鈴鹿川とは? わかりやすく解説

すずか‐がわ〔‐がは〕【鈴鹿川】


鈴鹿川

人と町をつなぐ街道せせらぎ
鈴鹿川は、三重県関町滋賀県土山町甲賀町の境にある高畑山にその源を発し幾つも渓流合わせながら、関町山間の地を離れ以降安楽川合わせ亀山市鈴鹿市中心東北流下し、鈴鹿市地先河口より5km地点鈴鹿川派川分派したのち、内部川合わせ伊勢湾注いでいる流域面積323km2幹川流路延長38kmの河川です。

一大工業地帯四日市コンビナートの工業用水を担っている鈴鹿川
一大工業地帯四日市コンビナート工業用水担っている鈴鹿川

河川概要
水系鈴鹿川水系
河川名鈴鹿川
幹川流路延長38km
流域面積323km2
流域内人11万人
流域関係都県三重県

鈴鹿川流域図
○拡大図
1.鈴鹿川の歴史
"鈴鹿川は、河川沿いに街道発達し流域関所跡宿場町面影残しつつ、下流部日本屈指の石油コンビナート地帯あわせもつ川です。鈴鹿川は急峻な地形有し土砂流出が多い砂河川であり、江戸時代より上流では現在でいう砂防工事が、下流では築堤が行われてきました築堤工事においては右岸側が神戸城であったことから左岸堤の強化許されず、女人堤防なる話も伝えられています。"

 
四日市コンビナート
四日市コンビナート
鈴鹿川は、流域関所跡宿場町面影残しながら、日本屈指の石油コンビナート群をも併せ持つ川です。
鈴鹿川の名前は、大海人王子(後の天武天皇)が東国への旅の途中洪水難渋しているところに駅路鈴をつけた鹿が現れ、その背に乗って川を渡ったという伝説から来たと言われています。
鈴鹿川は、伊勢湾西部伊勢平野北寄りに位置しており、三重県鈴鹿郡高畑山に源を発し内部川など大小支川合流して伊勢湾に注ぐ長さ38kmの河川です。
川は山地から平野にでて扇状地形を有し中流部はその緩やかな地形利用してお茶栽培が盛んです。下流部水田として利用されきましたが、近年では都市化進んできています。また、河口部はその地形良港利用して四日市市中心とした石油コンビナート群が形成され日本屈指の工業地帯となってます。
古来より鈴鹿川沿いには東海道大和街道など近江大和方面への重要な交通路として利用されており、関町には古代三関一つである「鈴鹿の関」がおかれていました本川沿いに旧街道が通るこの地域の特徴反映して石薬師野村一里塚東西追分けといった近世に至る交通の要所としての史跡や、石薬師庄野亀山・関・坂下の旧宿場町忍ばせる町並みが今も残ってます。
「鈴鹿川、八十瀬渡りて誰ゆゑか、夜越に越えむ妻もあらなくに」と万葉集にも詠われているように、鈴鹿川は数多くの瀬を形成する河川です。
上流部山腹荒廃著しく土砂流出多くそのため河道安定せず下流部ではたびたび洪水による氾濫繰り返し流域住民多く試練苦痛与えてきましたこのため江戸時代より人々は、上流部では崩壊地に石堤設けるなど現在でいう砂防工事を、下流部では築堤工事行ってきました
しかし、右岸側が神戸城であったことにから左岸堤の強化許されず、このためこの地域では女人堤防*1なる話が伝えられています。
また、鈴鹿川の中・下流部においては古くから水田耕作が営われ、多くかんがい用水施設つくられきました。しかし、昔から鈴鹿川は砂河川であるため川の水伏流水化し農業用水の確保には苦労してきました。そのため各用水河床掘ったり、伏樋形態取水施設やこの地方特有のマンボ*2と呼ばれる暗渠式の潅漑施設等が工夫されきました


*1 女人堤防
女人堤防(鈴鹿市)
女人堤防鈴鹿市
殿様は、堤防造る下流にある自分の城が危険になる考え堤防造った者は打ち首処す」と定めました
しかし大変困っていた村人達は相談の上稼ぎ手ある男達が殺されないよう女達堤防造ることにしました
こっそり行う暗夜工事は、完成まで6年かかりました。その話は殿様の耳にも入りましたが、家老身をもって諫めたおかげで打ち首免れ、むしろ褒美頂き功績称えられることになりました。だからこの堤防は「女人堤防」と呼ばれているのです。


*2 マンボ
鈴鹿川流域広がる扇状地では、川が低いところを流れているため、を得ることが困難でした。そこにを引き、水田を営むためにマンボ生まれました地下トンネル掘り伏流水や、わき出す地下水集めて地表誘導しかんがい等に利用する横井戸状の取水施設をこう呼びました
2.地域の中の鈴鹿川
"鈴鹿川の上流部は鈴鹿国定公園指定され豊かな渓谷美を背景キャンプ場などがあり四季通じて賑わい見せてます。下流部河川敷にはサッカー野球場サイクリングロード等が整備され多く市民利用され憩いの場となってます。また、夏には花火大会なども行われます。"

鈴鹿川の上流域鈴鹿国定公園指定されていて、内部川上流宮妻峡御幣川上流小岐須渓谷安楽川上流石水渓等は、渓谷美を背景キャンプ場施設整備され四季通じて行楽賑わい見せてます。
また、猿田彦大社総本社といわれる椿大神社のほとりを流れ鍋川上流には椿渓谷があり、キャンプ場としても親しまれています。
定五郎橋附近(鈴鹿市)
五郎附近鈴鹿市
その他、夏には納涼花火大会関町の鈴鹿川河川敷行われ多くの人でにぎわいます
本川下流部では内部川合流点付近中心に両岸発達した比較的広い高水敷利用して野球場サッカー場などが整備された鈴鹿川緑地設けられ中流部では定五郎から庄野にかけて野球場サッカー場テニスコートなどが整備された鈴鹿川河川緑地があり、休日などは多く市民利用されています。また、この鈴鹿川河川緑地起点として、サイクリングロード下流高岡付近まで整備されています。
これら2つ緑地サイクリングロードのほかにも、各所小規模な運動広場見られたり、採草地として利用されています。
新大正橋付近(楠町)
新大付近楠町
また、支川高水敷は、堤外民地残されており、大半農耕地として利用されています。
3.鈴鹿川の自然環境
"鈴鹿川流域は、その大半人工林占め自然植生見られるのは標高の高い地域神社林等に限られています。流域内には特別天然記念物であるニホンカモシカ生息するとともに、キリヤマミドリシジミ、ムカシトンボなどの昆虫生息してます。また、河口付近シギ・チドリ類渡来となってます。"

鈴鹿川水系は、地勢急峻で、上流部山間をぬって渓谷刻み亀山市市街地あたりから段丘状の平地開けてます。中流部から下流部北側南側分けてみると、北側鈴鹿山麓から発する扇状台地波状重なりその間支川流れます。これに対し南側海岸に至るまで沖積平野開け、そのほとんどが水田利用されています。
上流部地質花崗岩主体であり、特に安楽川内部川源流付近美し渓谷となってます。しかし、風化による土砂流出多く、砂河川傾向があり表面流れ水量乏しくなっています。流域の年平均降水量は1,800mm程度ですが、上流山間部では2,000mmを越えてます。
御在所山(菰野町)
御在所山菰野町
鈴鹿川流域植生帯暖帯林から温帯林属しますが、大半人工林占め自然植生見られるのは山間標高が高い地域丘陵地神社林・丘の斜面限られています。
本川生態系を見ると、鳥類では河口付近シギ・チドリ類渡来地があり、中流部ではコアジサシ生息見られるほかブッポウソウ・コノハズク等も生息してます。
石水渓(亀山市)
石水渓亀山市
魚類では全域渡りアユ・オイカワ・ヨシノボリが生息し下流部ではウグイ・ボラ・スズキ等、中流部ではタモロコ・ボウズハゼ等、上流部にかけてはアマゴ・カワムツ等が見られます。また、伊勢湾に注ぐ河川のみに見られ、国指定天然記念物であるネコギギ生息知られていますが、近年ほとんど見られなくなってしまいました
ほ乳類では国指定特別天然記念物ニホンカモシカが特に有名で、当流域では、内部川鍋川御幣川等の源流域山地生息してます。
このほかにも、ニホンザル・キツネ・シカ等のほ乳類、モリアオガエル・ヒダサンショウウオ等の両生類三重県指定天然記念物であるキリシマミドリシジミやムカシトンボ・ムカシヤンマの昆虫類生息してます。
4.鈴鹿川の主な災害

発生発生原因被災市町村被害の状況
S28,9,25台風13号四日市市死者行方不明者 1名
負傷者 290
被災家屋 約2,100
S34,8,14台風7号鈴鹿市被災家屋 約2,000
S34,9,26伊勢湾台風四日市市
亀山市
楠町
死者行方不明者 115
負傷者 10
被災家屋 約18,000
S49,7,25低気圧亀山市死者行方不明者 1名
負傷者 12
被災家屋 約3,400
S63,8,16台風11・13四日市市被災家屋 約50

(注:この情報2008年2月現在のものです)

鈴鹿川

読み方:スズカガワ(suzukagawa)

所在 三重県

水系 鈴鹿川水系

等級 1級


鈴鹿川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/19 05:12 UTC 版)

鈴鹿川
鈴鹿川に架かる伊勢鉄道伊勢鉄道線橋梁
水系 一級水系 鈴鹿川
種別 一級河川
延長 38 km
平均流量 7.21 m3/s
(高岡観測所:2000年(平成12年))
流域面積 323 km2
水源 高畑山(三重県滋賀県
水源の標高 773 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県)
流域 日本 三重県

テンプレートを表示
三重県北部を流れる河川の位置関係。濃い破線は県境、薄い破線は市町村境。河川名は木曽川水系以外は水系本川のみ記載。

鈴鹿川(すずかがわ)は、三重県北部を流れる一級水系本流

概要

川の名前は大海人皇子東国へ向かう途中、洪水に難渋しているところに駅路鈴をつけた鹿が現れ、その背に乗って川を渡ったという伝説から付けられたとされる[1]

歌枕として古来多くの和歌に詠まれてきた。

鈴鹿川 やそせの波は わけもせで 渡らぬ袖の ぬるる頃かな — 奨子内親王、『玉葉和歌集』より[2]

地理

滋賀県との県境を成す鈴鹿山脈の高畑山(三重県・滋賀県)に発し、伊勢湾に注ぐ。流路のほとんどで東海道国道1号)が並行する。上流域はかつて鈴鹿郡関町だったが、2005年平成17年)1月11日から亀山市に編入された。

また、特筆すべき事項として、1956年昭和31年)8月1日、旧鈴鹿郡関町加太一ツ家が分水界を越えて旧阿山郡伊賀町に編入され、伊賀町一ツ家(現在は伊賀市一ツ家)となったため、主な支流の一つである加太川は伊賀市も流れている。

流域の自治体

三重県
亀山市鈴鹿市四日市市

主な支流

一級河川のみを下流側から順に記載する[3][4]

河川 よみ 次数 管理者 主な経過地 河川延長
(km)
備考
鈴鹿川 すずかがわ 本川 中部地方整備局
三重県
四日市市、鈴鹿市、
亀山市
38
内部川 うつべがわ 1次支川 中部地方整備局
三重県
四日市市、鈴鹿市
春雨川 はるさめがわ 2次支川 三重県 四日市市
小池川 こいけがわ 3次支川 三重県 四日市市
足見川 あしみがわ 2次支川 三重県 四日市市
鎌谷川 かまたにがわ 2次支川 三重県 四日市市
谷川 たにがわ 1次支川 三重県
四日市市
四日市市
鈴鹿川派川 すずかがわはせん 1次支川 中部地方整備局 四日市市
浪瀬川 なみせがわ 1次支川 三重県 鈴鹿市
椎山川
出屋敷川
しいやまがわ
でやしきがわ
1次支川 三重県
鈴鹿市
鈴鹿市
蒲川 がまがわ 2次支川 三重県 鈴鹿市
芥川 あくたがわ 1次支川 三重県 鈴鹿市
安楽川 あんらくがわ 1次支川 中部地方整備局
三重県
鈴鹿市、亀山市 17.7
御幣川 おんべがわ 2次支川 三重県 亀山市、鈴鹿市
鍋川 なべがわ 3次支川 三重県 鈴鹿市
八島川 やしまがわ 2次支川 三重県 亀山市、鈴鹿市
亀淵川 かめぶちがわ 3次支川 三重県 鈴鹿市
兎田川 うさぎだがわ 4次支川 三重県 鈴鹿市
寺川 てらかわ 3次支川 三重県 鈴鹿市
源明川 げんめいがわ 3次支川 三重県 鈴鹿市
原田川 はらだがわ 2次支川 三重県 亀山市
前田川 まえだがわ 2次支川 三重県 亀山市
大門川 だいもんがわ 2次支川 三重県 亀山市
我女川 がめがわ 2次支川 三重県 亀山市
水晶谷川 すいしょうだにがわ 2次支川 三重県 亀山市
宮川 みやがわ 2次支川 三重県 亀山市
椋川 むくがわ 1次支川 三重県 鈴鹿市、亀山市
亀田川 かめだがわ 2次支川 三重県 亀山市
竜川 たつがわ 1次支川 三重県 亀山市
桜川 さくらがわ 1次支川 三重県
亀山市
亀山市
石場川 いしばがわ 2次支川 三重県 亀山市
小野川 おのがわ 1次支川 三重県 亀山市
加太川 かぶとがわ 1次支川 三重県 亀山市
越川 えちがわ 2次支川 三重県 亀山市
牛谷川 うしたにがわ 2次支川 三重県 亀山市
平子川 ひらこがわ 2次支川 三重県 亀山市
小神武谷川 こじんむたにがわ 2次支川 三重県 亀山市
虻谷川 あぶたにがわ 2次支川 三重県 亀山市
神武谷川 じんむたにがわ 2次支川 三重県 亀山市
出雲谷川 いずもたにがわ 2次支川 三重県 亀山市
吉ヶ谷川 きちがたにがわ 3次支川 三重県 亀山市
喜和田川 きわだがわ 2次支川 三重県 亀山市
アマタノ川 あまたのがわ 3次支川 三重県 亀山市
大岡寺川 たいこうじがわ 2次支川 三重県 亀山市、伊賀市
市の瀬川 いちのせがわ 1次支川 三重県 亀山市
中津川 なかつがわ 1次支川 三重県 亀山市

並行する交通

鉄道

道路

架橋

江戸時代には橋はなく水かさが増したときは甲斐の渡し(鈴鹿川)の通行は容易でなかった[5]。前川定五郎(1832年 - 1917年大正6年))が寄付金を集め私財を投じ、1908年明治41年)に定五郎橋が完成した[5]1952年(昭和27年)5月27日、鈴鹿川堤防沿いに定五郎の顕彰碑が建てられた[5]

脚注

  1. ^ 日本の川 - 中部 - 鈴鹿川”. www.mlit.go.jp. 2020年6月11日閲覧。
  2. ^ 金子元臣監修、中村薫編『典拠検索名歌辞典』(明治書院1936年)278頁。
  3. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
  4. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2023年6月12日閲覧。
  5. ^ a b c 定五郎橋”. 三重県鈴鹿市牧田地区文化遺産. 2020年11月13日閲覧。

外部リンク

関連項目




鈴鹿川と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「鈴鹿川」の関連用語

鈴鹿川のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鈴鹿川のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
国土交通省河川局国土交通省河川局
Copyright© 2025 MLIT Japan. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの鈴鹿川 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS