観測施設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/10 08:56 UTC 版)
観測施設 (かんそくしせつ) または観測所 (かんそくじょ、英語: Observatory) とは、天文・地震・気象などの自然現象を観測し、記録する施設のことである[1]。観測施設で観測されたデータは予測、研究や防災など様々に活用される。
観測施設の例
地上気象観測
日本においては、全国約60か所の気象台や測候所において気圧、気温、湿度、風向、風速、降水量、積雪の深さ、降雪の深さ、日照時間、日射量、雲、視程、大気現象等の気象観測を行っている[2]。
火山観測
日本国内における火山観測施設は大学等の研究機関によるものと、気象庁等の観測機関によるものに分けられる。研究機関による施設は火山の基礎研究を行うため、観測機関による施設は火山活動の監視のために設置されている[3]。
水位観測
日本国内においては、海面の潮位を測定する施設は設置機関によって名称が異なっている。
河川の水位観測においては水位観測所が存在する。このため、河川の河口付近の水位観測施設は潮位を計測し、これによって潮位表・潮位曲線表をとりまとめている。
水位観測所は河川を管理する目的で時々刻々監視されており、洪水時における水位観測は洪水予報や水防活動に用いられ、渇水時においては用水の取水量や取水位の管理に用いられる[4][5]。
地震観測
日本国内の地震観測はまず東京気象台が1884年12月に「地震報告心得」を制定して以来測候所に地震計が整備されて以降、全国的に地震計による観測体制が整えられていき、今日の気象庁の全国地震観測業務へ発展していった[6]。また、大学や様々な行政機関等も地震調査観測を様々な手法により実施している[7]。全国各地に設置された地震計(地震観測点)によって、地震観測網が形成されている。
天文観測
天体や天文現象の観測する施設としては天文台がある。国立天文台の天体望遠鏡だけでも光学望遠鏡や電波望遠鏡など用途に合わせて様々な種類が存在している[8]。また、神岡宇宙素粒子研究施設ではニュートリノを観測する水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置のスーパーカミオカンデ[9]や重力波望遠鏡のKAGRA[10]が運用されている。
その他
この他にも地軸の微小な振動運動を測定する国際緯度観測所などがある。
脚注
- ^ “観測所 - コトバンク”. voyagemarketing. 2021年9月20日閲覧。
- ^ “地上気象観測”. 気象庁. 2021年9月22日閲覧。
- ^ 山里平「近代火山観測の歴史 -気象庁の監視観測を中心に-」『火山』第50巻特別号、 S7。
- ^ 土木研究所、国土交通省河川局 『水文観測 平成14年度版』。ISBN 4921150125。
- ^ 国土交通省 : 観測所一覧 - 川の防災情報
- ^ 石垣祐三「明治・大正時代の震度観測について-震度データベースの遡及-」『験震時報』第70巻、2007年、 29頁。
- ^ “地震に関する基盤的調査観測計画”. 地震調査研究推進本部 (1997年8月29日). 2021年9月22日閲覧。
- ^ “質問7-2)望遠鏡は何台あるの?”. 2021年9月22日閲覧。
- ^ “実験概要|スーパーカミオカンデ 公式ホームページ”. 東京大学宇宙線研究所. 2015年10月16日閲覧。
- ^ “大型低温重力波望遠鏡KAGRA 観測開始” (プレスリリース), 東京大学宇宙線研究所, (2020年2月25日) 2020年2月26日閲覧。
関連項目
観測施設
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地震計(高感度地震計のみ或いは強震計を併設)のほか、観測データの伝送設備、傾斜計、GPS変位計が併せて設置される。高感度の観測を継続させるため、観測点の設置地点の選定には「地質・地形条件」「社会・環境条件」いくつかの制約があり、原則として軟弱な地盤や断層破砕帯付近は避け、巨大振動源、高圧送電線、高速道路、幹線道路、鉄道、急流と一定の距離をおくことが要求され、なるべく人里を離れた岩盤で堅牢な場所が選定される。しかし、現実的には「建設コスト」「地質・地形条件」「社会・環境条件」を複合し考慮した立地検討を行った結果として、電源と観測データの伝送回線(IP網)が確保でき地中掘削建設用重機が進入可能で長期に渡り安定した観測を継続するための地点となる。従って、私有地よりは学校、公有地(地方自治体を含む)、地域自治会保有地などが多く選定されている。また、候補地周辺に適切な立地条件の土地が見つからない場合は、施設は建設されない。 関東平野から東海地方にかけての地域には、当該観測網(高感度地震観測網)が整備される以前から「関東・東海地殻活動観測網」が稼働し観測が行われていたが、2002年度以降、順次統合作業が行われ、2003年7月1日までに高感度地震観測網に統合された。 糸魚川‐静岡構造線断層帯域には、2005年度より「糸魚川‐静岡構造線断層帯における重点的調査研究」受託事業などにより、気象庁の観測施設が移管されたほか、観測点が集中的に配置されている。 高感度地震計:固有周期1秒の3成分(上下、東西、南北)の地震計を地表と地中(深さは観測点毎に異なる)の両方あるいはどちらか一方を設置。雑微動(生活ノイズ)と呼ばれる人の経済活動が要因のノイズのほか、研究のための人工地震、波浪、風雨、流星などによる自然的要因の影響を受ける。 強震計:高感度地震計だけでは、近くで発生した大きな地震でデータが飽和してしまうため、強い震動でも計測データが飽和しにくい地震計をあわせて設置。 地中用地震計:全長約3mで水密耐圧性の容器に収納され、より微細な震動の観測を可能とするために堆積層下の基盤に達するよう掘削された直径10数cm 深さは通常100mから200m程度の観測井底に設置される。観測条件の悪い場所では、1000m級の観測井が必要な場合もあり、最深はさいたま市岩槻区の3510m。なお、地中用地震計の使用最高温度は、85℃である。 観測点で停電が発生した場合は、観測点に装備されているバッテリーにより最長50分間のデータ伝送が行われる。また、最長22時間のデータ収録を行うことができる。
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