機上救護員とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 組織・団体 > 政治組織 > 軍隊 > 救助部隊 > 機上救護員の意味・解説 

機上救護員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 08:02 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
UH-60Jから降下するHRS

機上救護員(きじょうきゅうごいん、英語: air medics, AMD)は、海上自衛隊航空機に搭乗して救護を実施する自衛官准看護師の資格を取得している衛生職種の隊員であり[1]、機内に収容された遭難者や傷病者を医療機関に引き継ぐまでの医療的処置・観察を担当する[2]。またヘリコプターに搭乗する機上救護員は、HRSの資格も取得して、機外に進出しての遭難者救助までを担当している[1][3]

概要

海上自衛隊の衛生員のなかから、本人の希望・適性等を考慮して配属されて、第211教育航空隊において航空士としての訓練を受ける。パイロット以外のクルーを養成する「航空士基礎課程」を経て、機上救護員を養成する「航空士救護課程」に進むことになり、訓練期間は合計4ヶ月に及ぶ。これらの課程を修了し、航空従事者としてウイングマークを取得すると、航空隊で勤務することになる[1]

機上救護員が機上での救護を担当するのに対して、遭難者や傷病者を機内に収容する「救助」の部分を担当するのが機上救助員だが、機上救護員でも救助員の資格を併せ持っている隊員もおり、こちらは救助・救護員と称される。US-1AUS-2といった救難飛行艇では救助員と救護員の両方が搭乗しているが[注 1]、搭乗可能人数に余裕がないUH-60Jでは、機上救護員がHRSの資格を取得して兼務している[1]

HRS

従来、ヘリコプターが遭難者を救助する際には降下救助法が用いられてきた。これは救助員がホイスト式クレーンで降下し、原則としてそのケーブルから離れることなく、遭難者を救助する方法である。その後、体力を消耗した遭難者を迅速・確実に救助するためには、救助員がケーブルから離れて自由に動ける救助法が必要であると考えられるようになり、平成12年度にHRShelicopter rescue swimmer)救助法が制度化された[3]

HRSは、機上救護員が「HRS資格」を取得してその任務を遂行することになるが、そのためには、まず第1術科学校の「専修科開式スクーバ課程」を修了して「スクーバ潜水資格」を取得したのち、航空集団が実施するHRS講習を受講する必要がある[1]。特に開式スクーバ課程は難関とされており、HRS制度の発足当初は、入校した機上救護員の修業率は23程度に過ぎなかった。その後、無事に修業した機上救護員が中心となって、入校予定者に対して筋力トレーニングや水泳・潜水訓練などの強化訓練が行われるようになったことで、修業率は徐々に向上して、45以上となった[3]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 救難飛行艇に搭乗する機上救助員rescue scuba divers, RS)には、潜水員が配置されている[4]

出典

  1. ^ a b c d e 岡田 2015.
  2. ^ 海上自衛隊第22航空隊. “機上救護員紹介”. 2020年7月15日閲覧。
  3. ^ a b c 石神 2012.
  4. ^ 山口 2017.

参考文献

  • 石神, 一信「UH-60Jについて」『第3巻 回転翼』水交会〈海上自衛隊 苦心の足跡〉、2012年、352-355頁。
  • 岡田, 真理「MILITARY REPORT 海上自衛隊 第73航空隊 救難・救助の命綱」『MAMOR』第9巻第9号、扶桑社、2015年9月、 30-39頁、 NAID 40020550361
  • 山口, 光宣「救難飛行艇US-1(A)について」『第7巻 固定翼』水交会〈海上自衛隊 苦心の足跡〉、2017年、235-241頁。国立国会図書館書誌ID: 028057168

関連項目


機上救護員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 00:54 UTC 版)

航空士 (自衛隊)」の記事における「機上救護員」の解説

海上自衛隊職域で、飛行艇搭乗し対象者機内治療する平時には離島からの救急搬送など民間人救助が多いため、患者と共に同乗した医師補助などを行う。副任務として飛行中監視染色マーカー投下など救助活動補助任務担当する准看護師看護師救急救命士などの医療資格有する衛生員から選抜される潜水であれば機上救助員となることも可能。 救難飛行隊配置されている。

※この「機上救護員」の解説は、「航空士 (自衛隊)」の解説の一部です。
「機上救護員」を含む「航空士 (自衛隊)」の記事については、「航空士 (自衛隊)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「機上救護員」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「機上救護員」の関連用語

機上救護員のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



機上救護員のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの機上救護員 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの航空士 (自衛隊) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS