大正池 (松本市)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/09 23:32 UTC 版)
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大正池(たいしょういけ)は、長野県松本市安曇にある景勝地で国の特別名勝・特別天然記念物に指定されている上高地にある池。
概要
池は、活火山である焼岳が1915年(大正4年)に噴火し、泥流によって梓川が堰き止められて形成された[1]。池にある立ち枯れの木々の景観は、1928年(昭和3年)に「上高地」が史蹟名勝天然紀念物保存法による「名勝及ビ天然紀念物」に指定される際の理由の一つとなった。
- 標高 : 1,500 m
- 所在 : 長野県松本市安曇上高地
大正池の維持
大正池は年々、上流から流入する土砂が池底に堆積しているため、浅くなってきている。現在は上高地の観光資源であると同時に、下流に建設された東京電力リニューアブルパワーの水力発電所、霞沢発電所[注釈 1]の調整池としても利用されていることから、年間10,000 - 30,000立方メートルの土砂を東京電力が冬場に浚渫(しゅんせつ)している[2]。浚渫した土砂は、従来、建設資材に利用されていたが、需要が減っており、先々処分方法が問題となると見込まれている。仮に東京電力が浚渫を取りやめた場合、単純計算で7 - 8年もすれば、池は土砂で埋まってしまうものと考えられている[3]。
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大正池をせき止めるゴム引布製起伏堰
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発電用取水口
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霞沢発電所
交通アクセス
- アルピコ交通上高地線(通称・松本電鉄)新島々駅からアルピコ交通バス(通称・松本電鉄バス)上高地行で60分、大正池バス停すぐ。池沿いに降り、田代池を経由し、バスターミナルや河童橋まで徒歩約1時間である。
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大正池バス停
周辺情報
魚類
梓川や大正池には元々イワナが優占種として生息していたが、1925年以降カワマス、ブラウントラウトが放流された。現在ではイワナとカワマス、ブラウントラウトの純粋種の他に、放流された3魚種の自然交雑種が生息し、イワナは優占種では無くなった[4]。ただし、自然交雑種のF1(雑種第1代)は雑種強勢の特長が現れるが、戻し交配を含むF2(雑種第2代)は雑種崩壊により生存性と繁殖力が極端に弱く、イワナ純粋種は存続すると見られている[5]。
脚注
注釈
出典
- ^ “第39回(公社)日本口腔外科学会中部支部学術集会 オプショナルツアー 周辺情報”. 信州大学. 2020年9月2日閲覧。
- ^ “霞沢発電所、大正池見学記”. ダム工学会. 2018年7月10日閲覧。
- ^ 市民タイムス2011年1月12日22面
- ^ 井口恵一朗, 北野聡, 松原尚人「モルフォメトリーによるイワナ・カワマス間の種判別」『水産総合研究センター研究報告』第1号、水産総合研究センター、2001年12月、1-5頁、ISSN 13469894、 NAID 40005638193。
- ^ 河村功一, 片山雅人, 三宅琢也, 大前吉広, 原田泰志, 加納義彦, 井口恵一朗「近縁外来種との交雑による在来種絶滅のメカニズム(<特集1>生物学的侵入の分子生態学)」『日本生態学会誌』第59巻第2号、日本生態学会暫定事務局、2009年、131-143頁、doi:10.18960/seitai.59.2_131、 ISSN 0021-5007、 NAID 110007340216。
関連項目
外部リンク
- 大正池_(松本市)のページへのリンク