安倍川

デジタル大辞泉

あべ‐かわ〔‐かは〕【安倍川】

読み方：あべかわ

静岡市を南流する川。山梨県との境にある安倍峠に源を発し、駿河湾に注ぐ。長さ51キロ。

「安倍川餅(もち)」の略。

日本の川

安倍川

花開き、夢広がる明日の安倍川

安倍川は、静岡県静岡市と山梨県早川町の境にある大谷嶺にその源を発し、幾つもの渓流を合わせながら、静岡市の中山間部で支川中河内川、平野部で支川藁科川と合流し、静岡市街地を南に流下し、駿河湾に注いでいる流域面積567km2、幹川流路延長51kmの急流土砂河川です。

静岡市中心部を流れる安倍川

河川概要

水系名 安倍川水系 河川名 安倍川 幹川流路延長 51km 流域面積 567km2 流域内人口 17万人 流域関係都県 静岡県

○拡大図

1．安倍川の歴史

"安倍川は上流に日本三大崩れの1つである“大谷崩”を持ち、日本屈指の急流河川であるため上流域からおびただしい土砂を流出し、背後に静岡市街地を擁する下流部においても古くからしばしば洪水の被害を受けてきました。このため、古くから洪水防御策として数多くの霞堤や水制工が築かれています。"

流域の歴史と人々の暮らし

安倍川は上流に日本三大崩れの1つである“大谷崩”の大規模な崩壊地を持ち、河川勾配が大きく、流域面積が小さい割に降雨強度が大きな河川です。急流河川であるため流速も大きく、上流域からおびただしい土砂を流出しているため、静岡市街地を抱える下流部の扇状地の流れはかなり不安定で、古くからしばしば洪水の被害を受けてきました。 急流河川における安倍川の治水の特徴の1つとして霞堤と新田開発との関係があります。一般に新田開発は霞堤の内側を利用して行われようとしますが、安倍川では新田を開墾した後に堤防を築いて新田を守るという方法が取られています。従って、新田開発が進むにつれて堤防は次第に長く大規模になり、やがて霞堤の形態を整えることとなり、一般に言われている霞堤と新田開発とは逆の関係にあります。尚、江戸時代から造り始められた霞堤も、近年の市街地の進展により土地利用が変わり、耕地も宅地化したため、現在では霞堤開口部に排水樋管を設置して締め切られ、連続堤になっている箇所も幾つか見られます。 薩摩土手 （静岡市市勢要覧） 安倍川・藁科川の霞堤位置図

2．地域の中の安倍川

"安倍川の河川敷には、スポーツ広場や緑地公園が点在し、川べりにはジョギングコースやサイクリングロードが整備されており、休日には草野球、サッカー、ジョギングなどで汗を流す市民の姿が多く見られるなど、静岡市の残された貴重なオープンスペースとして広く親しまれています。"

安倍川流域に住む人々は、飲料水をはじめ生活用水のすべてを安倍川に依存しています。静岡市街地の上水道は、すべて安倍川の伏流水と安倍川扇状地の地下水で賄われ、その他、農業用水・工業用水としても安倍川や支川・藁科川の水が広く利用されています。 安倍川の河川敷には、現在、静岡市が管理運営しているスポーツ広場や緑地公園が点在し、川べりにはジョギングコースやサイクリングロードが整備されています。休日には草野球、サッカー、ジョギングなどで汗を流す市民の姿が多く見られ、県都静岡市の残された貴重なオープンスペースとして広く親しまれています。 また、地域と連携した川づくり事業として、平成16年3月末に「水辺の楽校プロジェクト」が登録され、水辺の市民活動をさらに発展させるとともに、静岡市の事業として整備が予定されている「都市山村交流センター」と一体的に活用ができる、水辺空間の創出を目指した河川整備を進めます。 安倍川親水公園の利用状況 広大な河川敷を利用した花火大会 （静岡市市勢要覧）

3．安倍川の自然環境

"安倍川流域では、多数の崩壊地を抱える上流部にはクマタカをはじめニホンカモシカ、ホンドモモンガ等の動物が見られ、渓流にはアマゴ、カジカ等が生息しています。中流部にはアユ、カマキリ（アユカケ）、オイカワ等が、下流部では、シロウオ等の回遊性の魚類が多く確認されています。"

普段の安倍川は、広い河川敷には不似合いの極わずかなの表流水が網状に土砂の間を流れているだけです。豊富な伏流水や地下水が安倍川流域の人々に多く利用され、水質も非常に良好で、下流部河道内には自噴帯と呼ばれる湧水があり、河道内においても湧水を水源とするクリークが見られます。また、安倍川や支川藁科川の河道内には「木枯らしの森（静岡県の文化財指定）」や「舟山」と呼ばれる岩盤上に形成された常緑広葉樹の自然林があり、安倍川の特徴的な景観となっています。 水質については、安倍川橋（Ａ類型）のＢＯＤの経年変化を見ると、昭和51年、昭和52年にやや悪化したものの昭和53年からは横ばいで1mg/L前後を維持し、その後、昭和63年、平成6年、平成7年にやや悪化したものの平成8年からは1mg/L前後を維持しています。 木枯らしの森 河道内に見られるクリーク 多数の崩壊地を抱える安倍川の上流部には、クマタカをはじめニホンカモシカ、ホンドモモンガ等の動物が、また、渓流にはアマゴ、カジカ等が生息しています。山間部を流れる中流部にはアユ、カマキリ（アユカケ）、オイカワ等が生息しています。下流部では、シロウオ等の回遊性の魚類が多く確認され、河口部には発達した砂州により広い汽水の静水域が形成されています。 アユカケ（カマキリ） （不思議ランド・安倍川） （静岡河川事務所）

4．安倍川の主な災害

発生年 月日 発生原因 被災市町村 被害状況 大正3年 8月29日 台風 静岡市 被災家屋約8,500戸 昭和49年 7月8日 台風8号 静岡市 浸水面積1,006 浸水家屋8,205戸 昭和54年 10月19日 台風20号 静岡市 浸水面積27ha 浸水家屋79戸 昭和57年 8月2日 台風10号 静岡市 浸水面積15.9ha 浸水家屋179戸 平成3年 9月19日 台風18号 秋雨前線 静岡市 浸水面積16ha 浸水家屋238戸

（注：この情報は2008年2月現在のものです）

平成の名水百選

安倍川（あべかわ）

河川 静岡県静岡市 静岡市を貫流する長さ51kmの急流河川。豊富な伏流水は、地域の貴重な水源となっており、清澄な湧水を利用して栽培される山葵は“天下逸品”である。また、中・下流では、地域住民による保全活動も活発に行われている。 上水道・工業用水に利用されている。また、葵区有東木地区は“山葵栽培発祥の地”と言われ、その栽培は、約400年前の慶長年間の時代に始まり、徳川家康公に山葵を献上したところ、その珍味の程に“天下の逸品”と嘉賞を受けたと言われている。 水利用の歴史として、東アジア地域で最初に発見された水田遺構の「登呂遺跡」がある。また、江戸幕府の始祖・徳川家康は「薩摩土手」（１６０６年川の氾濫を押さえるための堤防）など大規模な土木工事を実施して安倍川の治水を行い、城郭都市・駿府を誕生させ、今日に至る清流に恵まれた静岡市の骨格を形成した。 安倍川フォーラムでは、河川清掃、魚の養殖、レジャー客に対する指導を実施。特に今年度は、小学生を対象に「アマゴの受精体験」を行い、安倍川に住む命の大切さについての授業を行った。 これらの活動により、以前よりゴミが少なくなり、自発的に清掃をしてくれる団体も現れてきた。 【 鉄道・バスでお越しの場合 】 ■　JR「静岡駅」下車→梅ケ島温泉行きバス（安倍線）梅ケ島温泉入口下車 静岡県静岡市 清流の都創造課 環境創造担当 〒 420-8602 静岡県静岡市葵区追手町5番1 TEL : 054-221-1319 http://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/ jiten/nihon_kawa/85047/85047-1.html

河川・湖沼名辞典

安倍川

読み方：アベカワ（ａｂｅｋａｗａ）

所在 静岡県

水系 安倍川水系

等級 1級

駅名辞典

安倍川

読み方：アベカワ（ａｂｅｋａｗａ）

所在 静岡県(JR東海道本線)

駅名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

ウィキペディア

安倍川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2023/07/13 04:35 UTC 版)

安倍川（あべかわ）は、静岡県静岡市葵区および駿河区を流れる河川。一級水系安倍川の本流である。清流としても有名で、その伏流水は静岡市の水道水にも使われている。大河川でありながら本流・支流にひとつも河川法上のダムが無い珍しい川である。。

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「安倍川」の例文・使い方・用例・文例

• 安倍川餅という食べ物
• 安倍川という河川