きたかみ‐がわ〔‐がは〕【北上川】
北上川
北上川は、岩手県北部の岩手町御堂にその源を発し、東側の北上高地と西側の奥羽山脈から流れ下る大小いくつもの支川を合わせ、岩手県のほぼ中央を北から南へ縦断しています。一関市下流の狭窄部を経て宮城県に入ると、宮城県津山町柳津地先で旧北上川と分かれます。この地点から北上川は東へ流れて追波湾に、旧北上川はそのまま南下して石巻湾へ注いでいます。途中の支川を合流させると流域面積10,150km2、流路延長249kmの東北最大の河川です。 |
盛岡市を流れる北上川 |
河川概要 |
| ○拡大図 |
1.北上川の歴史 |
"北上川を利用した舟運の発展の為、川村孫兵衛による河道掘削や北上川の河岸には粗朶柵工等の数多くの伝統工法などが存在しています。また昭和初期にはKVAが策定され5大ダムとして流域の安全と発展に寄与しています。" |
北上川流域の歴史・文化 |
北上川を利用した舟の交流は平泉文化に見られるように、古くから行われていましたが、最もさかんに行われたのは江戸時代です。北上川流域でとれた米は江戸で売られ、各藩の財政を支えました。黒沢尻(現在の北上市)には、南部藩の御蔵奉行がおかれ、上流を航行する小操(おぐり)舟から下流を航行するひらた舟に荷物を積替える拠点となっていました。 これらの偉業には伊達藩士の川村孫兵衛重吉(1575~1648)が深く関わっており北上川を利用した石巻の開港、舟運を利用した江戸廻米の実施を目的に、迫川に江合川を合流させたのをはじめとし鹿又(河南町)より石巻湾へ南流していた北上川の流路を東側に寄せて、二股より迫波湾へも流した。更には、北上川本流を真野川に合流させるために袋谷地(現石巻市水明町)のところでS字形に掘削して石巻湾に流しました。これにより、北上川における舟運は盛んとなり、上流の黒沢尻(北上市)、そして盛岡まで遡行できるようになりました。
昭和初期には、アメリカのテネシー川開発計画(TVA)にならい、北上川総合開発計画(KVA)が策定され、昭和16年には田瀬ダムに着手したものの、戦争の激化により一時中断されました。しかし、昭和22年、23年と相次いだカスリン・アイオン台風による大洪水を契機に再開され今では五大ダムとして流域の安全と発展に寄与しています。 |
2.地域の中の北上川 |
"北上川流域は国指定史跡、名勝、天然記念物の多くが川沿いに分布しています。環境面では「水辺プラザ」を各所で進めています。 近年では「総合的な学習の時間」を活かし、沿川小中学校を対象に自然体験や水質調査など活動の支援を進めているほか、北上川学習交流館「あいぽーと」を拠点に活動を展開しています。" |
地域に密接に結びつく北上川 北上川流域は古来、平泉の中尊寺、毛越寺等に代表される奥州藤原文化のように東北独特の文化圏を形成して来ましたが、北上川が社会、経済、文化の発展に大きな役割を果たしており、国指定史跡、名勝、天然記念物の多くが川沿いに分布し、北上川と密接に結びついている事を知ることが出来ます。 近年、平泉の岸辺から藤原氏の政庁跡とみられる柳之御所跡の遺跡が発見され、当初遺跡の上を通るはずだった一関遊水地の堤防及び国道4号平泉バイパスのルートはこの遺跡を保存するため、北上川の河道を東側に移した形でルート変更がされました。 また、平成11年度には平泉町の文化財・歴史・地域づくり、そして一関遊水事業・国道4号平泉バイパスを紹介する「柳之御所資料館」が開館しています。
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3.北上川の自然環境 |
"流域の東側には北上山地、西側には奥羽山脈が南北にのびており、これらの山地から多くの支川が北上川本川に流れ、沿川の河川環境も良好な結果が得られています。 また、北上川の公共用水域の水質結果も胆沢川をはじめ、上位にランクインしているなど水質環境も良好であります" |
北上川は上・中流部の岩手県側は奥羽山脈と北上山地に囲まれ、気温の日較差・年較差が大きい内陸性気候や盆地性気候です。下流宮城県側は太平洋側気候であり、北上川流域の年間降水量はほぼ1,500mmであります。山間部である奥羽山脈など山麓一帯は多雨地域(降雪含む)で年間降水量は2,000mmを超える地域があります。また奥羽山脈沿いの地域では最深積雪が2mを超す豪雪地帯であります。 北上川は、岩手県の中央部を北から南へ流れ、一関の狐禅寺下流の狭窄部(川幅が狭い部分)を通り、宮城県の平野部に入ります。仙台平野の東側を流れ、津山町で二つに分かれ、北上川本川は追波湾に注ぎ、旧北上川は石巻湾に注いでいます。
今までの調査結果(河川水辺の国勢調査)から前回の調査結果と比べると確認種等の変動は少なく、良好な河川環境が維持されているという結果になっています。
北上川の公共用水域の水質は、きれいな河川の上位の順(BOD平均値で評価)に位置を占めており、平成14年度結果では全国で14位、東北地方で2位の胆沢川をはじめ中津川などが上位ランクインしているなど水質環境も良好であります。 |
4.北上川の主な災害 |
"北上川には過去に大きな被害を与えたカスリン(S22.9)・アイオン(S23.9)台風からの大水害があります。近年では昭和56年8月、平成10年8月及び平成14年の台風6号による洪水被害が発生し、沿川に大きな被害が出ました。国土交通省ではこうした洪水被害から守るため、一関遊水地を初め、堤防の構築など治水整備を進めています。" |
北上川の主要洪水 北上川の洪水は昭和22年のカスリン台風、翌23年のアイオン台風、と大水害に見舞われ、北上川流域に大きな爪痕を残しました。 近年では平成14年の台風6号による洪水被害があり、沿川に大きな被害が出ました。国土交通省ではこうした洪水被害から守るため、一関遊水地を初め、堤防の整備など治水整備を進めています。 被災状況表 (岩手県分)
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
北上川
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 22:07 UTC 版)
北上川(きたかみがわ)は、岩手県中央部を北から南に流れ宮城県東部の石巻市で追波湾に注ぐ一級河川。北上川水系の本流であり、流路延長249 km、流域面積10,150 km2は、東北地方の河川の中では最大で、日本全国では4番目の規模である[1]。日本の河川としては勾配がかなり緩いことが特徴である。太平洋に流れる。
注釈
出典
- ^ 北上川 - 北上川下流河川事務所 ただし、流路延長については北海道の天塩川(256 km)の方が長く、全国でも5番目であるが、石巻湾を河口とした旧流路の場合は約258 kmである。
- ^ 日本各地の正教会[リンク切れ]
- ^ “北上川調査隊:川の歴史”. www.thr.mlit.go.jp. 国土交通省 東北地方整備局. 2019年9月5日閲覧。
- ^ 北上川流域水循環計画(案)(宮城県)
- ^ 『石巻の歴史』第2巻通史編(下の2)109頁。
- ^ 『仙台市史』通史編6(近代1)104頁。
- ^ 未来へ夢をつなぐ貞山運河(せんだいメディアテークアーカイブ)
- ^ 『仙台市史』特別編9(地域史)197頁。
- ^ 「東北四県にまた水害」『朝日新聞』昭和22年8月3日,2面
- ^ a b “小諸葛川 河川 - 川の名前を調べる地図”. river.longseller.org. 2020年6月10日閲覧。
- ^ 宮城県HP-岩堂沢ダムの概要 - 2021年1月4日閲覧。
- ^ 大津波、北上川を50キロさかのぼる 東北大分析朝日新聞 2011年3月24日
- ^ “大川地区知事現地視察”. 宮城県公式ウェブサイト. 宮城県 (2012年8月30日). 2019年11月12日閲覧。
- ^ “大川地区・長面(ながつら)工区で順次営農が再開されています”. 宮城県公式ウェブサイト. 宮城県 (2019年6月11日). 2019年11月12日閲覧。
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