消流雪用水 (しょうりゅうせつようすい)
消流雪用水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 05:54 UTC 版)
境川ダムは日本国内では珍しい消流雪用水という目的を有しており、日本で初めてこの目的が導入されたダムでもある。これは1987年(昭和62年)に建設省(国土交通省)が打ち出した「雪対策ダム事業」の一環であり、その先駆けでもあった。 日本屈指の豪雪地帯である北陸地方は、戦後では特に三八豪雪(1963年・昭和38年)と五六豪雪(1981年・昭和56年)といった多数の死者を出す豪雪も経験している。このため北陸地方では雪対策として道路融雪のための消雪パイプや流雪溝などが発達し、冬季の生活や交通を支えている。これら消雪用の水は従前は主に地下水を利用していた。だが過度の地下水依存は地盤沈下を招くことから、地下水に替わる新しい水源確保が求められた。河川行政を管轄する建設省は多目的ダム事業の多角化を進めていたが、北陸地方の克雪対策に寄与するために消雪用水の水源をダムに求める対策を立てた。そして1987年に新たな多目的ダム事業として「雪対策ダム事業」を進め、その一環として1990年(平成2年)より「消流雪用水」を新規目的として導入を決定、第一号として完成間近の境川ダムに白羽の矢が立った。 富山県はこの決定を受けて翌1991年(平成3年)に富山県総合雪対策条例を制定、その中に雪対策ダム事業として境川ダムの事業を推進することを盛り込んだ。これにより境川ダム建設事業の変更がなされ、新たに井波町(現・南砺市井波地区)に対して日量として112,320トンの消流雪用水を供給する目的が追加された。富山県では境川ダムのほか布施川ダム(布施川)、城端ダム(山田川)、久婦須川ダム(久婦須川)が既に稼働しているほか、福井県や新潟県などでも消流雪用水目的を有する多目的ダムを現在施工している。
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