東海地震
とうかい‐じしん〔‐ヂシン〕【東海地震】
東海地震
東海地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:28 UTC 版)
東海地震については、1978年(昭和53年)に制定された大規模地震対策特別措置法に基づき、地震防災対策強化地域が指定された翌1979年(昭和54年)8月から、日本国政府として予知情報を報告・発表する行政の体制が確立された。 静岡県では、重点的に地震や地殻変動の観測が実施されているが、このうち常時観測が行われている体積ひずみ計のデータを主な基準として、「想定東海地震」の震源域におけるプレスリップを検出し、日本国政府機関である気象庁と学会機関である地震防災対策強化地域判定会がそのデータを判定した上で、気象庁が「大規模地震関連情報」または「判定会招集連絡報」(いずれも1979年から2004年まで)、3レベル区分の「東海地震に関連する情報」(2004年から2017年まで)を発表する仕組みだった。 東海地震に関連する情報は「東海地震予知情報」「東海地震注意情報」「東海地震に関連する観測情報」の3段階で、最高レベルの「東海地震予知情報」が出されると内閣総理大臣は「東海地震の警戒宣言」を発し、鉄道や道路、学校、病院で緊急措置が実施され、経済・社会活動が制限されるものだった。 制度化の契機となったのは、昭和の南海トラフの地震(南海地震と東南海地震)で、すべり残った地域で地震発生が懸念されるとして石橋克彦らが提起した「東海地震説」で、これが国会で立法化に至ったものである。 しかし、30年以上経過して想定の地震は未だ発生しない上、日本では他の地域で多くの被害地震を経験した。一方で地震学会では、実用的な地震予知は困難であるという認識が広がり、日本の国策で実施された地震予知計画のレビューでも、実用化は「極めて困難な課題である」とされ(1997年)、国際的にも決定論的な地震予知は、現時点で困難であるとする見解が発表されている(CCEP、2009年)。こうして、実用的地震予知の実情と東海地震予知の体制には乖離があることが、次第に浮き彫りとなっていった。 そのため、東海地震に限って「予知できる可能性がある」根拠として、プレスリップがいわゆる「前兆」ではなく、本震の発生たるプレート間の滑りの「早期検知」であるため、と説明がなされることもあったが、この考え方には批判があった。 2017年、中央防災会議の下に設置されていた「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」の報告では「現時点において、地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測する科学的に確立した手法はない」ことが示された。 これを踏まえて、日本国政府は体制を変更し「東海地震に関連する情報」の発表を取り止め、従来の観測網は生かしていくとともに、今後南海トラフ沿いの異常を観測した場合の新たな対応を検討すること、当面の対応として気象庁は「南海トラフ地震に関連する情報」の発表を行い、2017年11月1日から運用を始めた。
※この「東海地震」の解説は、「地震予知」の解説の一部です。
「東海地震」を含む「地震予知」の記事については、「地震予知」の概要を参照ください。
「東海地震」の例文・使い方・用例・文例
東海地震と同じ種類の言葉
- 東海地震のページへのリンク