高圧送電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 08:37 UTC 版)
高電圧による送電は、電線の電気抵抗によるエネルギー損失を低減するために用いられる。一定量の電力輸送では、より高い電圧とすることにより送電電力損が抑制される。回路中の電力は電流に比例するが、電線の発熱のような電力損は電流の2乗に比例する。しかし、電力は電圧にも比例するので、特定の電力レベルにおいては、高電圧は低電流とトレードオフの関係でありうる。すなわち、電圧を上げれば上げるほど電力損は低減する。電力損は電気抵抗を少なくすることでも低減可能であり、通常導体直径を太くすることでそれは達成される。しかし太い導体は重く、より高価となってしまう。 高電圧は電灯や動力には簡単に利用できないので、送電レベルの電圧は需要家装置に適合するよう変換されなければならない。変圧器は交流でしか機能しないが、電圧変換を行うのには適している。直流方式のトーマス・エジソンと、交流方式のニコラ・テスラおよびジョージ・ウェスティングハウスとの競争は電流戦争として知られ、交流方式は明らかに勝利した。 実用的に直流電圧を取り扱うことは、水銀整流器や、サイリスタ・絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT) ・パワーMOSFET・ゲートターンオフサイリスタ (GTO) 等の後の半導体整流器といった電力用半導体素子の開発によりはじめて可能になった。
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