むかわ〔むかは〕
む‐かわ〔‐かは〕【鵡川】
鵡川
鵡川は、北海道の占冠村のトマム山にその源を発し、占冠村の盆地においてパンケシュル川、双珠別川等を合わせ、赤岩の峡谷を流下し、穂別市街で穂別川を合せ、鵡川町で山峡の地を離れ、鵡川市街を南西に流下し、太平洋に注いでいる流域面積1,270km2、流路延長135kmの河川です。 |
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鵡川河口より上流方向 |
河川概要 |
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![]() ○拡大図 |
1.鵡川の歴史 |
"流域には古い時代からアイヌの人々が定住し長年に渡り文化が維持されていました。流域への和人の入地は、1800年以降で、その明治中期以降、本州からの開拓民が次々と入植し、一面に茂った大木を切り倒し農地を開き、鵡川の豊富な水により地域の開発が進みました。" |
鵡川の名前の由来はいろいろな説がありますが、アイヌ語でムカ・ペッまたはムッカ・ペであり、「ふさがる川」という意味だといわれています。これは、海の上げ潮のために、河口が砂でふさがれる状態を表したということです。
流域への和人の入地は、河口に位置する現鵡川町が早く1800年(寛政12年)で、上流に向かう程遅く、穂別町が1800年代の後半、占冠町が1900年代となっています。 以後、肥沃で温暖な鵡川の流域には、明治中期以降、本州からの開拓民が次々と入植し、一面に茂った大木を切り倒し農地を開いていきました。下流の鵡川町では早くから稲作が試されており、明治25年に開かれた三反歩の水田が流域の稲作の始まりです。鵡川の豊かな水は主に農業用水として活用され、特に下流の平野部は道内指おりの稲作地帯として発展しました。今ではその豊かな水を活用した4,000haにも及ぶ、水田が広がり、緑の大地では放牧された牛・馬が草を食む姿もが見られます。また、漁業・農林業・鉱業などの開発も進んで、現在の鵡川・穂別・占冠などの集落が形成され、地域の行政・経済の中心として発展してきました。
鵡川の河川改修は大正時代に小規模な護岸工事に始まり、戦後になると計画的な工事が手掛けられ、重要な堤防から次々と整備が進んでいます。 |
2.地域の中の鵡川 |
"豊かな水産資源・自然環境を背景としたイベントとして鵡川町のタンポポフェスティバルや穂別流送祭りなどが開かれています。地元の方々により、子供たちが鵡川への認識を高めてもらう為の活動として「かわ塾」や植樹会、さらに清掃活動なども熱心に行なわれています。また鵡川の河口干潟再生については地元の方々と意見交換を行いながら進めています。" |
鵡川町のタンポポ公園を始めとした河川敷では、豊かな水産資源・自然環境を背景としたイベントとして鵡川町のタンポポフェスティバルや穂別流送祭りが開かれ、また公園緑地を利用しての各種のレクリエーションが数多く行われています。 また地元の方々により、子供たちに川を知り、川に親しんでもらう為の活動として「かわ塾」や植樹会、さらに清掃活動なども熱心に行なわれています。 日本有数のシギ・チドリ等を中心とした渡り鳥の中継基地であった鵡川河口干潟は、海岸侵食により面積が減少し、渡り鳥の中継地としての機能は年々低下していました。そのような状況をふまえ、地元の方々と意見交換をおこないながら鵡川河口部の保全のあり方について考えるため平成8年より「鵡川河口に関する懇談会」を設け、足かけ4年間の議論をおこないました。その提案・提言・意見を具体的に実施する組織として「河口懇談会に携わった方々」、「鵡川に関わり活動している川が好きな方々」が平成12年8月29日に「わくわくワーク・むかわ」を発足させ、現在自然環境学習など様々な活動を展開しています。また、懇談会の提案を基に平成12年より鵡川河口干潟再生保全事業が進められています。
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3.鵡川の自然環境 |
"鵡川流域には多様な動植物が生息し、特に鳥類では鵡川河口域の干潟が、キョウジョシギ、トウネン、ハマシギなど30種以上のシギ、チドリ類の集団飛来地で、河口周辺で数多くの野鳥が観察されている。また魚類はサケ、マスや北海道の太平洋側にしか生息しないシシャモなどが遡上します。" |
4.鵡川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
鵡川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 02:25 UTC 版)
鵡川 | |
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写真上/鵡川・赤岩青巌峡(占冠村)
写真下/鵡川中流域 豊田橋より下流を望む |
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水系 | 一級水系 鵡川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 135 km |
平均流量 | 50.44 m3/s (鵡川観測所 2000年) |
流域面積 | 1,270 [1] km2 |
水源 | 狩振岳(占冠村) |
水源の標高 | 1,323 m |
河口・合流先 | 太平洋(むかわ町) |
流域 | ![]() |
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鵡川(むかわ)は、北海道上川総合振興局管内および胆振総合振興局管内を流れ太平洋に注ぐ一級河川。鵡川水系の本流である。
地理
北海道勇払郡占冠村東部の空知郡南富良野町との境界にある日高山脈北部の狩振岳に源を発し南西に流れ、切り立った渓谷を抜け、むかわ町洋光付近で太平洋に注ぐ。
ラフティングの名所である赤岩青巌峡(あかいわせいがんきょう)や、紅葉の名所である福山渓谷が有名である。ただし、上流部の川沿いにある道道はその大部分が悪路であり、悪天候の場合には通行止めとなることが多い。
名称の由来
アイヌ語由来であるが、以下の諸説がある[2][3][4][5]。
現在の「鵡川」の表記は明治以降定着したもので、それ以前は「武川」「武加和」「六川」「牟川」「ム川」「ムカワ」などの表記があった[6]。
なお、上流の「占冠」の地名は本川に由来する説が有力視されている(当該項目を参照)。
アイヌ語 | 意味 | 由来 | |
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カタカナ表記 |
ラテン翻字 | ||
ムカ | 不明 | 水の湧く (水のにじみ出る) |
水上平原で、所々に水が湧き出で源水となったことから。 |
ムㇰアㇷ゚ (ムカㇷ゚) |
muk-ap | ツルニンジンある所 | 浜近くの草原にツルニンジンがたくさんあったことから。 |
ムカペッ | ?-pet | (上げ潮で運ばれた砂で口を)止められる川 | 上げ潮で砂で河口が塞がることから[7][8] |
ムッカペッ | ?-pet | 塞がる川 |
流域の自治体
主要ダム
一次 支川名 (本川) |
二次 支川名 |
ダム名 | 堤高 (m) |
総貯水 容量 (千m3) |
型式 | 事業者 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
鵡川 | 双珠別川 | 双珠別ダム | 29.0 | 1,330 | 重力式 | 北海道電力 | - |
鵡川 | 穂別川 | 穂別ダム | 38.2 | 10,330 | ロックフィル | 北海道開発局 | - |
支流
括弧内は流域の自治体
- 八戸沢川(占冠村)
- ポロカトマム川(占冠村)
- パンケシュル川(占冠村)
- シム川(占冠村)
- 双珠別川(占冠村)
- 五の沢川(占冠村)
- ポンソウシュベツ川(占冠村)
- アリサラップ川(占冠村)
- ペンケニニウ川(占冠村)
- 青森団体の沢川(占冠村)
- トサノ川(むかわ町)
- オソスケナイ川(むかわ町)
- 幌去川(むかわ町)
- 穂別川(むかわ町)
- サヌシュペ川(むかわ町)
- ルベシベ川(むかわ町)
- キナウス川(むかわ町)
- 似湾川(むかわ町)
- 湯の沢川(むかわ町)
- 珍川(むかわ町)
主な橋梁
- 第二大橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 第一大橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 緑橋
- 千歳橋 - 国道237号
- 青巌大橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 赤岩大橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 赤岩橋
- 紅葉橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 楓橋 - 北海道道136号夕張新得線
- 福山大橋 - 国道274号
- 富内橋 - 北海道道610号占冠穂別線
- 穂別橋 - 北海道道74号穂別鵡川線
- 豊田橋
- 仁和大橋
- 栄和橋 - 北海道道59号平取厚真線
- 旭生橋
- 新春日大橋 - 北海道道983号米原田浦線
- 清流鵡川大橋 - 国道235号日高自動車道
- 鵡川橋 - 国道235号
- 鵡川橋梁 - JR日高本線
交通
明治40年代から昭和30年代にかけて、上流で伐採した丸太を河川を利用して中流域へ流す、木材流送が道内屈指の規模で盛んに行われていた。
1909年、穂別町(現むかわ町)から占冠村一帯の森林伐採が始まった。当時は、周辺に道路が存在しなかったため、上流で伐採した原木は川沿いに集積され、融雪期から秋期にかけて鵡川の水流を利用して当初は鵡川町まで、昭和5年からは[9]穂別中島地区の網場(木材を川から引き上げ、富内線の貨車へ積み替える拠点)へ向けて流された[10]。流送には、鉄砲堰やいかだ流し技術を有する越中(富山県)や東北地方からの技術者(季節労働者)が従事。技術者が穂別を訪れる春先、穂別を去る晩秋の頃には、穂別駅を利用する技術者のチッキ(荷物)が山のようになっていた。道内屈指の規模を有した鵡川の流送も、鵡川沿いの農地が拡大すると、橋梁や堤防を損壊することが問題視されはじめたこと、道路事情の改善されたことなどから1961年に幕を閉じた。往時の様子は、穂別地区の「むかわ町穂別流送まつり」として語り継がれている[11]。
関連項目
脚注
- ^ 鵡川水系河川整備基本方針
- ^ “アイヌ語地名リスト ホロナ~モオ P121-130”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “鵡川”. 国土交通省. 2018年2月25日閲覧。
- ^ 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社、2008年8月発行)345ページより。
- ^ 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)100ページより。
- ^ “むかわ町の歴史文化 中世編”. www.town.mukawa.lg.jp. むかわ町. 2022年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月5日閲覧。
- ^ 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社、2008年8月発行)345ページより。
- ^ 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)100ページより。
- ^ 『穂別町史』324頁 1968年 穂別町役場刊
- ^ 竹谷正也 「思い出を綴る」『穂別高齢者の語り聞き史(昭和編)大地を踏みしめて 上 』穂別高齢者の語りを聞く会、2014年、p286-291頁。全国書誌番号:22371368
- ^ “第36回むかわ町穂別流送まつり開催!!”. むかわ町. 2019年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月5日閲覧。
外部リンク
固有名詞の分類
- >> 「鵡川」を含む用語の索引
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