猪苗代発電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:59 UTC 版)
阿賀野川の河水を利用した水力発電は安積疏水を利用し1899年(明治32年)に運転を開始した沼上発電所(郡山市熱海町。認可出力:300キロワット)である。現在でも供用されているこの水力発電所(現在は 1,400キロワットを発電)は長距離高圧送電を日本で初めて開始した水力発電所でもあった。当時は利用地域にごく近い地点に水力発電所を設け、送電が行われていた(蹴上発電所など)。だが発電所を管理する郡山紡績絹糸会社は 22キロメートル 先の郡山工場へ電力を供給するため、11,000ボルトの高圧送電線を用いての送電に成功した。 この長距離高圧送電の成功は当時全国的に盛んとなった電力開発事業に大きな影響を与えたが、猪苗代湖の水力を利用した電源開発を計画していた猪苗代水力電気株式会社は1914年(大正3年)、猪苗代第一発電所を建設した。この発電所は当時としては日本最大級の出力・37,500キロワットの認可出力を有し、西日本最大の水力発電所である女子畑発電所(玖珠川・大分県)と並び日本を代表する発電所として『東の猪苗代、西の女子畑』と称えられた。また、この猪苗代第一発電所は長距離高圧送電技術をさらに応用し、猪苗代から東京までの長距離送電に成功した。この成功は福澤桃介や浅野総一郎ら水力発電事業者を刺激し、大規模な発送電技術の向上に繋がった。猪苗代湖を利用した水力発電はその後も開発され、猪苗代第二(1918年・大正7年)、猪苗代第三・猪苗代第四(1926年・大正15年)の各発電所が日橋川に建設されたほか、磐梯山の爆発によって形成された小野川湖や秋元湖も水力発電に利用され、1940年(昭和15年)には当時最大級の出力規模を誇る秋元発電所(107,500キロワット)が秋元湖をダム化して完成した。
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