整流器
交流電力を直流電力に変換するために、ダイオードあるいは2極真空管とコンデンサー、チョークコイルによる整流回路を収めた装置。正弦波形の逆相部分をすべて正の同相に変換するため、小電力では2極電子管、ダイオード整流素子、サイリスター整流器などと平滑回路が必要。バッテリーやソーラーセルなどの直流電源から交流電源を得る逆変換装置には、サイリスターを用いたインバーターがある。
整流器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/29 04:25 UTC 版)
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整流器(せいりゅうき、英語:rectifier)は、電流を一方向にだけ流す(整流)作用を有する素子[1][2]。交流を直流に変換する素子の総称であり、実際の素子としては、陰極(カソード)と陽極(アノード)の2端子、あるいは、さらに制御端子を加えた3端子のものがある[1]。
順変換装置ともいう。また、整流器を用いて交流を直流に変換する回路を整流回路(順変換回路)という。
整流器の種類
整流器を用いる回路は、低電圧小電流から高電圧大電流まで多岐にわたる。したがって、用いる回路に適した素子を選択する必要がある。
整流器としては、以下のものがある。
- 水銀整流器(エキサイトロン)
- 熱陰極水銀整流管
- 亜酸化銅整流器
- セレン整流器
- ダイオード (シリコン整流器・ゲルマニウム整流器)
- 二極真空管
また、制御端子を有する整流器として用いられる素子等としては以下のものがある。
- 水銀整流器(イグナイトロン) (端子の対応 - 陽極:陽極/陰極:水銀陰極/制御端子:点弧子)[3]
- 熱陰極格子制御放電管(サイラトロン) (端子の対応 - 陽極:陽極/陰極:陰極/制御端子:制御格子)[3]
- サイリスタ (端子の対応 - 陽極:アノード/陰極:カソード/制御端子:ゲート)[4]
- MOSFET (端子の対応 - 陽極:ドレイン/陰極:ソース/制御端子:ゲート)[5]
整流回路における整流器(素子)の接続方法
出力側の等価相数が多いほど、直流側の脈動対策が容易となるので、大電力用途ほど等価相数を多くする。
単相半波整流
整流素子1個で、順電圧の期間のみ整流する最も簡単な整流方法。
単相半波整流では、交流の正弦波の正もしくは負の部分のみが取り出され、残りの半分は整流素子により通電が阻止される。
電流を取り出す用途では周期の半分が通電しない期間であるため、出力はパルス状となり平滑化(脈流も参照)すると低い電圧しか得られないばかりか、電源側にも多くの高調波をもたらすため電源用途にはあまり適しない。しかしながら回路計の交流電圧測定回路や後述の高周波プローブの用途では、構造が単純であるのと整流素子を1つしか通過しないためエネルギー損失は最小限に抑えられるため、もっぱら半波整流が主流である。また小容量DC-DCコンバータにおいては絶縁型においても正パルスの矩形波であるため半波整流で足りる。
正弦波入力電圧の理想的な半波整流器の無負荷出力直流電圧: [6]
非スイッチング電源のACアダプタは、そのほとんどがこの構成をとる。
二相全波整流
整流素子2個で、正負が逆の二相交流を整流する。
同じ出力電圧を得るためにトランスの二次巻線を同巻き数の2組を、おのおの半波整流として用いる関係上、同容量の単相ブリッジ整流よりも変圧器は大きくなる。なお二極真空管においてはカソードを共用できるため、2つのプレートを持つ1本の真空管(双二極管)で整流回路が組めた。
理想的な無負荷の単相全波整流器の平均および二乗平均平方根出力電圧:
整流素子3個で、三相電源の全相を半波整流し、3相整流とする。水銀整流器は構造上、陰極を共用する構造のため、半波整流回路が主流であった。
三相全波整流
整流素子6個で、三相電源の全相を全波整流し、6相整流とする。
理想的な無負荷の単相全波整流器の平均出力電圧: