鵡川とは? わかりやすく解説

むかわ〔むかは〕


む‐かわ〔‐かは〕【鵡川】

読み方:むかわ

北海道中南部流れる川。日高山脈狩振岳標高1323メートル)に源を発しむかわ町太平洋に注ぐ。河口干潟渡り鳥中継地。長さ135キロ


鵡川

タンポポシシャモ遡る恵み深い川
鵡川は、北海道占冠村のトマム山にその源を発し占冠村盆地においてパンケシュル川、双珠別川等を合わせ赤岩峡谷流下し、穂別市街穂別川合せ鵡川町山峡の地を離れ、鵡川市街南西流下し、太平洋注いでいる流域面積1,270km2流路延長135kmの河川です。

鵡川河口より上流方向
鵡川河口より上流方向

河川概要
水系鵡川水系
河川名鵡川
幹川流路延長135km
流域面積1,270km2
流域内人13,000
流域関係都県北海道

鵡川流域図
○拡大図
1.鵡川の歴史
"流域には古い時代からアイヌの人々定住し長年渡り文化維持されいました流域への和人入地は、1800年以降で、その明治中期以降本州からの開拓民次々と入植し一面茂った大木切り倒し農地開き、鵡川の豊富なにより地域開発進みました。"


鵡川の名前の由来いろいろな説がありますが、アイヌ語でムカ・ペッまたはムッカ・ペであり、「ふさがる川」という意味だといわれています。これは、海の上げ潮のために、河口が砂でふさがれる状態を表したということです。
明治時代の地名
鵡川の流域には、考古学的な遺跡の発掘によって相当古い時代からアイヌの人々定住していたと想像されています。明治時代地名全部アイヌ語で続一されでいることなどから、この地域アイヌの人々生活圏として広く利用されまた、近世までアイヌ文化維持されてきたものと考えられます。
流域への和人入地は、河口位置する鵡川町早く1800年寛政12年)で、上流に向かう程遅く穂別町1800年代後半占冠町が1900年代となってます。
以後肥沃温暖な鵡川の流域には、明治中期以降本州からの開拓民次々と入植し一面茂った大木切り倒し農地開いていきました下流鵡川町では早くから稲作試されており、明治25年開かれた反歩水田流域稲作始まりです。鵡川の豊かなは主に農業用水として活用され、特に下流平野部道内指おりの稲作地帯として発展しました。今ではその豊かな活用した4,000haにも及ぶ、水田広がり緑の大地では放牧され牛・馬食む姿もが見られます。また、漁業農林業鉱業などの開発進んで現在の鵡川・穂別占冠などの集落形成され地域行政・経済中心として発展してきました

下流域の市街と田園地帯
下流域市街田園地帯

鵡川の河川改修大正時代小規模な護岸工事始まり戦後になると計画的な工事手掛けられ、重要な堤防から次々と整備進んでます。

2.地域の中の鵡川
"豊かな水産資源自然環境背景としたイベントとして鵡川町のタンポポフェスティバルや穂別流送祭りなどが開かれています。地元方々により、子供たちが鵡川への認識高めてもらう為の活動として「かわ塾」や植樹会、さらに清掃活動なども熱心に行なわれています。また鵡川の河口干潟再生については地元方々意見交換行いながら進めてます。"


シシャモのすだれ干し
シシャモのすだれ干し
鵡川の流れ比較的穏やかで、流域に住む人々からは「母なる川」として親しまれ、「女川」(ポン・ムカ)とも呼ばれていました流域面積流路延長が似かよった隣の沙流川たくまし流れの「男川」であることから2つそろって夫婦川とも言われています。鵡川の流域農林水産業基幹で、水稲主体畑作と畜産との複合経営もみられます。また、軽種馬産地としても有名で、北海道豊かな自然・風土代表する地域となってます。鵡川はシシャモサケがたくさ遡上する「豊漁の川」としても知られており、漁業では、サケ名産品であるシシャモのほか、河口周辺海域ではホッキホタテが行われています。

鵡川町タンポポ公園始めとした河川敷では、豊かな水産資源自然環境背景としたイベントとして鵡川町のタンポポフェスティバルや穂別流送祭り開かれ、また公園緑地利用して各種レクリエーション数多く行われてます。

また地元方々により、子供たちに川を知り、川に親しんでもらう為の活動として「かわ塾」や植樹会、さらに清掃活動なども熱心に行なわれています。
日本有数のシギ・チドリ等を中心とした渡り鳥中継基地であった鵡川河口干潟は、海岸侵食により面積減少し渡り鳥中継としての機能年々低下していましたそのような状況をふまえ、地元方々意見交換おこないながら鵡川河口部保全あり方について考えるため平成8年より「鵡川河口に関する懇談会」を設け足かけ4年間の議論おこないました。その提案提言意見具体的に実施する組織として「河口懇談会携わった方々」、「鵡川に関わり活動している川が好きな方々」が平成12年8月29日に「わくわくワーク・むかわ」を発足させ、現在自環境学習など様々な活動展開してます。また、懇談会提案を基に平成12年より鵡川河口干潟再生保全事業進められています。

河口干潟での野鳥観察会河川敷での植樹会風景かわ塾での様子カヌー体験
河口干潟での
野鳥観察
河川敷での
植樹風景
かわ塾での様子
カヌー体験


3.鵡川の自然環境
"鵡川流域には多様な動植物生息し、特に鳥類では鵡川河口域干潟が、キョウジョシギトウネンハマシギなど30種以上のシギチドリ類の集団飛来地で、河口周辺数多く野鳥観察されている。また魚類サケマス北海道太平洋側にしか生息しないシシャモなどが遡上ます。"


鵡川上流部占冠村日高山脈北端部の山岳丘陵地帯となっており、鵡川は中小起伏山間部細長く屈曲して流れてます。中下流部の穂別町流域は、大半山地含まれ大部分は小起伏山地で高度もあまり高くなく、その西南方に丘陵分布してます。河口付近下流域田園地帯広がる低地で、鵡川は緩やかに蛇行して流れ河口至ります。
鵡川流域植生では下流部広葉樹林が最も広い面積占めており、上流部では針広混交林様相呈し針葉樹純林となっている所も多く標高の高い地域ではダケカンバ群落目立ちます伐採跡地ではトドマツなどの人工林河口付近では、湿性植物や塩性植物見られます。流域でも屈指の高峰トマム山にはエゾイソツツジ、キバナシャクナゲといった高山植物生育してます。流域特色ある植物としては、鵡川町東部丘陵地帯自生するサクラソウ群落あります
鵡川流域生息する哺乳類ヒグマエゾシカキタキツネなどです。

鵡川河口周辺の野鳥
鵡川河口周辺野鳥
鳥類では、アカゲラヤマゲラコゲラカワセミなどの鳥類生息適した環境で、国の天然記念物指定されているクマゲラ確認されています。農耕地周辺にはキジバトノビタキコウライキジなどの姿も見られます。また鵡川河口域には北海道随一といわれる干潟発達してキョウジョシギハマシギなど30種以上のシギチドリ類の集団飛来となっており、カモ類、アイサ類なども数多く見られ河口周辺数多く野鳥観察されています。

シシャモ(鵡川町より提供)
シシャモ(鵡川町より提供)
鵡川水系生息する魚類サケマスシシャモなどです。
北海道太平洋沿岸にのみ分布するシシャモは秋から冬の産卵期遡上産み付けられた卵は春までの半年間を河床過ごします上流部には渓流性のヤマベなどが見られます。鵡川流域にて確認され貴重種昆虫としては鱗翅目シロオビヒメヒカゲあります両生は虫類では道内各地生息するエゾアカガエルシマへビ、エゾサンショウウオなどが確認されています。

河川敷のタンポポ公園の風景
河川敷タンポポ公園風景
自然景観公園・名勝では占冠村穂別町主体に全流域の約9割が森林占められ秋の紅彩り鮮やかです。上流部占冠村は、紅葉の名所で、赤岩青巌峡の峡谷双珠別川ダム周辺五番滝などの景勝地分布します。中流部穂別町でも、山岳地帯彩り見ごたえあります下流部鵡川町河川および周辺田園風景広がり市街地周辺の河川敷には、タンポポ公園整備されています。河口部は、広がりのある河川空間太平洋海岸線および干潟海浜植物群落代表され北海道らしい風致景観呈してます。
4.鵡川の主な災害


発生発生原因被災市町村被害状況
昭和37年8月台 風鵡川町穂別町占冠村死者1名
浸水家屋595
田畑被害1,316ha
平成4年8月台 風鵡川町穂別町占冠村家屋半壊2戸
家屋浸水139
田畑被害2,193ha


(注:この情報2008年2月現在のものです)

鵡川

読み方:ムカワ(mukawa)

所在 北海道

水系 鵡川水系

等級 1級


鵡川

読み方:ムカワ(mukawa)

所在 北海道(JR日高本線)

駅名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

鵡川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 02:25 UTC 版)

鵡川

写真上/鵡川・赤岩青巌峡(占冠村)
写真下/鵡川中流域 豊田橋より下流を望む
水系 一級水系 鵡川
種別 一級河川
延長 135 km
平均流量 50.44 m3/s
(鵡川観測所 2000年)
流域面積 1,270 [1] km2
水源 狩振岳占冠村
水源の標高 1,323 m
河口・合流先 太平洋むかわ町
流域 日本 北海道

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鵡川(むかわ)は、北海道上川総合振興局管内および胆振総合振興局管内を流れ太平洋に注ぐ一級河川。鵡川水系の本流である。

地理

北海道勇払郡占冠村東部の空知郡南富良野町との境界にある日高山脈北部の狩振岳に源を発し南西に流れ、切り立った渓谷を抜け、むかわ町洋光付近で太平洋に注ぐ。

ラフティングの名所である赤岩青巌峡(あかいわせいがんきょう)や、紅葉の名所である福山渓谷が有名である。ただし、上流部の川沿いにある道道はその大部分が悪路であり、悪天候の場合には通行止めとなることが多い。

名称の由来

アイヌ語由来であるが、以下の諸説がある[2][3][4][5]

現在の「鵡川」の表記は明治以降定着したもので、それ以前は「武川」「武加和」「六川」「牟川」「ム川」「ムカワ」などの表記があった[6]

なお、上流の「占冠」の地名は本川に由来する説が有力視されている(当該項目を参照)。

アイヌ語 意味 由来
カタカナ表記アコㇿイタㇰ ラテン翻字
ムカ 不明 水の湧く
(水のにじみ出る)
水上平原で、所々に水が湧き出で源水となったことから。
ムㇰアㇷ゚
(ムカㇷ゚)
muk-ap ツルニンジンある所 浜近くの草原にツルニンジンがたくさんあったことから。
ムカペッ ?-pet (上げ潮で運ばれた砂で口を)止められる川 上げ潮で砂で河口が塞がることから[7][8]
ムッカペッ ?-pet 塞がる川

流域の自治体

北海道
勇払郡占冠村むかわ町

主要ダム

一次
支川名
(本川)
二次
支川名
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3)
型式 事業者 備考
鵡川 双珠別川 双珠別ダム 29.0 1,330 重力式 北海道電力
鵡川 穂別川 穂別ダム 38.2 10,330 ロックフィル 北海道開発局

支流

括弧内は流域の自治体

  • 八戸沢川(占冠村)
  • ポロカトマム川(占冠村)
  • パンケシュル川(占冠村)
  • シム川(占冠村)
  • 双珠別川(占冠村)
    • 五の沢川(占冠村)
    • ポンソウシュベツ川(占冠村)
    • アリサラップ川(占冠村)
  • ペンケニニウ川(占冠村)
  • 青森団体の沢川(占冠村)
  • トサノ川(むかわ町)
  • オソスケナイ川(むかわ町)
  • 幌去川(むかわ町)
  • 穂別川(むかわ町)
    • サヌシュペ川(むかわ町)
  • ルベシベ川(むかわ町)
  • キナウス川(むかわ町)
  • 似湾川(むかわ町)
  • 湯の沢川(むかわ町)
  • 珍川(むかわ町)

主な橋梁

交通

明治40年代から昭和30年代にかけて、上流で伐採した丸太を河川を利用して中流域へ流す、木材流送が道内屈指の規模で盛んに行われていた。

1909年、穂別町(現むかわ町)から占冠村一帯の森林伐採が始まった。当時は、周辺に道路が存在しなかったため、上流で伐採した原木は川沿いに集積され、融雪期から秋期にかけて鵡川の水流を利用して当初は鵡川町まで、昭和5年からは[9]穂別中島地区の網場(木材を川から引き上げ、富内線の貨車へ積み替える拠点)へ向けて流された[10]。流送には、鉄砲堰いかだ流し技術を有する越中(富山県)や東北地方からの技術者(季節労働者)が従事。技術者が穂別を訪れる春先、穂別を去る晩秋の頃には、穂別駅を利用する技術者のチッキ(荷物)が山のようになっていた。道内屈指の規模を有した鵡川の流送も、鵡川沿いの農地が拡大すると、橋梁や堤防を損壊することが問題視されはじめたこと、道路事情の改善されたことなどから1961年に幕を閉じた。往時の様子は、穂別地区の「むかわ町穂別流送まつり」として語り継がれている[11]

関連項目

脚注

  1. ^ 鵡川水系河川整備基本方針
  2. ^ アイヌ語地名リスト ホロナ~モオ P121-130”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月26日閲覧。
  3. ^ 鵡川”. 国土交通省. 2018年2月25日閲覧。
  4. ^ 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社2008年8月発行)345ページより。
  5. ^ 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)100ページより。
  6. ^ むかわ町の歴史文化 中世編”. www.town.mukawa.lg.jp. むかわ町. 2022年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月5日閲覧。
  7. ^ 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社2008年8月発行)345ページより。
  8. ^ 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)100ページより。
  9. ^ 『穂別町史』324頁 1968年 穂別町役場刊
  10. ^ 竹谷正也 「思い出を綴る」『穂別高齢者の語り聞き史(昭和編)大地を踏みしめて 上 』穂別高齢者の語りを聞く会、2014年、p286-291頁。 全国書誌番号:22371368
  11. ^ 第36回むかわ町穂別流送まつり開催!!”. むかわ町. 2019年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月5日閲覧。

外部リンク




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