遡上河川とされ、他の魚種も豊富です。国土交通省が実施している清流河川ランキングでは、7回日本一に輝いてます。" |
後志利別川流域の地形は、台地にある盆地状の平野と低地によって構成されています。
流域の動物は、ヒグマ、キタキツネ、エゾリス等の哺乳類が山岳地帯でみられ、鳥類は天然記念物に指定されているオジロワシ、クマゲラ等がみられます。 後志利別川は、サケ、マスの遡上河川とされ、カワヤツメ、アユに内水面漁業権が設定されており、他にウグイ、フクドジョウなど魚種も豊富に確認されています。 また、環境庁によって絶滅のおそれがある種として指定されているエゾサンショウウオの生息が確認されています。
沿川の植生は、木本群落のヤナギ林が高水敷に広く分布し、多年生草本群落のヨシ類が全川の水際~高水敷に分布しています。中・上流部の山地ではブナ・ミズナラ林の自然植生、それより下流部は牧草が植栽されているところが多いが、種々の群落に遷移している区域も確認されています。河口部では左右岸に砂丘植物群落であるハマニンニク-コウボウムギ群落が分布しています。相対的には半自然的な環境下にあり、海鳥や野鳥の休憩・給餌の場として良好な生息環境を備えています。
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4.後志利別川の主な災害 |
"春の融雪出水及び夏季の台風等による出水などがありますが、昭和以降の主な災害を記載しています。" |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
後志利別川
後志利別川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/03 21:30 UTC 版)
後志利別川 | |
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写真上/美利河ダムより俯瞰する後志利別川
写真下/後志利別川 瑪脳橋より下流を望む |
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水系 | 一級水系 後志利別川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 80 [1] km |
平均流量 | 27.55 m3/s (今金観測所 2000年) |
流域面積 | 720 [1] km2 |
水源 | 長万部岳(今金町、北緯42度35分11.5秒 東経140度11分19.4秒) |
水源の標高 | 972 [1] m |
河口・合流先 | 日本海(せたな町、北緯42度25分29.6秒 東経139度50分37.2秒) |
流域 | ![]() 北海道檜山振興局管内 |
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長万部岳付近から後志利別川は流れる。 |
後志利別川(しりべしとしべつがわ)は、北海道檜山振興局管内を流れ日本海に注ぐ一級河川。後志利別川水系の本流である。
国土交通省が公表している一級河川の水質現況において、1987年から2012年まで通算14回、「水質が最も良好な河川」となっている(全国の一級河川で最多)[2][3]。
流路
北海道瀬棚郡今金町北東部の山越郡長万部町との境界にある長万部岳付近に源を発し南へ流れる。美利河ダムを経て西へ流路を変え、久遠郡せたな町北檜山区兜野と、せたな町瀬棚区南川の境界から日本海へ注ぐ。
河川名の由来
アイヌ語の「ツウシベツ」(山の走り根・大きい・川)、「ト・ウシ・ベツ」(沼の多くある川)、「トゥッ・ペッ」(蛇川・縄川)、「チュシ・ペッ」(網・川)等の説があるが、アイヌの伝承にも違った意味が出てくることから、どれも推定の域を出ないと考えられている[4][5][6]。十勝川水系の利別川と区別するために旧国名の「後志」を冠したものである。流域は現在は檜山振興局管内であるが、かつては後志国の範囲であった。
流域の自治体
治水および利水
上流域には後志利別川総合開発事業の中核事業として出力4,000kWの美利河ダムが建設され、電力供給と灌漑および洪水調節が行われている。
主要ダム
一次 支川名 (本川) |
二次 支川名 |
三次 支川名 |
ダム名 | 堤高 (m) |
総貯水 容量 (千m3) |
型式 | 事業者 | 備考 |
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後志利別川 | - | - | 美利河ダム | 40.0 | 18,000 | 重力式・ロックフィル複合 | 北海道開発局 | - |
後志利別川 | 真駒内川 | - | 真駒内ダム | 34.3 | 6,480 | ロックフィルダム | 北海道開発局 | - |
支流
括弧内は流域の自治体
- ピリカベツ川(今金町、美利河ダムに流入)
- ニセイベツ川(今金町、美利河ダムに流入)
- チュウシベツ川(今金町、美利河ダムに流入)
- 珍古辺川(今金町)
- 上ハカイマップ川(今金町)
- 下ハカイマップ川(今金町)
- メップ川(今金町)
- 左股川(今金町)
- チブタウシナイ川(今金町)
- 田代川(今金町)
- トマンケシナイ川(今金町)
- オチャラッペ川(今金町)
- 善右衛門沢川(今金町)
- 畑の沢川(今金町)
- 濁川(今金町)
- 馬場川(今金町)
- パンケオイチャヌンペ川(今金町)
- 利別目名川(今金町、せたな町)
- 武沢川(せたな町)
- ポン目名川(せたな町)
- 不逢川(せたな町)
- トンケ川(せたな町)
- 冷水川(せたな町)
- 下の沢川(せたな町)
- 丸山川(せたな町)
- 鍼川(せたな町)
- 丸山川分水路(せたな町)
- 真駒内川(せたな町)
- 長淵川(せたな町)
並行する交通
鉄道
道路
主な橋梁
- 美利河橋 - 国道230号
- 瑪脳橋 - 国道230号
- 花石橋 - 国道230号
- 中里橋
- 志文内橋
- 奥沢橋
- 住中橋 - 国道230号
- 住吉橋 - 国道230号
- 稲穂橋 - 北海道道232号今金北檜山線
- 田代橋
- 今金橋 - 北海道道263号八雲今金線
- 利別大橋
- 豊田橋
- 真栄橋 - 国道229号
- 兜野橋 - 北海道道740号北檜山大成線
注釈
- ^ a b c 後志利別川水系河川整備基本方針 : 国土交通省河川局
- ^ 国土交通省 水質ベスト5の変遷
- ^ “平成25年北海道内一級河川の水質現況” (PDF). 国土交通省北海道開発局. 2015年5月23日閲覧。
- ^ “北海道の川ポータル 後志利別川”. 北海道開発局. 2015年5月23日閲覧。
- ^ “お勧め!!檜山管内日本一 後志利別川”. 北海道桧山振興局. 2015年5月23日閲覧。
- ^ 北海道開発局, 国土交通省. “後志利別川”. 北海道開発局. 2019年9月6日閲覧。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
- 後志利別川のページへのリンク