長野県中部地震とは? わかりやすく解説

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長野県中部地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 03:42 UTC 版)

長野県中部地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2011年平成23年)6月30日
発生時刻 8時16分37秒 (JST)
震央 日本 長野県 松本市付近
北緯36度11.3分
東経137度57.2分(北緯36度11.3分 東経137度57.2分 / 北緯36.1883度 東経137.9533度 / 36.1883; 137.9533
震源の深さ 4 km
規模    気象庁マグニチュード Mj5.4 / モーメントマグニチュード Mw5.0[1]
最大震度    震度5強: 長野県 松本市
地震の種類 直下型地震
左横ずれ断層型
余震
最大余震 6月30日14時11分36秒、Mj5.1、最大震度4
被害
死傷者数 死者 1人、負傷者 17人
被害地域 長野県松本市
出典: 特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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長野県中部地震 ながのけんちゅうぶじしんは、2011年平成23年)6月30日08時16分37秒 (JST) ごろ、長野県松本市付近で発生した地震である[2][3][4][5]。地震の規模はMj5.4 (Mw5.0) [2][4]

地震のメカニズム

震源の深さが4キロメートル (km) と浅く、地殻内で発生した地震である[2]。松本市付近では、東北地方太平洋沖地震の発震直後から地震活動が活発化していたことから、この地震の誘発地震とされている。発震機構解は、西北西 - 東南東に圧縮軸を持つ横ずれ断層型であった[6]。また、余震分布から北北西 - 南南東走向の左横ずれ断層であると推定されている。この地震の震源域付近に位置し、東北地方太平洋沖地震により発生確率が上昇したとされる牛伏寺断層との関連も指摘されたが、観測の結果、牛伏寺断層と松本盆地東縁断層の境界付近で発生した地震であった[7]

被害が松本市に集中したため、松本地震とも呼ばれている。

各地の震度

震度 都道府県 観測地点
5強 長野県 松本市丸の内
5弱 長野県 松本市沢村
4 長野県 松本市美須々、山形村役場

被害

死傷者

この地震により、松本市で44歳の男性が本の下敷きになり死亡した[8][9]。また、14人が重軽傷を負った[10]

建物

住家24軒が半壊、6117軒が一部損壊した。松本城も天守の壁に複数のひびが入る等の被害を受けた[2][3][11]

交通

大糸線松本駅 - 信濃大町駅)、中央本線小淵沢駅 - 塩尻駅)、篠ノ井線塩尻駅 - 篠ノ井駅)、飯田線松本電鉄が一時運転を見合わせた[11]。またその関係で中央西線信越本線しなの鉄道線などで若干の遅れが発生した。また、道路では松本空港線の一部が通行止めとなった。

他の地震・活断層との関連

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の遠方誘発地震と考えられている(「東北地方太平洋沖地震の前震・本震・余震の記録」も参照)。この地震以降、長野県中部エリアにおける本地震の震源域付近では気象庁精密地震観測室(現・気象庁松代地震観測所、長野県長野市松代町)が震度1以上の有感地震の増加を観測していた。同観測室では東北地方太平洋沖地震の地殻変動による影響を指摘している[12]。同年3月12日に発生した、同じく東北地方太平洋沖地震の遠方誘発地震とみられている。なお、長野県北部地震と本地震の関連性は認められていない[13][14]

この地域では、2011年3月11日以降地震活動が活発化していたが、5月中旬ころから1か月半程度の静穏化が発生していた[15]

緊急地震速報

地震波の検知から 3.6秒後にマグニチュード 4.6 と推定し、46.8秒後の8時17分28秒ごろの第9報を一般向けの緊急地震速報として長野県の全域に発表した[16]

参考資料・情報

脚注

  1. ^ M 5.0 - eastern Honshu, Japan”. アメリカ地質調査所 (2014年11月7日). 2016年11月12日閲覧。
  2. ^ a b c d 長野県松本市で震度5強、5分後にも震度4 9人けが」『朝日新聞朝日新聞社、2011年6月30日。オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  3. ^ a b 長野で震度5強 重軽傷者は11人 国宝の松本城も被害」『MSN産経ニュース産業経済新聞社、2011年6月30日。オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  4. ^ a b 松本で震度5強、12人重軽傷 松本城内壁にひび」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞株式会社、2011年6月30日。オリジナルの2011年7月1日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  5. ^ 長野県松本市で震度4 マグニチュード3.9推定」『朝日新聞』朝日新聞社、2011年6月30日。オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  6. ^ 6月30日 長野県中部の地震”. 地震調査研究推進本部. 2025年8月5日閲覧。
  7. ^ 長野県中部(松本市周辺)の地震”. 京都大学防災研究所 地震予知研究センター (2011年6月30日). 2011年6月30日閲覧。
  8. ^ 長野・松本の地震で死者 44歳男性、本の下敷きに”. asahi.com. 朝日新聞社 (2011年7月2日). 2011年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月12日閲覧。
  9. ^ 松本の地震で1人死亡か 雑誌の下敷きに」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞株式会社、2011年7月2日。オリジナルの2011年7月5日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  10. ^ 県中部震源の地震 松本の建物被害は454件」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞株式会社、2011年7月1日。オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  11. ^ a b 長野県松本市で震度5強 新幹線は平常運転」『日本経済新聞日本経済新聞社、2011年6月30日。オリジナルの2023年3月28日時点におけるアーカイブ。2025年8月5日閲覧。
  12. ^ 松本の地震、震源域は長さ5キロ領域に 信大など解析」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞株式会社、2011年7月2日。オリジナルの2011年7月5日時点におけるアーカイブ。2011年7月2日閲覧。
  13. ^ 長野県北部で震度6強と6弱 短時間で2回」『日本経済新聞』日本経済新聞、2011年3月12日。オリジナルの2019年9月12日時点におけるアーカイブ。2025年8月5日閲覧。
  14. ^ 松本の地震 引き続き警戒必要」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞株式会社、2011年7月1日。オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。2025年5月30日閲覧。
  15. ^ 統計数理研究所:東北地方太平洋沖地震の余震活動と松本付近の誘発地震活動 (PDF) 地震予知連絡会 会報 第87巻
  16. ^ 平成23年06月30日08時16分に発生した緊急地震速報の内容”. 気象庁 (2011年6月30日). 2011年6月30日閲覧。

関連項目

外部リンク




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