やべ‐がわ〔‐がは〕【矢部川】
矢部川
矢部川は、その源を福岡県八女郡矢部村の三国山に発し、日向神峡谷の渓流をあつめ西流したのち、山間を離れ八女市において最大支川星野川を合わせ、更に支川辺春川、白木川等を合流し、基準地点船小屋下流で沖端川を分派し筑紫平野を蛇行しながら、途中支川飯江川、楠田川を合わせ、有明海に注ぐ、幹川流路延長61km、流域面積620km2の一級河川である。 |
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筑後市を流れる矢部川 |
河川概要 |
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![]() ○拡大図 |
1.矢部川の歴史 |
"矢部川の歴史は、古くから治水と利水に意が注がれていました。特長として挙げられるのは、用水堰と廻水路工事があります。矢部川にかんがい用水を求めた関係で、右岸の有馬(久留米)左岸の立花(柳川)の両藩間の水争いが生じました。もう一つの特長は、強固な石積の「水刎」は、今もなお所々昔のままで見られます。" |
矢部川の歴史、先人の知恵の活用 |
矢部川は福岡県下有数の河川であって、古くから治水及び利水に意が注がれていたことは、古書あるいは現在もなお昔日の面影をとどめている河川工作物などによって容易に推察されます。
矢部川の藩政時代の治水利水の先人者として
矢部川の上流、山下から北田に至る長い堤防には、青々と茂った楠の大木が天にそびえており、その壮観さは見事であります。これは、 |
2.地域の中の矢部川 |
"矢部川は、福岡県の西南部に位置し、4市10町2村の16市町村にまたがり、大和町において有明海に注いでいます。そのため、市町村の地形特性や気候条件に適応した産業が盛んに行われています。このような地域特性の中で、市民団体では、積極的な活動が行われています。" |
矢部川と地域社会のつながり 矢部川は、その流域が福岡県の西南部に位置し、4市10町2村の16市町村にまたがり、大和町において有明海に注いでいます。流域の主な産業は、黒木町の八女茶、立花町、山川町のミカン栽培、瀬高町の酒造業、有明海のノリ養殖加工業など、地形特性や気候条件に適応した産業が盛んに行われいます。
河川の利用については、上流域では水力発電として現在4箇所の発電所があり、中下流域では耕作のかんがい用水として利用されています。 また、「鮎」を主体とした淡水漁業も行われており、さらに、矢部川より分派し沖端川に流れた水は、水郷のまちとして全国的にも知られている”柳川の川下り”にも利用されています。
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3.矢部川の自然環境 |
"矢部川流域は、自然豊かな環境を有しており、中、上流域及び星野川の一部は、県立自然公園に指定されており、船小屋付近のクスノキ及びゲンジボタル、上流域に位置する黒木町の大フジが国の天然記念物に指定されています。また、上流域の日向神渓谷周辺には、豊かな自然が残されています。下流域の瀬高堰下流には、貴重な延性植物が見られ、河口付近は、有明海特有の干潟を形成しています。" |
4.矢部川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
矢部川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 17:33 UTC 版)
矢部川 | |
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福岡県八女市黒木地区を流れる矢部川
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水系 | 一級水系 矢部川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 61 km |
平均流量 | 21.82 m3/s (船小屋観測所(筑後市)) |
流域面積 | 620 km2 |
水源 | 三国山(八女市矢部地区) |
水源の標高 | 994 m |
河口・合流先 | 有明海(柳川市/みやま市) |
流域 | ![]() |
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矢部川(やべがわ)は、福岡県の南部を流れる一級水系の本流である。
語源
源流部の「矢部」という地名に由来すると言われる。「矢部」の語源については主に2つの説があり、定かではない[1][2]。
- 『日本書紀』巻第七の景行天皇九州巡幸の記事に見出す説がある。八女地方に巡幸してきた景行天皇が、その険しく美しい山の中に神が有るかと尋ねると、水沼県主猿大海が、八女津媛という女神が常に山中に居ると答えた。つまり、八女の地名は八女津媛の「八女」によって生まれた。さらに八女津媛神社が山奥の矢部村に鎮座していることから、奥の「八女」が「矢部」になった説がある。
- 「ヤ」は山の意、「ベ」は辺の意で、湿地に沿った地であるところから生まれた地名ではないかとも言われている。
地理
八女市矢部村の三国山に源を発し、上流から中流域にかけては筑肥山地の北縁を西に流れ、星野川などいくつかの支流を合わせたのち八女市において扇状地を形成する。下流域では沖端川などを分派しつつ三角州・干拓地を形成し、同県柳川市大和町大坪と同県みやま市高田町昭和開の境界から有明海に注ぐ。流域内人口約188,000人。
河床勾配は上流部では約1/80~1/200程度と急勾配であり、中流部で約1/350~1/700程度、下流部では約1/2,000~1/10,000程度となっている[3]。矢部川の流量は変動が大きく古くから洪水や干害を引き起こしてきた。この流量の変動を調節するために、堰の建設やクリークを使った利水が発達した。また、1959年には治水・利水を目的とした日向神ダムが建設された。
歴史
- 矢部川の八女市の南側に当たる部分は、江戸時代の久留米藩および柳川藩の境界となっており境川と呼ばれていた。両藩による水利権を巡る勢力争いがあったという。
- 河口付近のみやま市瀬高町と柳川市大和町の境界部の矢部川は、瀬高町と柳川市三橋町との境界に比べて蛇行が少ない。これは、1645年頃の矢部川大改修によるもので、この付近の地名に改修の名残が見受けられる。
- 大正年間までは水田村(現筑後市)で漁獲される金の鮎は名物となっていた。しかし、第一次世界大戦の好景気で屋形船が増え、水藻を削ぎ落とすなど河川環境が変化したため姿を消した[4]。
流域の自治体
主な支流
矢部川・概略図 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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上流から(分派の記述がなければ流入)。出典:矢部川水系河川整備計画 (54/79) 福岡県 (PDF) 。
- 御側川(おそばがわ)
- 樅鶴川(もみづるがわ)
- 剣持川(けんもちがわ)
- 笠原川
- 田代川
- 星野川
- 龍川内川(りゅうがわうちがわ)
- 広内川(ひろうちがわ)
- 横山川
- 下横山川(しもよこやまがわ)
- 花宗川(はなむねがわ)[5] - 矢部川から分派して筑後川へ流入
- 辺春川(へばるがわ)
- 松尾川
- 白木川(しらきがわ)
- 沖端川(おきのはたがわ) - 矢部川から分派
- 塩塚川(しおつかがわ) - 沖端川から分派
- 二ツ川(ふたつがわ) - 沖端川から分派
- 二ツ川放水路 - 二ツ川から分派して沖端川へ流入
- 吉岡川
- 飯江川(はえがわ)
- 待居川(まちいがわ)
- 大根川(だいこんがわ)
- 楠田川
橋梁
- 船小屋観光橋(ガタガタ橋) - 国道209号の150m上流に架かる歩行者専用橋。流れ橋。
- 西鉄天神大牟田線矢部川橋梁(西鉄中島駅 - 江の浦駅間)
- 矢部川大橋 - 有明海沿岸道路(国道208号高田大和バイパス)の橋。
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ガタガタ橋
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西鉄天神大牟田線の矢部川橋りょう(柳川・みやま両市間)
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有明海沿岸道路 矢部川大橋(架橋下より撮影)
脚注
- ^ “矢部川源流域(福岡県八女郡矢部村) ―福岡県:矢部川水系 ―水土の巧”. suido-ishizue.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ “矢部ある記(11)ふるさとのあゆみ|八女市ホームページ”. www.city.yame.fukuoka.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ 矢部川水系河川整備基本方針 (PDF)
- ^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、406頁。ISBN 4-309-22361-3。
- ^ 川の管内図12 - 筑後川河川事務所 (PDF)
関連項目
- 日向神ダム
- 昭和28年西日本水害 - 九州北部の河川がほぼ全て氾濫。
- 平成24年7月九州北部豪雨
- 船小屋温泉
- 船小屋のクスノキ林
- 日本の川一覧
外部リンク
矢部川と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- 矢部川のページへのリンク