S波
横波
【英】: shear wave
同義語: S 波
地震波のうち、実体波と呼ばれるものの中には、縦波と横波がある。このうち横波は英語の頭文字をとってS波とも呼ぶ。地層中の、ある微小な断面に着目するとき、この断面に沿ってずりの力が働いたとする。そうすると、断面上の粒子はその方向へ動き、次の瞬間には逆方向へ動く、という振動を繰り返す。この振動は、振動方向に直交する向き(つまり、断面に直交する向き)に伝ぱする。これを横波(S 波)という。したがって、横波の振動は進行方向に直交する向きに起こる。縦波(P 波)が媒質の体積変化を伝える波であるのに対し、横波は、ずり、ねじれなど剪断{せんだん}性の変化を伝える波である。流体中にせん断力は生じないから、横波は固体中でのみ存在しうる波である。横波の伝ぱ速度は地層の剛性率の平方根に比例するから、横波を使った探査がうまくできれば、まず地層の強度に関する情報がより正確に得られる。また、横波の伝ぱ速度は孔隙{こうげき}流体(含気体)の種類による変化を受けないから、S 波のみを取り出した記録断面図上では、かりにガス層などが存在しても、ブライト・スポットの現象が現れない。一方、P 波のみの記録断面上では、ブライト・スポットの異常振幅が出現する。これが、孔げき中の流体変化でなく、岩質そのものが変わっている場合には、P 波、S 波双方の記録断面図にその振幅異常が出るはずであるから、両者の識別ができる。ここに S 波探査を P 波探査と併用する大きな意義がある。ところで、一般にS波を利用する反射地震探査法は難しい。特に、石油対象のように深部探査の場合、その傾向が強い。その主な理由は、S 波を選択的に発生させる震源の開発が難しいからである。上記の S 波の発生機構からも分かるように、S 波を発生させるには、地面を引っかくような力を与えなければならない。このような震源機構で強い S 波を発生させるには特別な工夫が必要である。最近では、地面に連続的に、周期を変えながら引っかき振動を与える、いわゆる S 波のバイブロサイスが外国で開発されて、実用化試験段階にある。震源以外にも、データ処理上解決しなければならない問題が残されており、S 波探査が普及するのはまだ先のことである。 |

S波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/09 03:32 UTC 版)
S波 (S-wave)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:13 UTC 版)
Secondary wave(第2波)の略。進行方向と直角に振動する弾性波。ねじれ波 shear wave(たわみ波、剪断波)の一種。固体を伝わる。速度は岩盤中で3 - 4キロメートル/秒、P波に続いて到達し、主要動と呼ばれる大きな揺れを起こす。 S波の速度 V s {\displaystyle V_{s}} は、以下の式で表される。 V s = μ ρ {\displaystyle V_{s}={\sqrt {\frac {\mu }{\rho }}}} 断層破壊ではS波の振幅が大きくなる傾向にあるが、地下核実験などによる等方爆発では理論上S波は発生しない。 なお、P波・S波をそれぞれ「縦波」「横波」と呼ぶことがあるが、あくまでも進行方向に対しての縦横であり、P波で家が上下に揺れる、あるいはS波で家が左右に揺れるとは限らない(この場合は「縦揺れ」「横揺れ」)。ただし地震計での記録などを見ると、震源が浅い地震における震央のごく近傍などを除き、屈折により波の進行方向が地表面に対し垂直になるため、P波は上下成分が、S波は水平成分が卓越する傾向にある。
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S波
「S波」の例文・使い方・用例・文例
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