けんせつ‐しょう〔‐シヤウ〕【建設省】
建設省
建設省
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 23:48 UTC 版)
まず最大の被災地となった荒川水系については、当初二級河川であった河川等級を翌1968年(昭和43年)に一級河川に昇格させた。そして荒川水系工事実施基本計画を策定して国直轄の治水対策を盛り込んだが、この際荒川水系に二箇所の多目的ダムを建設する計画を立てた。荒川本流は戦後の1952年(昭和27年)に荒川第一ダムと荒川第二ダムを建設して洪水調節を行う計画があったが、赤芝発電所の水利権獲得が先に行われており仮に計画を進めると赤芝ダムを水没させることから、結局計画を断念した経緯があった。その後も岩船ダムが完成したこともあり、荒川本流にはダム建設の有力地点が存在しなかった。このため支流の大石川と横川にダムを建設する計画をまとめ、1979年(昭和54年)に大石ダム(大石川)を、2008年(平成20年)には横川ダム(横川)を完成させた。大石ダム完成以降荒川においては死者を伴う水害は発生していない。 最上川水系については既に1965年(昭和40年)に一級河川の指定を受けており、治水事業の基本計画である最上川水系工事実施基本計画も同年策定されていた。だが羽越豪雨の被害を受け1974年(昭和49年)に計画の改訂が行われ、荒川と同様に多目的ダムによる治水対策を行う方針とした。既に最上川水系は1950年(昭和25年)の国土総合開発法制定により最上特定地域総合開発計画の指定を受け、県北部での河川改修とダム建設が行われていたが今回は最上川上流域である県南部の河川改修が主体となった。最上川本流もダム建設の適地がないことから本流には大久保遊水地を、支流で被害の大きかった置賜白川、置賜野川、寒河江川の三河川には多目的ダムを建設する方針とした。これにより1981年(昭和56年)に白川ダム(置賜白川)、1990年(平成2年)に寒河江ダム(寒河江川)、1997年(平成9年)には大久保遊水地が完成。最後に残った長井ダム(置賜野川)は2011年(平成23年)に完成した。 この河川整備により、1997年に最上川流域を襲った集中豪雨では羽越豪雨と同程度の豪雨が降り注いだにもかかわらず、家屋の浸水67戸と被害を最小限に抑制することができ、治水対策が有効に機能している。なお白川ダムでは当時反対運動が強かったが、羽越豪雨を機に水没予定地の住民との補償が急転直下でまとまっている。それだけ豪雨災害の影響が強かったことを物語っている。
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