国際緊急援助隊とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 組織・団体 > 政治組織 > 軍隊 > 救助部隊 > 国際緊急援助隊の意味・解説 

こくさい‐きんきゅうえんじょたい〔‐キンキフヱンジヨタイ〕【国際緊急援助隊】


国際緊急援助隊

【英】:JDR Japan Disaster Relief Team

 日本海外における災害対す国際緊急援助には、国際緊急援助隊として人を派遣する人的援助物的援助資金援助がある。人的援助である国際緊急援助隊には、警察庁消防庁海上保安庁救助チームから構成され高度な機材使用して捜索救助を行う救助チームと、医師看護師薬剤師医療調整員などから構成され救急医療防疫などを行う。医療チームと、関係省庁職員などから構成され災害応急対策災害復旧などを行う専門家チームと、防衛省が行大規模災害での輸送防疫給水医療などを行う自衛隊部隊により構成される歴史的には、1979年内戦タイ脱出したカンボジア難民に対して政府医療チーム派遣したのがきっかけになり、日本政府1982年国際緊急医療チームJMTDR)を設立した1987年国際緊急援助隊の派遣に関する法律JDR法)として法整備が行われ、医療チーム派遣開始されその後救助チーム専門家チーム派遣されるようになった。さらに1992年国際緊急援助隊の派遣に関する法律一部改正案が国会で可決され自衛隊が国際緊急援助隊に参加することになった同時に国際連合平和維持活動等の協力対す法律通称PKO法)とJDR法済み分けがなされ、紛争起因する災害にはPKOそれ以外自然災害等の災害には国際緊急援助隊が対応することとなり、1989年から2007年まで93チーム派遣されている。(二宮宣文

参考URLJICA緊急援助隊ホームページ http://www.jica.go.jp/jdr/index.html

国際緊急援助隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 02:20 UTC 版)

国際緊急援助隊(こくさいきんきゅうえんじょたい、英語: Japan Disaster Relief Team, JDR)は、海外で発生した自然災害や建築物の倒壊など人為的災害に対して行う主に人的支援のことをいう。日本の国際貢献の一つである。

概要

地震や台風など自然災害が多い日本で培われた経験やノウハウを海外の災害で活かすべく、1987年に施行された国際緊急援助隊の派遣に関する法律が活動根拠である。1992年、PKO法成立とJDR法改正により、紛争に起因する戦災PKO、それ以外の自然災害がJDRという区分になった。

被災国の要請により、政府国際協力機構(JICA)の調整の下で援助の目的・役割に応じて、外務省が各関係省庁の協力の下に編成する「救助チーム」「医療チーム」「専門家チーム」「感染症対策チーム」「自衛隊部隊」の5タイプのチームを派遣する。

部隊の編制

救助チーム

東京消防庁国際消防救助隊
消防庁国際消防救助隊(IRT)・警察庁海上保安庁の隊員により編成され被災者捜索・救出にあたる。
主な構成は総務省消防庁、警察庁、海上保安庁、JICAから各1名ずつ副団長が参加し、隊員は全国の消防本部警察本部海上保安本部救助隊から選抜されている。副団長には各担当があり、計画・情報分析担当を消防庁、安全管理担当を海上保安庁、広報・記録担当を警察庁、連絡調整・ロジ担当をJICAが担当する事となっている[1]
さらに災害救助犬警備犬)及びハンドラーと救助チームの健康管理を担当する医師や看護師などで構成する医療班、耐震や建物などの構造評価専門家、業務調整員なども含まれ現在は救助チーム全体で69名体制が基本である。
1985年11月、コロンビアネバドデルルイス火山噴火災害で日本政府はコロンビアに救助隊の派遣を検討したが、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の施行前は海外に救助隊を派遣する制度が存在せず、コロンビアへの日本の救助隊の派遣が実現しなかったため、自治省消防庁(現在の総務省消防庁)が1986年4月、海外で大規模災害が発生した際に全国の消防本部から救助隊を派遣する制度「国際消防救助隊(International Rescue Team of Japan FireーService:IRT-JF)」を整備し、同年発生したカメルーンニオス湖ガス噴出災害、エルサルバドル地震災害に対して当事国政府からの要請を受けて東京消防庁横浜市消防局等から救助隊員を派遣した[2]。1987年9月に国際緊急援助隊の派遣に関する法律の施行されたために現在は国際消防救助隊も国際緊急援助隊救助チームの一員として派遣されている。
2010年に国連人道問題調整事務所が主催する国際都市型捜索救助チームの能力評価を受検し、最高レベルの救助能力評価のヘビー級チームの認定を受けた[3]

医療チーム

医師看護師薬剤師・医療調整員(臨床検査技師放射線技師救急救命士臨床工学技士理学療法士作業療法士栄養士コ・メディカル等)・業務調整員などから編成され被災者の診療応急処置にあたる。

専門家チーム

地震耐震感染症火山などの技術者研究者消防などの政府から民間の専門家で構成されており対策と復旧活動などの指導や支援を行う。

感染症対策チーム

2015年10月に新たに追加されたチームであり、海外での大規模な感染症の流行を最小限に抑えるための活動を行う。

自衛隊部隊

防衛省の陸海空自衛隊によって構成され医療防疫などの緊急援助活動や物資の輸送活動、被災地復興のための復旧活動などを行う自衛隊海外派遣の一つ。捜索・救助活動はあくまでも災害救助隊を有する消防等によって編成された救助チームが担当するために自衛隊チームは主に医療支援や後方支援、復旧・復興活動が任務である。勘違いされやすいが災害現場での捜索救助消防の専門であり自衛隊の専門ではない。

※派遣される場合は国際協力機構(JICA)から調整員、自衛隊部隊を除くチームは外務省が中心になって編成するために外務省から団長が参加する。

活動実績

救助チーム [4]

医療チーム

自衛隊チーム

専門家チーム

  • 1987年 -  ベネズエラ洪水
  • 1987年 -  バヌアツサイクロン
  • 1988年 - アルメニア地震
  • 1990年 - フィリピン地震
  • 1990年 - サウジアラビア油流出事故
  • 1992年 - エジプト地震
  • 1992年 - インドネシア地震
  • 1993年 - ネパール洪水
  • 1994年 - インドネシア火山噴火
  • 1995年 - インドネシア地震
  • 1997年 - マレーシア大気汚染
  • 1997年 - インドネシア森林火災
  • 1997年 - シンガポール油流出事故
  • 1998年 - バングラデシュ洪水
  • 1999年 - トルコ共和国地震
  • 1999年 - 台湾地震災害
  • 2002年 - パプアニューギニア火山噴火
  • 2002年 - ベトナムSARS対応
  • 2003年 - 中国SARS対応
  • 2003年 - アルジェリア地震
  • 2004年 - スマトラ島沖地震災害
  • 2006年 - フィリピン油流出事故
  • 2007年 - 韓国油流出事故
  • 2009年 - 台湾台風
  • 2010年 - インドネシア火山噴火
  • 2010年 - ロシア工場火災
  • 2010年 - タイ洪水
  • 2011年 - ニュージーランドカンタベリー地震
  • 2013年 - フィリピン台風30号
  • 2015年 - コンゴ民主共和国における黄熱の流行
  • 2018年 - 花蓮地震

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク


国際緊急援助隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 23:37 UTC 版)

自衛隊海外派遣」の記事における「国際緊急援助隊」の解説

自衛隊ホンジュラス派遣ハリケーン 1998年平成10年11月13日12月9日医療部隊80名、空輸部隊105名。 トルコ国際緊急援助活動必要な物輸送トルコ北西部地震 1999年平成11年9月23日11月22日輸送艦おおすみ」、掃海母艦「ぶんご」、補給艦「ときわ」人員426名をイスタンブール派遣自衛隊インド派遣インド西部地震 2001年平成13年2月5日11日物資支援部隊16名、空輸部隊78名。 自衛隊イラン派遣バム地震 2003年平成15年12月30日2004年平成16年1月6日空輸部隊31名。 自衛隊タイ派遣スマトラ島沖地震 (2004年) 2004年平成16年12月28日2005年平成17年1月1日護衛艦きりしま」、「たかなみ」、補給艦「はまな」、人員600名をプーケット県周辺海域派遣。同部隊は、自衛隊インド洋派遣引き継ぎ帰国途中部隊であった自衛隊インドネシア派遣 (2005年)スマトラ島沖地震 (2004年) 2005年平成17年1月12日3月22日輸送艦くにさき」、護衛艦「くらま」、補給艦「ときわ」人員640名をナングロ・アチェ・ダルサラーム州周辺派遣し航空端末輸送により物資約1.3t、人員128名、海上輸送により重機34両を輸送カムチャツカ州国際緊急援助活動海難事故 2005年平成17年8月5日8月7日15時。ロシア・カムチャツカ半島周辺海域におけるロシア海軍潜水艇AS28潜水艇、7人乗組)の救難のため、艦艇4隻、人員370名を派遣日本隊の到着前にイギリス海軍などによって救助されたことから、帰国自衛隊パキスタン派遣パキスタン地震 2005年平成17年10月11日長官指示10月12日先遣隊20出発)~12月1日全員帰国陸上自衛隊北部方面隊第5旅団基幹に、パキスタン国際緊急航空援助隊当初UH-1を3機、後にUH-1を3機増援し、合計6機)を編成し援助活動に関する空輸航空自衛隊は、パキスタン国際緊急援助空輸隊等を編成し、C-130H4機、日本国政府専用機2機を使い陸上自衛隊の国際緊急援助隊を空輸自衛隊インドネシア派遣 (2006年)ジャワ島中部地震ジャワ島南西沖地震 2006年平成18年5月31日長官命令6月1日先遣隊20名弱出発)~6月13日終結命令6月21日全員帰国陸上自衛隊は、医療部隊50名・追加100名でジョグジャカルタ近郊住民治療航空自衛隊は、C-130H×2機(予備機としてC-130H×1、U-4×1)による空輸自衛隊ハイチ国際緊急援助活動ハイチ地震 (2010年) 2010年平成22年1月17日輸送活動開始2月13日医療活動終了自衛隊パキスタン派遣 (2010年)洪水 2010年平成22年8月19日大臣指示8月19日先遣隊21名が出発8月31日から現地におけるヘリコプターによる輸送任務開始し10月10日輸送任務終了陸上自衛隊第4師団中央即応集団隷下第1ヘリコプター団部隊から成るパキスタン国際緊急航空援助隊UH-1を3機、CH-47を3機、合計6機)を編成任務使用する小型ヘリコプター備品現地まで輸送する為に航空自衛隊C-130使用。また大型ヘリコプターについては、2機は海上自衛隊輸送艦しもきた海上輸送、1機はチャーターしたアントノフAn-124により空輸された。10月26日派遣隊員の全員帰国完了したフィリピン派遣平成25年台風第30号 2013年平成25年11月12日大臣命令。翌13日国際緊急援助隊として35人が派遣。これに加えて15日小野寺五典防衛大臣は、護衛艦「いせ」、輸送艦おおすみ」、補給艦「とわだ」を含む、自衛官約1180人からなる自衛隊国際緊急援助部隊派遣する命令発した。これは、これまでの海外派遣歴史の中で、最大であったインドネシア派遣上回る規模となる。16日には、最初に出発した実働部隊10人がタクロバン到着した12月13日小野寺防衛大臣撤収命令発し、同20日帰国したマレーシア派遣マレーシア航空370便墜落事故 2014年平成26年3月11日大臣命令。翌13日航空自衛隊のC-130H2機、さらに14日に海上自衛隊のP-3C2機を派遣し墜落した機体の捜索当たった航空事故に際して自衛隊が国際緊急援助隊を派遣するのは本件が初の事例となる。4月28日捜索活動中心が、艦艇による海中捜索切り替わったため、大臣から撤収命令が発せられ、捜索活動打ち切られた。 インドネシア派遣インドネシア・エアアジア8501便墜落事故 2014年平成28年12月31日大臣命令発令ソマリア沖海賊の対策部隊派遣任務終えて日本への帰路着いていた、護衛艦たかなみおおなみの2隻が派遣された。1月3日海自護衛艦カリマンタン島南西沖の現場海域到着搭載ヘリコプター3機などを利用して遺体などの捜索あたった捜索・救助活動等を通じ遺体4体を発見収容した1月9日大臣から撤収命令が発せられ部隊撤収したガーナ派遣西アフリカエボラ出血熱流行対す物資輸送 2015年平成27年11月28日大臣命令発令12月6日航空自衛隊KC-767個人防護20000セットガーナまで輸送し引き渡し行った輸送活動終え11日帰国した国際連合エボラ緊急対応ミッションからエボラ出血熱感染拡大への対応に使用する個人防護具の提供等の要請があったことを受けたもの。 ネパール派遣ネパール地震 (2015年) 2015年平成27年4月27日大臣命令発令。翌28日援助隊及び空輸隊を編成救援隊一部初動対処部隊編成し派遣させた。30日初動対処部隊活動開始空輸隊による輸送によって本隊派遣され5月1日本隊ネパール入り活動開始した19日撤収命令が発せられ、21日全体帰国完了したニュージーランド派遣カンタベリー地震 2016年平成28年11月15日大臣命令発令ニュージーランドとの共同訓練参加するため派遣されていた海上自衛隊P-1被災状況確認のための飛行行った11月18日撤収命令が発せられ、活動終了したインドネシア派遣2018年スラウェシ島地震 2018年平成30年10月3日大臣命令発令。C-130H1機を派遣し派遣当初スラウェシ島への支援物資輸送のみを行い途中からはスラウェシ島被災民のカリマンタン島への輸送加わった25日撤収命令が発せられ部隊撤収したジブチ派遣洪水 2019年令和元年11月26日大臣命令発令ソマリア海賊対策部隊一部派遣しジブチ市内の小学校及び中学校排水作業緊急援助物資輸送行った12月2日撤収命令が発せられ部隊撤収したオーストラリア派遣オーストラリア森林火災 (2019年-2020年) 2020年令和2年1月15日大臣命令発令。C-130H2機を派遣し消火復旧に当たる人員車両などの輸送行った2月7日撤収命令が発せられ部隊10日帰国したトンガ派遣2022年のフンガ・トンガ噴火 2022年令和4年1月20日大臣命令発令。C-130H2機、C-2 2機と輸送艦おおすみ」(陸上自衛隊CH-47を2機搭載)を派遣し飲料水火山灰撤去する用具などの物資輸送した2月17日撤収命令が発せられた。

※この「国際緊急援助隊」の解説は、「自衛隊海外派遣」の解説の一部です。
「国際緊急援助隊」を含む「自衛隊海外派遣」の記事については、「自衛隊海外派遣」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「国際緊急援助隊」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「国際緊急援助隊」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



国際緊急援助隊と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「国際緊急援助隊」の関連用語

国際緊急援助隊のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



国際緊急援助隊のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日本国際保健医療学会日本国際保健医療学会
Copyright (C) by Japan Association for International Health. All rights reserved,2025.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの国際緊急援助隊 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの自衛隊海外派遣 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS